次の一手

昨日の中継は、角換わりの定跡形ばかり3局でした。
まあ、そういうこともありますよね。

そのうちの1局で、作ったような次の一手が出たのでご紹介。
(上村ー中村太、王将戦)
正解はのちほど。

スクロールの合間に盤外の話題。
昨日、「ミラクル9」という番組を見ていたら(日頃からよく見ている)、西村真二さんという人が出ていて、たしか・・と思ってとある先輩にメールしてみたらやっぱり修道。
今年の広島県人会で、司会をされていて、ご挨拶したのでした。

そしたらその先輩から、「モーリーさんも修道ですよ」と言われてびっくり!
そんな偶然もあるんですね。
ということで、これから活躍を応援したいと思います。

 

将棋の話題に戻って、昨日の棋聖戦は、糸谷八段の快勝。というか、圧勝。
トップ棋士を相手にああいう勝ち方をするのは彼ぐらいのものでしょう。
この将棋は竜が強く、自陣に打った二枚の角がうまく働かなかった、という一局でした。

もう一局の竜王戦も、▲3九角!と中盤で打った手がインパクトのある自陣角だったものの、やはりうまく働かなかったようで、結果は後手勝ち。

この2局に共通するのは、角金交換で駒得した側が、攻めを受け止めきれず、自陣角が負担になってしまったという点。
現代将棋に共通する感覚なのかもしれません。
ただ、たとえば横歩取りの古い定跡でいきなり▲3二飛成と切る手があるように、実際には古くからある考え方が、いろいろな形で具現化されているだけなのかもしれません。

いずれにせよ、駒の損得のみで形勢判断できない、と考えるとそれは当然のことですね。

冒頭の次の一手は△2二角!
矢倉にいきなり詰めろがかかるのは、極めて珍しいです。
(美濃囲いだと、本ではしょっちゅう、実戦でもたまに見かけますよね)

この局面に至るまでの、中村六段の粘り強い指し回しが、参考になる一局だったと思います。
全棋譜は将棋連盟ライブ中継で。

 

この2日ほど暑くて、春かと思ったら夏でしたか。
という感じでびっくりしていました。
今日からすこしまた涼しくなるみたいですね。

今日は名人戦第2局の1日目、舞台は弘前。
日を同じくしてマイナビも第2局、こちらは明治記念館です。

必至問題

昨日は棋聖戦の準決勝、斎藤ー郷田戦が白熱の終盤戦で面白かったです。
秒読みで二転三転したように見えました。
感想戦のコメントを読んで唸ったのがこの場面。

いま7八の金で6八の銀を取った場面。
リアルタイムで観戦していたのですが、たしかに△9七香成は気が付かなかった。

これだけでピンと来る人は、たぶんかなりの高段者。
解説用に、すこし図面を追加します。

△6八同金に代えて、△9七香成▲7九銀△7七角成と進めたのが下の図。

(1)▲7七同桂なら、8九の地点が空くので△8八成香▲同銀△8九金までの詰み。
(2)▲7七同金なら、8八の地点が空くので△8八銀と打って、数の攻めで詰み。
(3)8八の地点に利きを足すには▲8七飛と打って受けるしかないが、それには△8九金が好手。以下▲同玉△8八成香で、▲同銀は△7八銀、▲同飛は△9七桂で詰み。

必至問題を考えるときは、だいたいこんな順番で検証して、答えを確かめます。
必然的に、詰将棋より変化が多くのなるので、難しいのがわかると思います。

だいたいプロはこういうのを考えるのが大好きです。
たぶん例外はなく、本能的なもので、逆にそうでなければ、プロにはなっていないと言えます。
作品も好きですが、それが実戦ならなおさらで、それは実戦のほうが、なぜか「作ったような」局面になるのと、この将棋のように思いがけない手筋に出会うことがあるからだと思います。
「事実は小説より奇なり」と、古の人はうまいことを言ったものです。

この△9七香成という手は、そもそも9八に桂がいることがレアケースだし(この局面よりすこし前、▲9八桂と打って大変なのにも驚きました)、9六香+9七金(銀)という形を狙いたくなるので、気づきにくいのだと思います。

あとそもそも、必至問題であれば、△7七角成▲同銀△9七銀とやるのが、第一感の筋なんですよね。

僕もこっちの筋は観戦していて考えました。
先手玉はこれで必至。棋力を上げたい方は、本当に必至かどうか、考えてみてください。

通常なら後手玉は詰まない形、しかしこの図では▲5五角と王手されて、合駒がありません。
これが、実戦の難しいところです。

そういえば、先日NHKテキストを読んでいたら「最近、コンピュータソフトを活用してプロの将棋を採点するファンがいる」という一文が出てきて、なるほどそういうものなのかと思いました。
本局の終盤はたぶん「採点」という意味では評価値は揺れたでしょうし、特にこのように詰みや必至を逃すと、数字の上では特に大きく動くのは想像がつきます。
ただ、人間の指し手には必ず評価値以外の理由があるし、秒読みの中で間違えずに指し手を紡いでいることがむしろすごいのだということは、分かっていただけたらと思います。

先日も書いたばかりという気がしますが、今期の棋聖戦決勝トーナメントは、特に大熱戦ぞろいの印象です。
観戦記は産経新聞でどうぞ。

今日は講座風に書いてみました。

NHKテキストとか

昨日のエントリでひとつ、大事なことを書き落としていました。
NHK杯本戦の対局はすべて、NHKテキスト「将棋講座」に観戦記が掲載されますので、そちらもぜひご覧ください。

ちなみにこの雑誌は、将棋雑誌の中では比較的、見た目の変化が多い印象があります。
(表紙や、レイアウトという意味。さすがに版はずっと同じ)
対局の前に講座や、ニュースの枠を担当する棋士が交代するので、それに合わせてというところも、あるのかもしれません。
何となくですが、比較的若い世代をターゲットにしている気がします。
(※あくまで個人の感想です)

NHKといえば、昨日もまた、藤井四段は勝ったそうで。
たぶん午前中の収録で、午後一斉にプレスリリースしたみたいですね。
もちろん、異例のことです。
いったいどこまで勝つのでしょうか。

 

昨日の中継、王将戦は先日のマイナビ第1局と同じ形に。
「今後もまた登場すると思うので」とは書いたものの、こんなにすぐ出てくるとは。
本局は居飛車側に工夫の一手が出て、そのまま快勝。有力に見えました。

竜王戦の2局は、いずれもアマチュアがペースをつかんでいたように見えたのですが、結果はプロ勝ち。
指したいように指させて、反撃を決める、プロらしい内容だったと思いました。

図は金井ー石井戦。
先手が石井アマ、後手が金井六段です。


この▲3五歩は飛車にヒモをつけた手で、次に▲7三歩成が狙い。
飛車が向かい合っているときにしばしば生じる手で、中継で観戦していてとても良い手に見えました。
ところが感想戦コメントでは、この手が疑問だったとのこと。
将棋は難しいものだと、改めて思いました。

全棋譜は将棋連盟ライブ中継で。

余談ですが、竜王ランキング戦には敗者復活戦(正式名称は「昇級者決定戦」)があります。
「裏街道」などとも呼びますが、実は棋士以外(アマチュア・女流棋士・奨励会員)は参加できない決まりなので、その全員が敗退するまで、6組の裏は始まらないことになっています。
今日以降、組み合わせ表が作成されて、順次対局が進むことになるはずです。

また組み合わせといえば、昨日、来期順位戦の表が届きました。
こちらも、まもなく公開されるものと思います。
毎年のことなのでもう慣れているはずでも、改めて、身の引き締まる思いがしますね。

 

盤外の話題。
映画「3月のライオン」はまもなく後編のロードショー開始です。
いま調べてみたら今週末からでした。
ちなみにこういう場合、ちょうど切り替わる、とかそういうわけではなくて、後編が始まっても、引き続き前編も映画館でやっているケースも多いらしいですね。
とはいえ、まだの方はお急ぎください!

感想戦のはなし

昨日はテレビ棋戦の感想戦について触れたところ、たまたま当日のNHK杯で感想戦がけっこう長く流れたので、それについて書いてみます。

先手は畠山成八段、後手は増田康四段。
相掛かりの戦型で、ここまでは後手がすこし作戦勝ちかな、という流れ。

自分が放映を見ていた限りでは、たぶんこの場面が勝負どころ。
実戦は▲3四銀と勝負に行くも、△同銀▲同角△3六歩以下反撃が厳しく、短手数で後手が勝つ結果に。

感想戦では、代えて▲7六歩が有力ではなかったか、という話に。
「打診の歩」などと呼ばれる手筋です。
これを△同飛なら、▲7七銀△7三飛(※△7五飛もあるかも?)▲3四銀△同銀▲同角と進めて

これは8八の壁銀が解消されていて、いわゆる「一歩で一手を稼いだ」形。
増田四段はこの図には否定的なニュアンスだったように見えました。

そこで▲7六歩に△5五飛と逃げる手が有力。
対して同じように攻めると今度は△4九銀の反撃が厳しいのではないか、という趣旨のことが話されていました。

(※放映ではすぐに別の局面が並べられていたと記憶していますが、以下▲4八金や▲5九金なら△3九角が狙いの一手。
ただ▲4六銀などと受ける手は考えられるので、この図も難しいように思いました。)

感想戦の本線(一応の結論らしきもの)は▲7六歩△5五飛に▲6六歩といったん落ち着く流れ。

たしかに、なんとなくお互い手を尽くしている感じがします。

さて、こんな感じで解説しようとすると、やっぱり図面もいくつか必要になるし、これでもうまく説明できているかはわかりません。
時間がたっぷりあってもこんな感じなので、多くの感想戦はもっと、ずっと難しいのではないかと想像します。

特にこの将棋のように、20分以上時間があると、どうしても持て余してしまうので、それなら「感想戦の解説」をしたほうが面白くなるのではないかというのが、昨日書いたことの意味です。
毎回、という意味ではありません。
自分の体感だと、放映のための感想戦の時間が、15分ぐらいあるとけっこう長いなという印象です。
5分~10分ぐらいだと、ワンポイントぐらいしかできないので、逆に気を遣いながら進めやすかったりします。
もちろん対局時間の調整は無理なので、そこは臨機応変に対応していただけるといいなと思っています。

 

炎の七番勝負は、またしても藤井四段の勝ち。
いままでの将棋の中でも、とびきりの完勝だったように思いました。
将棋はこうやって指すものなんですね。

「中学生が会長に勝った」的なコメントをネット上で見ました。
その発想はなかったけど、言われてみるとたしかに。
勝負の世界ですから、そういうこともあります。
来週は羽生先生の登場なので、さらに大変な盛り上がりになりそうです。

テレビ棋戦のはなし

昨日は公式戦のリアルタイム中継がありませんでした。
こういうときの将棋連盟ライブ中継は、「好局振り返り」と題して、過去の中継局に勝者の解説や感想を入れて、配信していることが多いです。
自分自身も何度か取り上げていただきました。
リアルタイムの緊張感はない代わりに、本人の感想ほど確かなものもないので、その将棋を詳しく知りたい、勉強したいという方には特にオススメのコンテンツです。
昨日の菅井ー澤田戦は、弟弟子の会心の一局でした。

今日はテレビ将棋の話を。
報道によれば明日、藤井四段の次の対局があるようです。
ご存じの通り、NHK杯・銀河戦・女流王将戦のいわゆるテレビ対局では、収録から放映までの間、原則として結果を公表しないことになっています。
結果を知らずに観たいという、視聴者の興味をそがないための配慮です。
ただ、キリ勝や昇段等の報道は行われるので、それによって結果が分かってしまうというケースはときどき(たぶん年に数回程度)生じています。
たぶん明日は、連勝ストップあるいは継続の、報道がある可能性が高いと思います。

以前は、将棋連盟HPに出ている通算あるいは年度の成績の更新によっても、結果が分かるケースがありました。
現在は、成績への反映は放映後に行い、結果が類推できないように配慮しています。
ただそもそも、「放映日をもって対局日とする」という対応のほうが良いと、個人的には以前からずっと思っています。
だいぶ前に、ブログにそういう趣旨のことを書いたこともあります。
最近大平六段が全く同じことを書いていたので、久々に思い出しました。

半面このやり方だと、たとえば明日の藤井四段の結果とか、あるいは先日の三浦九段の対局結果とかも、その日には報道されないことになります。
それが果たして良いのかどうか?
自分は合理的な解決策だと思っていたので、実際に公の場で発言(提案)したこともありました。
そのときには対応は変わらず、物事を変えるというのはなかなか大変だなあと思ったりもしたものですが、実際のところ、こうやって報道を見ているとどっちが良いかはたしかに難しい問題と感じます。

ちなみに棋士は、結果を知っていることも多く、たとえば僕は先日のNHK杯決勝を、結果を知っている状態で観ていました。
それでも、十分に面白かったです。
ただ、たまにファンの方に聞くとやっぱり結果を知らずに観たいという方が多いようなので、それならばできる限りはそう配慮すべきではないかということで、自分の意見はいまも変わっていません。

ついでにもうひとつ、これもだいぶ前に書いたのを思い出したので最後に。
「それでは感想戦の途中ですが・・」で終わる様式美は、いまだに好きになれません。
対局中は同時進行で解説しているのでそのまま流すのが自然、しかし感想戦は編集かあるいは解説を入れたほうが、ポイントが分かりやすく良いものに仕上がるように思います。
対局者としても、なるべく時間内にちょうど急所の場面を収めたいと思っても、なかなか思った通りにはいかないですし、観る側からすると、難解で内容が分からないことが多いので。
長年の疑問と希望です。