七段

昨日の竜王戦、またしても藤井六段(新七段)は強かった。
角換わり棒銀を相手に、△4五角と中空に放った一手は、初めて見ました。
その後もまったくミスがなかったように思います。

これまでの彼の棋譜を見ていて、特に角換わりの研究量はすごいと感じていますが、研究だけでなく初見での対応力も抜群で、30年以上将棋をやっていて子どもの頃から最近までずっと角換わりをよく指していた自分よりも、すでに経験値の面でも上という気がします。
情報を際限なく得られる時代になったいま、そこから効率よく(単なる経験ではなく)しっかりした経験値を得る方法を、自然と身につけているように見えます。

終盤で飛車の高美濃囲いができたのにも驚きました。
△6三金という手はけっこう気がつきにくい手だったと思います。
「名人に定跡なし」という古来より将棋界に伝わる格言があるわけですが、最近のプロの将棋を観ていると、強い棋士ほど過去のセオリーにとらわれずに指している気がしますね。
セオリーが過去のものになったというわけではなくて、セオリーの例外を独自に言語化できる人が勝つ時代なのでしょう。

前にも書きましたが今回の連続昇級による昇段は、規定としては変な気がするので、個人的には改まってほしいと思っています。
いっぽう朝日杯(全棋士参加棋戦)優勝の時点で七段でも良かった気はしますね。
いろいろなめぐりあわせがあって、トントン拍子にスターが昇段を重ねたことは、ニュースにもなって結果的には良かったと思います。

個人的なことですが彼が四段になった頃、自分は七段への勝ち星昇段まで2~30勝ほどだったはずで、まさかここで抜かれるとは思わなかったです。
やっぱりスターというのはすごいなあという思いが大半と、でも自分もあともうすこし頑張っておけばなあという気持ちも少なからずあります。
調べてみるとあと4勝でした。
棋士紹介で藤井君の隣に並びたいところですが、宮田六段があと1勝のようなのでちょっとそれも難しそうです。

七段になると席次でもだいぶ上のほうに来るので、15歳にして上座を占める機会も増えそうですね。
それにしても、いやはや、すごいものです。

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