NHK予選

対局の振り返り、2月のNHK予選について。
この日は自分のところの他にもう1ブロックの予選も行われていて、秒読みの声が響き渡る中で一日を過ごしました。
幸運にも3連勝で予選突破、嬉しい結果でした。

1回戦は島九段との対戦。
先手番で石田流を採用、仕掛けのところではっきり優勢になったのですが秒読みに入ってからもたついてしまいました。

図は7三の銀を活用したところで、いかにも本筋の一手。
代えて△4二角を予想していてこの手は見えてなかったので、焦りました。
形勢は有利ですが駒割りは角香交換でだいぶ損しているので、ちょっと間違えるとあっという間に逆転します。

実戦はここで▲5四香△同金に▲4三桂成を発見して、手ごたえあり。
▲4三桂成では▲5四同竜が普通ですが、それだと△5五銀で寄せが遠のきます。
もちろん駒不足で攻めが切れてはいけないんですが、なるべく玉に向かっていく姿勢が大切です。
▲4三桂成以下は△4五歩▲3二成桂△同銀▲4二金△3三馬▲4五銀、と進んでゴールが見えてきました。この攻めは切れません。

午後からの2回戦は野月八段、決勝は石井五段とでした。
この2局についてはNHKテキスト「将棋講座」の付録で取り上げたので、そちらをぜひご覧ください。
掲載はまだ先ですが、発売されたら改めて告知します。

2年連続の予選突破は、自分でも驚いています。
本戦でも良い将棋を観ていただけるよう、全力を尽くします。

公式戦の進捗など

昨日は「12連休?」と書きましたが将棋界では公式戦の対局が続けられています。ただ、対局数は少なめのようです。
これは非常事態云々ではなく、もともとの季節的な要因も大きいと思います。4・5月は順位戦がなく、少なくなってくる時期ではあるので。
今週の対局予定を見ると、きっちり明日(昭和の日で祝日)だけ抜けていて、暦どおりになっているところがなんだか将棋界らしいです。

将棋界にも緊急事態宣言の影響(タイトル後略)
遠山六段がヤフーの記事に現在の状況をまとめてくれています。
現在のように東西の移動を伴う対局を停止している状況だと、予選はある程度普段通り進められますが、本戦の上のほうに進むにつれてトーナメントが止まることになります。
これがいつ再開されるか、が当面の関心事です。

来期順位戦の表も公開になり、通常通りの日程で行う、との方針になったようで、各棋士2~3回の遠征も含め対局が決まりました。
現在の社会情勢を考えると不安も大きいですが、どのような状況になっても大丈夫なように、盤上と心の準備を進めたいと思います。

自分自身は、来月は少なくとも王将戦は対局がつく見込みです。
あとはNHK本戦に出られることになっています。
収録日程は書けませんが、無事終わって、放映日が決まったら告知します。

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最後におまけ。うちにも届きました。

そういえばこないだ、かなり久々に近所でマスクを見かけました。
最近は妻に作ってもらってそれを使っているのですが、早く手に入るようになると良いですね。もうすこしかかるとは思いますが。

とにかく、日々穏やかに、安静に過ごしましょう。

12連休?

暦の上ではGWが近づいてきました。
先日小池都知事が「企業は12連休を」と推奨(要請?)してましたが、実際のところ多くの企業はどういう対応なんでしょうね。
東京はすでに在宅勤務になっている会社も多いと思うので、そういうところは、今日明日は普通に仕事なのではと思います。
近所の様子も、普段通りに見えます。ただ、今日は朝から救急車のサイレンが多いのが気になります。

どこにも行けない休み、というのは多くの人にとって不自由なものなのでしょうか。この感覚はちょっと自分のほうが世間とズレすぎていて、分からないところがあります。
我が家も旅行はかなりのウエートを占める趣味の一つなので、出かけられないのは残念ですがそれで極端な不自由を感じることはなく、それなりに楽しく日々を過ごしています。

海外旅行に出かけられるのがいつになるのか、ちょっと想像がつきません。また何年後かには、安心して出かけられると良いのですが。
いまの社会に対する願いは「3密を避けていればある程度普通に行動できる」ところまで、感染が収まってくれることです。
5月6日は、ちょっと厳しそうな気がします。いずれにせよ緊急事態宣言の解除後に、どれだけ接触を抑制できるかによって夏以降の社会が変わってきそうです。

あとは、誰かが陰で誰かを攻撃する、といった良くないニュースが目に飛び込んできて、心を痛めています。
ストレスが他人への攻撃に向いてしまう人を、自分はうまく理解できません。
ただただ、どうかそういうことはやめてほしいです。
他人を攻撃しても、自分を守ることにも、社会を守ることにもつながらない。そういうことのない社会でありたいと願います。

その他の近況、抱えていた原稿が終わったので、最近は詰将棋を解く時間を増やして、たまに自分でも作ったりしています。
twitterを見ていると詰将棋が流れてきて、そこで立ち止まることもしばしば。家にいながらにして天童の街を歩いているような気分です(?)

自信作ができたら、いつかサロンの初入選特集に応募してみたいんですけどね。
その日は遠そうですが、ひとつの目標として持っておきます。

では今日はこのあたりで。

3/3 佐藤秀七段戦

公式戦の振り返りです。
昨年度順位戦の最終局。
先手番で角交換系の向飛車から、5筋で戦いが起こったのに合わせて中飛車に転じてこの局面。

この△4三金右は▲5四飛△同銀▲7一角の筋を防いでいる

ここで▲7一角△8三飛▲5二歩は、良いところに指がいきました。

▲7一角の飛車取りに対して△7二飛は、名人戦棋譜速報の棋譜コメントにもある通り▲5三角成△同金に(1)▲5五銀でも良いですし、(2)▲5四飛△同金▲6三銀と切り込む手も有力です。
本譜の△8三飛に対しても▲5五銀はありますが、それには△6九角の反撃が気になります。
それよりも、裏を取る▲5二歩は感触が良かったです。振り飛車はこの「感触が良い」という感覚が大切だと思います。

対して△4二銀なら▲6二角成があるので、適当な受けもなく△6九角と来ましたが以下▲5一歩成~▲5二と、と進めてわりとあっさり優勢に。途中▲5一歩成のところで△4二金寄と辛抱する手はあったようです。

対局翌日にも書いた通り、この将棋はここから読みが乱れてしまったのが反省点です。特に△5一飛という当たり前の手(68手目)が見えてないままその局面に誘導したのはひどかった。
ただ、後日調べてみるとリードを失うには至ってなかったので、良しとすべきかなと思い直しました。
終盤は自分で不安に思っているよりははっきりと、一手余していたようです。

今年度の順位戦がどうなるか、社会情勢が不安ですがひとまず抽選は終わったとの通知がありました。
近く、公開されるものと思われます。
これからも一局一局、全力を尽くしたいと思います。

価値観の変化

昨日に続いて「コロナによって変わったこと」ですが最近よく思うのは、日本社会において「東京」の価値が変わるんだろうな、ということです。

僕はちょうど20年前に、高校卒業・大学入学のタイミングで東京に出てきました。
当時を振り返ってみると、とにかく東京に行きたいという気持ちは強くありました。
将棋とは関係なく、自分の世代は(広島は地方都市の中ではかなり都会ですが、それでも)東京に出たい、と思っていた人はかなり多かったと思います。
よく知りませんが上の世代でもたぶんそうだったと思うし、その後の世代も、似たような感じではないかと思います。

将棋界では僕のすこし下の世代から、急速に関西棋界が活性化したことは、よく知られています。
いま思えば20年前、その兆しはすでにあったわけですが、自分自身がそれを感じることはできませんでした。
その頃すでにネット将棋も台頭前夜で、あと2年くらい違えば、大阪に出るとか広島に残るといった選択肢もあって、また違った人生だったかもしれません。

社会一般に目を向けるとこの十数年、日本社会は地方創生、地方分権が叫ばれる中で、実際には東京一極集中が続いている印象があります。
とにかく人が多く、そして増え続けています。
それだけの価値が、あるからです。
それがいま、ものすごいリスクになっています。
今後、「東京」の価値が下がる可能性は高いと思っています。

人が集まる、ということをリスクと感じる人が増えれば、当然ながら人の流れが変わります。
ビジネスチャンスを狙う人は、その結果何が起きるか、ということをあれこれと考えているはずです。
特に都心は景色が(いまだけではなく)大きく変わるだろうし、また、そうでなくてはいけないでしょう。

東京以外の中核都市や、観光地なども、価値観が180度変わっています。
これまで、東京とのアクセスが良い、ということは大きな価値でした。そのおかげで、たくさん人が来てくれるからです。
いまや、東京からは人が来ないでほしい、となっています。リスクが高いからです。
東京からお客さんがやってくる、ということを前提とした街づくりがこれから変わっていくのだろうと思います。
それよりもある程度自己完結できる規模、適切な大きさの街づくりが、より大切になってくる気がします。

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現在、多くのスポーツでは(通例とは異なる)無観客試合によって、継続を図る動きが出ています。
個人的には将棋界ももっと生観戦を増やすべきだと以前から思っていました。
ただいまとなっては、幸か不幸かそれが実現していないおかげで、公式戦の継続が可能になっている、という側面があるように思います。
まさかこんなことになるとは思いませんでした。

将棋界唯一の全対局公開棋戦である日本シリーズは、開幕からの3局をスタジオで行うとの発表がありました。
JTプロ公式戦は僕も子供の頃何度も見に行ってましたし、その後行われるようになった子ども大会は、間違いなく将棋普及に一役も二役も買ってきました。
残念ですが、たしかに現状で普段通りの開催は難しそうです。

その他にも、全国大会につながるアマ大会は中止の発表が続いています。
一年休んで、来年は元通り開催する、というのは常識的な発想ですが、他に手はないものか、ということも時折考えています。

つらつらと、思いつくままに書いてみました。