10/29 黒沢五段戦

王位戦の予選1回戦です。
前期は初めて予選決勝まで進み、そこで負けてしまったので再起を期す気持ちは強くありました。

本局は初手から▲7六歩△8四歩▲1六歩△1四歩▲5六歩△6二銀▲6八銀△4二玉に▲2六歩△3四歩▲7七銀、という出だしになりました。
現代では早めに△4二玉と上がったぐらいでは、振り飛車党への挑発と受け取られることはなくなったと認識していますが、本局に関しては1筋の突き合いが攻める側に有利に作用する面があり、やや危険な駒組みだった可能性があります。

その後は矢倉系横歩取りの手将棋になり、定跡の通用しない序盤戦をうまく指されて作戦負けになりました。
黒沢五段は振り飛車党の中でも球種の豊富さとセンスの良さが際立つタイプで、彼の良さが出る展開になってしまった気がします。
逆に自分のほうは悪いところがいろいろと出てしまいました。

△6五歩と突いて▲7七銀と引かせた局面

図の局面は二歩損でやや不利。
そしてここから△4四銀▲3六銀、のやり取りで決定的に形勢を損ねました。

ここは△5五歩▲同歩△7五歩▲同歩△8四飛、のような感じで駒の働きを高めつつ、手を渡しておくべきでした。
自分は歩切れなので歩の調達にメドをつけておくことが重要で、逆に相手にはいまさら一つや二つ余分に歩を渡すことは問題ではない。
また、五段目まで駒を進出されるのはやむを得ないとして、そこで食い止める手立てが必要でした。
本譜は次の▲4五歩、という手が絶品の一着になったことが致命的でした。

本局は相手の良さが出た完敗で、自分としては後手番だったし落ち込むほどの大きなミスはなかったのでやむを得ないとは言えます。
ただ1回戦負けが続いていることには、もっと危機感を持たなくてはいけないと思いました。

年賀状とか

先日書いた通り、年内の予定をだいたい終了したら、待ちかねていたかのように軽い風邪を引いてしまいました。まあ、ありがちですね。
このところ酒量も増えていたので、今日からちょっとおとなしくします。
たまった本と酒を消化する、と書いておいて実際には積読のほうはその後まったく減ってないし、良い機会です。

昨日、今日は年賀状書き、でいましがた、ひととおり終わったところ。
あさってぐらいまでに出せば元旦には届くはずなので、こちらもちょうど良い感じです。
年賀状という習慣は形態が変化していく(べき)ものの代表例のような気もしますが、個人的にはこの一年この人はどうしてたかな、とかこの人に一言何を伝えようか、と考えることは、意味のある作業かなと思います。
字がヘタなのだけはちょっと苦痛ですが。どうかお許しを。

昨日は王位リーグ入りの一番が2局、今日もA級順位戦など、将棋界の大きな対局はまだまだ続いています。
自分の場合、本格的な始動は年明けからとはいえそこはプロなので、日々の対局だけは目を通しており、モバイル中継はありがたいなあとしみじみ。
来年はもっと登場できるように頑張って、自分の将棋を観てもらえるようにしたいなあと思いを新たにしているところです。

あとはモバイル中継を観ている方々が僕の新刊も買っていて、この局面たしか出てたなあ、と思い出してくれたら良いですね。

では今日はこのへんで。

編入試験など

昨日の棋士編入試験第2局は、出口四段の快勝でした。
折田さんはこれまでの対局に比べると、ちょっと力が出なかったように見えました。

twitterを眺めていても、試験開始前や、第1局に比べるとどことなく静かな感じというか、応援の声もすこし少なくなったような感じがしました。日取りの影響もあったかもしれません。
Abemaの番組も解説なしの放映だったようですし。

あくまで想像でしかないですが、こうした部分も案外大きいのかもしれません。対局中はもちろん本人には届かない、とはいえ。
1-1になり、ここからがいよいよプレッシャーとの戦いという感じがしますが、どうなるでしょうか。

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藤井聡太七段監修のゲームが発売されるそうで。
昨日の午後、大きなニュースになっていて、何よりのことと思いました。

願わくばもうすこし早く出ていれば、サンタさんがたくさん届けてくれたのではないかなあ。
というのはまず思ったことなんですが、たぶん年明け以降も全国のお父さんお母さん方にたくさんお買い上げいただけることでしょう。
そういえば、棋士の冠のついたゲームが出るのは久々ですね。たしか僕も「谷川浩司の将棋指南」は持ってました。

明けて今日、世間はクリスマスイブ。うちは自宅でワインの予定です。
東京は穏やかな好天に恵まれそうで、お出かけにも良さそうですね。
皆様も良いクリスマスを。

振り納めとか

一昨日解説させていただいた東北六県のジュニア団体戦、こちらに結果が出ていましたのでご紹介。

東北は大会数という点ではおそらく全国一、とても将棋の盛んな地域で、青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の六県による合同の大会がいくつかあります。
他に六県のうちの一部で開催されるものも合わせるとかなりの数になりそうで、運営役の方々にはいつもお世話になり、本当にありがたい限りです。

今回の大会、解説を務めた中学生の部は福島が優勝でした。
最終戦がちょうど全勝対決になったのですが、その大将戦で一気に勝負を決めたのが大きかったですね。
個人的には戦型がかなりバラエティに富んでいたので面白くやらせてもらいました。
また機会がありましたらよろしくお願いします。

昨日はギャモンのリーグ戦があり、(おそらく)今年の振り納めでした。
前にも書きましたが今年は例年以上に穏やかな年末で、指し納め、仕事納め、振り納めときて、外出の予定は残すところ忘年会が2件でおしまいです。
まあ、たまにはそんな年もあって良いでしょう。
あとは年賀状と、軽い大掃除ですね。

今日は大阪で棋士編入試験の第2局が注目の一番。
12月23日は今年から平日になったので、公式戦対局も普通にそれなりの数が指されるようで、おそらく今週が指し納めという棋士が多いのではないかと思われます。

10/15 豊川七段戦

順位戦の5回戦でした。
棋譜は名人戦棋譜速報でご覧いただけます。

本局は夕休のすこし前に千日手になりました。

飛・銀・玉などの動きを繰り返して千日手

ここまでくると、居飛車のほうが玉形は堅いものの仕掛けの糸口が難しく、一方振り飛車のほうも△4四銀のあと△5五歩や△3五歩などと仕掛けるほどではなく、千日手は自然な感じです。もちろん後手番としては満足と言えます。

夕休後からの指し直しは、急戦策にうまく対応できて有利になりました。
特に大さばきの途中、▲6四馬と切った手(59手目)は会心の一手でした。

形勢が良いことはひと目で分かるのに具体的な指し手は難しい局面

図では角と銀桂の二枚替え+と金で大きく駒得、玉形も大差で堅く、さらに手番、とはっきり優勢を意識していました。
しかし具体的な指し手は難しい。実はこういうときが、将棋を指していて一番苦しいものです。しっかり勝たないといけないというプレッシャーが強くのしかかってきます。

本譜、ここで▲4四歩と突いた手は、良いところに手がいきました。
この歩を取らせることで、▲4七歩の受けや▲4三歩の攻めが生じ、指し手の選択肢が増えてリードを広げることができたと思います。
△4四同銀のあとの▲8八飛も、大事な飛車の活用を図って味の良い手だと思いました。
振り飛車の将棋は、こういう感覚的な部分が大切になるので、この将棋では感覚の良い、筋の良い指し手を続けられたことが、良かったです。

とはいえこの後もかなり粘られ、結局勝ち切れたのはここから2時間以上も先のことでした。
一局の将棋を勝つことの大変さを改めて知らされる将棋になり、また、苦しい内容が続いていたので勝ててホッとした一局でもありました。

順位戦はここまで●〇●〇と交互に来ていたので、この勝利で今期初めて白星先行になりました。