名人戦、順位戦

大きな地震から二晩が過ぎ、ニュースで見る感じでは徐々に復旧してきているようですね。
日本のインフラの強さには驚くばかりですし、過去の大震災の教訓が活かされているのは良かったと思います。

天災を前にすると日々の平穏な暮らしがあることに対する感謝の念をひときわ強くします。
余震はここまで警鐘されていたほどではないようですが、今日は大雨の予報などもあり、引き続きお気をつけください。
東京も今日は朝から雨ですね。

名人戦は昨日・今日で第6局、舞台は天童。
羽生竜王の2手目△6二銀は七冠直前の頃を思い出します。
あの頃はいわば「実験」の色が濃かったと思いますが今回に関してはここ一番に有力と判断しての採用でしょう。

封じ手の局面は一歩得の先手を持ちたい声が多そうですが、自分の感覚では後手を持っても十分やれるように思います。
そう思えること自体、現代将棋の価値観の変容、過去の価値観との訣別を感じますし、自分自身もそういう現代ならではの感覚に、だいぶ目が慣れてきたのかなと思います。
もっとも、自分で指してみないことには分からないし、すこし指しても本当のところはなかなか分からないんですけどね。

昨日のC1順位戦は、東京所属棋士同士のカードに関しては予定通り行われていたので、夜はずっと名人戦棋譜速報で観戦していました。
長期戦・大熱戦が多く、確実に秒読みに入っている、23時半の時点でも過半数の対局が残っていたのには驚きました。
自分も頑張ろう、とそれだけを強く思いました。

地震

既報の通り、地震の影響で今日予定されていた東西交流の対局は延期になりました。
対局延期につきまして

交通網だけでなくライフラインにも大きな影響が出ている状況で、ひとまずの延期は妥当な判断と思います。
朝早い時間帯でしたから、手段を尽くして移動すればおそらく全員が対局場に到着すること自体は可能だったでしょうが、この状況では延期すべきだろうとニュースを見ていて感じていました。

近年特によく思うことですが、やはりまず平穏な暮らしがあって、平和な世の中があって、その上で将棋が生活の片隅にあって、それでこそ対局を観て楽しんでいただけるというものです。
異例の措置には違いないですが非常時に際しこうした判断がなされたことは良かったと思いました。

代替日程はまだ未定で、自分の場合はおそらく来月のどこかで、もう1局大阪遠征が入る形になると思います。
それまでにすこしでも大阪の都市機能そして暮らしが元通りになっていればと願います。

被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
余震等にもどうぞお気をつけください。
もちろん自分自身も、身の周りの備えをしておかないといけませんね。

NHK杯など

昨日のエントリで書き落としてましたが、NHK杯は森内ー佐藤慎戦でした。
終盤まとめに入る場面を見ていたのですが、後手の森内九段が手堅い指し回しで勝ち切り、とても参考になる指し方と感じました。

次はなんと加藤桃子さんとの対戦なのですね。
永世名人と奨励会初段の公式戦は、さすがに空前絶後になるのではないでしょうか。
過去にはたしか新人王戦で時の竜王と奨励会三段というカードがあったはずですが、今回は全国放送でもありそれ以上のインパクトのような気がします。
前期は藤井四段との生放送がありましたし、専務の重責のかたわら大変そうです。

棋王戦は井上九段の完勝で、昨日は先輩棋士の強いところが目立つ一日でした。
井上先生はかつては羽生七冠、最近では藤井七段、昨日は都成五段と連勝ストッパーですね。

明日が大阪で順位戦のため、午後から移動です。
その前にひと仕事あり、今日は短いですがこれだけで。

<※追記>
今朝大阪で大きな地震があった影響で、明日の対局は延期になりました。

大逆転

昨日の棋聖戦第2局は、見ていてかなり不可解な内容で驚きました。
最後は▲5二角~▲4三桂という寄せをうっかりした、とのことですがこれはけっこう信じられないような類の大逆転だと思います。
そこに至るまでの手順にも、見ていて不思議なところがたくさんあったので詳しくは専門誌の解説待ちですね。

逆転にはいくつか種類があるのですが、よくあるのは時間切迫によるミスが出ての逆転。
それが致命的なミスで一発逆転のケースもあるし、ミスが重なってということもあります。逆転に次ぐ逆転、も時にはあります。
あるいは勝ちを意識したフルエ・プレッシャーから来るミス。この場合は徐々に差が詰まっていってついに逆転、という感じになります。

本局はそのどちらでもなく、前触れもなくいきなりという感じの出来事でした。

あくまで私見ですが63手目の局面は、読み切るのはもちろん難しいにしても、後手がどう勝ちに行くかを選べる局面でした。
この直前に腰を落として、本譜の△2七角を選択したということだと思います。これは一気に行かずに受けに回ろうという手です。

直後の68手目△4八銀が寄せを見落とした落手、だったわけですがこの手には直前の方針や指し手との関連がなく、そう指してしまった理由に説明がつかないと思うのです。
これが△4八銀が正着で、実戦で△4二銀打と誤ってしまった、なら分かるのですが。
もっとも常に合理的に物事が進むわけではなく、将棋は怖い、としか言いようがないですね。

豊島八段が時間を残している状態でこれほど大きなポカを見せたのはあまり記憶にありません。
彼にしてこういうことがあるわけで、人間はミスをゼロにすることはできないのだなと改めて痛感しました。
羽生棋聖は連敗中だったのでかなり大きな星になった気がします。

お台場(東京)での対局は珍しいことでしたがこれは特別協賛のヒューリックさんの関連だったとのこと。
大盤解説会はものすごい大盛況だったようで、ありがたいことです。
将棋ブームの昨今ですので、特に休日にタイトル戦が行われる折には、こうして現場で観戦していただく機会が増えたら良いなと思います。

今日はAbemaTVでの、フィッシャールールによる特別対局。
モバイル中継もあるのですね。
関西では公式戦も1局ついていて、こちらは棋王戦の枠抜けを懸けた一番です。

カロリーナ×カロリーメイト

かねてから製作が進んでいたアニメの本編がいよいよ昨日、公開されました。
すすめ、カロリーナ。

プレスリリースには応援コメント等も掲載されています。

全体的に柔らかい世界観で、日本のアニメのようでもあるので同じポーランド出身の監督さんの作品というのは意外かもしれません。これも人の縁ですね。

外務省のデータを調べたところ、カロリーナやマテウシュ監督のように日本に滞在して活動しているポーランド人、逆にポーランドに滞在している日本人、いずれもわずかに1500人前後なのですね。
将棋の女流棋士はそれよりはるかに少なく、100人にも遠く満たないのはよく知られているところ。
師匠の自分が言うのもおかしいかもしれませんがカロリーナは改めて考えても奇跡のような存在ではあります。

たくさんの応援をいただいて、これからも期待に応えられるようにいっそう頑張ってもらいたいと願っています。

サッカーワールドカップが開幕、同じ予選リーグに日本とポーランドが入っていて対戦があるということで、コメントを求められる機会もあるようで。
ステチェンスカ女流1級、西野ジャパンにエール「侍とナイトは精神が似ている」
どんな試合になりますかね。

これからもSHOGIに限らずさまざまな文化の架け橋としても、良い役割を果たしてくれると良いですね。
そもそも日本語とポーランド語の両方が話せる人材は、世界中でもかなり限られると思いますし。

 

女流王位戦、渡部愛さんが熱戦を制し新タイトルホルダーに。おめでとう。
里見さんを破ってのタイトル獲得は本当に価値のあることと思います。
第4局は形勢が何度か揺れていたと思いますがあのような混戦で、しかも初めての大舞台で集中力を切らさずに指したのは本当にお見事でした。

棋士は誰もが、プロ入りを果たしたときが一番嬉しいもので、女流棋士も程度は違えど同じ思いはあるでしょう。
ただそんな中でも彼女ほどプロ入り前後で大変な思いをした人はいないはずで、しかしどんなに大変でも強くなれば多くのことは解決できる。ということを身をもって証明したと言えるのではないかと思います。
この世界、努力が必ず報われるとは限らないけれど、しかしそれでも多くの努力は報われるのですね。

渡部新女流王位もまた、自分から見るとちょうど一回り下の世代で、このところ特に新たなタイトルホルダーの誕生が続いていますね。
この流れが続くかどうか、という意味でも今日の棋聖戦第2局は大きな一番になりそうです。