カオス

昨日のA級順位戦はすごい将棋でした。
これほど形勢判断不能な局面が延々と続く将棋は、平成以前には多くなかったと思うのですが、たぶんこういうのが令和のトレンドになっていくのだと思います。
原因を探ってみると早い段階で桂馬が跳ねたり、成駒が自陣に帰ってきたり、交換した金銀を互いに打ち合って非対称な状況が長く続いたり、玉の囲いが定まらないままだったり、といったところが挙げられると思います。

日本将棋は持駒再使用が最大の特徴なので、こうした展開はある意味、将棋というゲームの特性をよく表している、という見方もできるかもしれません。
考えてみると過去にも、たとえば互いの飛角や金銀を入れ替えてスタートする、といった実験がお遊びで行われることは多々あったでしょう。
ただ、そういうときに優劣や形勢について真剣に考えたことはまずなかったと思います。
最近はそういう「初形からは普通はたどり着かないような不思議な局面」に、早い時間帯に遭遇してそこから戦いが長く続く、というケースが増えているように思います。
終盤であれば、いくら不思議な局面でも玉に向かっていくという明確な指針があるのでまだなんとかなりますが、中盤だとバランスを保つのは相当に難しいと思います。
昨日の将棋はそういう意味で、観ていて訳が分からないなりにレベルの高さが感じられて、素晴らしい将棋だったと思いました。

C2は大橋ー斎藤戦が序盤、中盤、終盤と目を引く手の多い面白い将棋でした。
形のきれいな将棋の中では黒田ー西田戦、新型急戦炸裂とその後の粘りで大熱戦になったあたり、参考になる手の多い一局だったように思います。
リーグは全勝が2人減り、混戦模様でしょうか。昇級ラインが1敗以内に収まるかどうかが今後の注目と思います。

今日は王将リーグが2局など。

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