注目の一戦

本日は竜王戦、佐々木勇気五段ー藤井聡太四段戦。
こちらに中継・放映・解説会等の情報がまとめられています。
注目の一戦、日曜日でもあり、終日ご覧になる将棋ファンも多そうですね。

自分自身の今日は、これからまず都議選に行って、その後連盟で取材が1本。
午後はバックギャモンのリーグ戦で、夕方NHKに移動して夜、ニュース7に生出演の予定です。

藤井四段の連勝が続くにつれて、対戦相手の棋士への注目が多く集まっており、とても良い傾向と思っています。
佐々木五段の印象をテレビで聞かれて、僕は「才気煥発」「用意周到」この2つの四字熟語を答えました。
才能豊かなのはもちろんとして、彼の将棋はおっと思わせるような手が飛び出すことが多く、華のある棋士の一人です。
加えてお盆を家から持参したり、敵情視察に赴いたり、といったところは、すでにフォーカスされているところです。

ところでこのカードでいちばん思い出すのは、個人的には詰パラ2016年5月号の表紙、佐々木勇気作。
自分のtwitterのTL等ではこの話をしている人がいないので、案外知られていない情報なのかもしれません?
その名文から一節だけご紹介します。

目が覚めたのは春でした。選手権の打ち上げの席で「藤井三段の対策をするべき」と言われたとき、棋士の役目を感じました。

正直言うと、これを読んだとき僕は「いくらなんでもちょっと大げさなのでは」と思いました。
印象に残ったのでよく覚えています。

しかしそれからわずか1年あまり、まさかこんな大舞台で対戦するとは。
若者の成長と、当時から意識していた慧眼、どちらもすごいものです。
そんなこともあって、今日の彼の「棋士の役目」にはことさら、注目しています。

 

藤井四段のことについてですが「危機管理」に優れているという印象で、以前NHKでもそのように話しました。
リスクとリターンのバランスが優れていることは、政治や投資、あらゆるゲームの場面において、もっとも重要な資質と思います。

彼という人に注目が集まるにつれて、本当にいろいろな報道を目にしています。
週刊誌やバラエティ系のテレビ番組などは特に玉石混交の印象で、有名になるというのはこういうことでもあるよなあと思ったりも。
また将棋界全体としては、将棋の特にどこにフォーカスしてほしいのか、いまこそ前面に打ち出していくべき時期と感じています。
先日の感想戦についての記事も、そういう気持ちもあって書いてみた次第です。

棋士個人にできることは多くはなくとも、自分もメディアに出演するときは自分が出るということではなくて、将棋界にとって、将棋界の一員として、ということを意識して話しているつもりです。
なかなか慣れませんし反省も多いですが、これからも一生懸命務めたいと思います。

また将棋界が長年にわたって新聞社にお世話になっているのは周知の事実ですが、最近は将棋欄だけではなく1面、社会面等、本当に多く取り上げていただいています。
朝日の天声人語、日経の春秋など花形のコーナーにも。
いまの状況がこれからも続くように、業界全体として努力していきたいものです。
紙面で大きく取り上げたくなるような、価値の高いニュースやコンテンツを提供することこそ、棋戦を主催していただいていることへの一番の恩返しでもあると思いますので。

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