ゾーン

先日に続いてスポーツ由来の話なんですが、同郷の元陸上選手である為末さんのブログを最近よく読んでいます。
為末さんはいまはスポーツの元選手や指導者としてというよりも、むしろ経営者として活躍しておられるようで、たぶん物事を突き詰めて考えるということがセカンドキャリアに活かされているのだと思います。
そして自分自身の頭で考えたこと、体で感じたことを言語化する能力がすごい。本当に真剣に考えているからこそできるのだとは思いますが、ここまで高い言語化能力を持つスポーツマンはなかなかいないのではと思います。

私のパフォーマンス理論vol.21 -ゾーンについて-

文中に将棋の例が出てくるぐらいで、将棋にもけっこう関わりの深い話です。
自分自身でもこういう感覚になったことはあるし、意識的にそういう状態を作り出す努力も時にはします。
極限まで集中した状態を「ゾーン」のような単語で表すことは珍しいことではなくて、たとえばハチワンダイバーで「ダイブ」と表現されているのも、この感覚に近いでしょう。
ただその状態がどうやって生まれるかとか、それはどういう状況なのかといったことを、突き詰めて考えそして表現したトッププレイヤーというのは珍しいのではないかと思います。

ゾーンにどうやれば入れますかと時々聞かれるが、準備はできても意識して入ることはできないと私は思う。

ゾーンに入るときはゾーンに入ろうとしていることを忘れ、対象物に夢中になっている。ゾーンとは良い準備の結果なのだと思う。

意識のベクトルが対象に向いている時は問題ないが、意識が自分に向いたりまたは他者に向いた時にゾーンは阻害される。つまり将棋で言えば将棋の盤を見てどう駒を動かそうかと試行錯誤している間はゾーンに入りやすいが、考えている自分は外からどう見えているのだろうかという外への意識や、もしこれで負けたらどうなるんだろうはゾーンを阻害する。

このうち準備段階の努力はしやすいですが、意識を対象物にのみ向けるという行為を、意識的に行うことはなかなか難しいというのが自分自身の実感です。
将棋で言えば最終盤、秒を読まれれば誰しも集中せざるを得ないわけですが(いわば強制的かつ一時的に集中させられている状態)その状況が長く続くことは実際には稀で、そうした外部要因に関わらず集中を作り出せないと役に立ちません。

書いていて改めて思うに、自分はこの「意識を対象物にのみ向ける」ということがとても苦手です。
そしてそれは訓練によって後天的に獲得することが比較的難しい能力だったからではないか。という仮説を持っています。
なのでこうしてトップアスリートが言語化して伝えていくことで、そのためのトレーニング方法が徐々に確立してくれば、非常に価値があることではないかと考え、紹介してみました。

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