感想戦のはなし

昨日はテレビ棋戦の感想戦について触れたところ、たまたま当日のNHK杯で感想戦がけっこう長く流れたので、それについて書いてみます。

先手は畠山成八段、後手は増田康四段。
相掛かりの戦型で、ここまでは後手がすこし作戦勝ちかな、という流れ。

自分が放映を見ていた限りでは、たぶんこの場面が勝負どころ。
実戦は▲3四銀と勝負に行くも、△同銀▲同角△3六歩以下反撃が厳しく、短手数で後手が勝つ結果に。

感想戦では、代えて▲7六歩が有力ではなかったか、という話に。
「打診の歩」などと呼ばれる手筋です。
これを△同飛なら、▲7七銀△7三飛(※△7五飛もあるかも?)▲3四銀△同銀▲同角と進めて

これは8八の壁銀が解消されていて、いわゆる「一歩で一手を稼いだ」形。
増田四段はこの図には否定的なニュアンスだったように見えました。

そこで▲7六歩に△5五飛と逃げる手が有力。
対して同じように攻めると今度は△4九銀の反撃が厳しいのではないか、という趣旨のことが話されていました。

(※放映ではすぐに別の局面が並べられていたと記憶していますが、以下▲4八金や▲5九金なら△3九角が狙いの一手。
ただ▲4六銀などと受ける手は考えられるので、この図も難しいように思いました。)

感想戦の本線(一応の結論らしきもの)は▲7六歩△5五飛に▲6六歩といったん落ち着く流れ。

たしかに、なんとなくお互い手を尽くしている感じがします。

さて、こんな感じで解説しようとすると、やっぱり図面もいくつか必要になるし、これでもうまく説明できているかはわかりません。
時間がたっぷりあってもこんな感じなので、多くの感想戦はもっと、ずっと難しいのではないかと想像します。

特にこの将棋のように、20分以上時間があると、どうしても持て余してしまうので、それなら「感想戦の解説」をしたほうが面白くなるのではないかというのが、昨日書いたことの意味です。
毎回、という意味ではありません。
自分の体感だと、放映のための感想戦の時間が、15分ぐらいあるとけっこう長いなという印象です。
5分~10分ぐらいだと、ワンポイントぐらいしかできないので、逆に気を遣いながら進めやすかったりします。
もちろん対局時間の調整は無理なので、そこは臨機応変に対応していただけるといいなと思っています。

 

炎の七番勝負は、またしても藤井四段の勝ち。
いままでの将棋の中でも、とびきりの完勝だったように思いました。
将棋はこうやって指すものなんですね。

「中学生が会長に勝った」的なコメントをネット上で見ました。
その発想はなかったけど、言われてみるとたしかに。
勝負の世界ですから、そういうこともあります。
来週は羽生先生の登場なので、さらに大変な盛り上がりになりそうです。

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