午後は金井六段との対戦でした。
振り駒で再び後手番になり、積極雁木を採用。先手も雁木で追随する流れで、ほぼ先後同型に近い相雁木になりました。
相雁木は僕にとって思い出の深い戦型で、以前こんな記事を書いています。
雁木
以来この戦型を指すのは実に30年近くぶり、少なく見積もっても20年以上ぶりだと思います。将棋って、こういうこともあるんですね。
この戦型や思い出については平成新手白書にも書いています。
そんな遠い昔の記憶は、もちろん実際の公式戦で役に立つということはないのですが、本局はたまたま序盤をうまく指せて、プロ的にはかなり差のついた作戦勝ちになりました。
しかしそこからうまく指せませんでした。将棋は良いほうが決めきれず、むしろ粘るような指し方をするとだいたい混戦になります。
紆余曲折あってこんな局面になりました。すでに129手目です。

ここに至るまで、本当にいろんなことがありましたがここはまたチャンスが来たと感じていました。
駒がたくさん当たっていて非常にややこしい局面、すこし整理すると、飛車を取られても後手玉はまだ詰まないので、その間に詰めろをかければ勝てそうです。
ということで第一感は△4六角で、たぶんこれなら勝ちでした。
ただ秒読みなのでなるべくリスクの低い手を、という気持ちが△6七歩という手を選ばせました。これが疑問手で、▲同金△5四飛にじっと▲5六歩と受けられて妙に難しくなりました。
飛車取りと▲5三歩成、狙いを2つも解除できたのですが、それでも▲2六桂とか▲4六桂とかいろいろ残っていて、嫌味を完全に消すことはできません。
どうせ受け切れないなら攻めに注力すべきでした。と後になれば言えますが自陣も見ながら指してしまうのは人情でしょう。
そして焦ったところで△4三銀という2000点級の大ポカが出て、すかさず▲2三桂と打たれて逆転しました。これは1分将棋とはいえさすがにひどかったです。しかし、ひどかったとはいえすでに悪手の出やすい局面ではありました。
終盤のミスが多く残念な将棋でした。
いつも興味深く読ませていただいており、ありがとうございます。お忙しいところ、質問で恐縮です。図の局面、△4六角に▲5七桂と受けられた時は、どのように後手は指すのか、教えていただければ、幸いです。
△4六角に▲5七桂の場合は、そこで△5四飛と回ります。
そのときに▲4六桂と打たれる手がないのがポイントです。
以下
(1)▲2六桂は△5七角成▲1四桂に△6六馬▲7七金打△同馬▲同金△5八飛成▲7八角△6五桂打のように合駒を使わせながら攻めれば勝ち。(他の受けは詰み)
(2)▲3四香は△5七角成で、以下▲2三歩なら△1一銀、▲2三銀なら△6六馬▲7七桂△3四金などで受けに回って勝ち。
これらの順は駒の当たりを増やしたり、途中でもう一度受けに回ったりとけっこう複雑なので、駒を渡しにくい△6七歩を選んでしまいました。
あと実は私も実戦で▲5七桂が気になって、△4六角を決断できなかったのですが、桂を使ってもらえるのであればそのぶん自玉が安全になるので、その意味でも△4六角を選ぶべきでした。
ご丁寧に解説いただき、誠にありがとうございます。またご返信いただき嬉しく思います。お時間があればで構いませんが、質問ついでに最後、△4六角▲5七桂△5四飛に▲5八歩だと、その後はどのような展開が考えられるでしょうか。
そこまで利かせば、△4三銀打と受けに回って良さそうです。
▲4二成桂△同玉と清算してもらえば、△8四桂などの狙いが生じます。
ちなみに実戦の△4三銀でも「打」のほうが(▲2三桂を与えないので)マシでしたが、それだと▲4六桂の両取りが生じます。
つまり△4六角が「敵の打ちたいところに打て」で一石二鳥の攻防手になっています。
ありがとうございます。4三銀打と受けに回るのですね。丁寧にお答えいただき、感謝しております。ちなみに平成新手白書は、発売直後に購入し、大変参考にしております。最近の戦法にはなかなかついていけないですが、私は私のレベルで粘り強く指せればと思います(難しいですが)。今後もご活躍をお祈りしております。
こちらこそ、熱心にお読みいただきありがとうございます。
また著書もご購入いただいたとのこと、そちらもありがとうございました。