世代論

自分の対局があった関係でスルーしていたのですが、月曜日の新人王戦は高野四段が競り勝ち、星取りとしては逆転での初優勝。
年下で段位やクラスでは上を行くエリートを撃破しての優勝は見事でした。
これは将棋界的には少ないケースで、もちろん師匠の木村王位ほどではないにせよ、大変な実績だと思います。

本人もインタビューで答えていた通り、この世代はタイトル獲得者・優勝経験者が多数いて、その中では高野四段は遅れてきた大器と言えそうです。


ちなみにこのメンバーには高見・斎藤・八代・三枚堂・池永・高野・香川が該当、ひとつ上が永瀬・菅井、ひとつ下が阿部光・佐々木勇など粒ぞろいです。
(段位等略)
このツイートをしてから、ちょっと気になって調べてみたところ、自分の世代がいかに谷間世代かということが分かりました。

まず同学年の棋士は4人いて、優勝経験者はゼロ。
一学年上は4人中1人で、ひとつ下は3人中1人。
二学年上は6人中1人で、ふたつ下はなんと棋士自体がゼロ。
棋戦優勝がいかに大変かということが分かります。

ただ、棋士になれた人数という観点ではそこまで少ないわけでもなく、自分の場合奨励会同期で見るとむしろかなり多いほうです。
しぶとく頑張ってる世代ではあるかな、と思います。

あと、優勝者の数はすなわち棋戦の数、特に若手棋戦の数に大きく左右されます。
自分の世代の場合、若手時代に過去の若手棋戦が終了あるいは縮小してしまい、現在の若手棋戦のまだ誕生していない時代に当たってしまいました。
昨日書いた「七段昇段が重なっている現象」も、棋戦数の少ない自分たちの世代がたまたま続けて上がったのと、棋戦数・昇段規定が増えたいまの若手の中で勝率の高い棋士がそこまで到達したのが、時期が重なった結果ではないかと思われます。

斜陽産業、という言葉が一瞬流行りかけた頃から十数年経ち、いまは将棋界にとって(自分の知る限りでは)一番良い時代なので、いわゆる「黄金世代」のようなものが誕生しつつあるのも、ある程度は環境による必然かなと思います。
世代間のつばぜり合いというのは、特にプロ生活が長く続く将棋界では面白いポイントの一つだと思うので、これからも注目して観ていただけたらと思います。

昨日、同世代の副会長が世代論について書いていて興味深かったので、また違った観点からすこし書いてみました。
藤井七段に同世代がいない、というのはたしかに言われてみるとなるほど興味深い視点で、渡辺三冠に年の近いタイトルホルダーが広瀬竜王や佐藤(前)名人まで離れてしまっているような現象が、彼にも起きる可能性はあります。
あとC2に十代の棋士がいない状況が今後いつまで続くかも、地味ながら注目すべきポイントなのかもしれません。

それではまた

観戦の一日

昨日はゆっくりと将棋観戦の一日。
負けが込んでいても、将棋自体は面白いと思えているのは自分にとっての救いです。

リコー杯は西山女王の先勝。軽い逆転勝ちと思います。
近年の女流タイトル戦は挑戦者が星を先行すれば盛り上がる、という状況が続いています。
西山さんはいま現在で里見さん相手に逆転勝ちを収めたり、あるいは3タテしたりという可能性のある唯一の女性だと思うので、これで盛り上がるというよりはすこしリードした感じもします。
今日が移動日で明日が女流王将戦の最終局、というのはすごいスケジュールで、その明日はかなりの大勝負ですね。

竜王戦、佐藤和俊さんが1組昇級で七段昇段。これは大変な快挙です。
実は近年、六段→七段の昇段が大流行(?)していて、昨年と今年で数えてみると自分を含めて実に15人目でした。
さすがに過去に例のない数字ではないかと思います。

特に同世代が多く、昇段順に(敬称略)千葉・宮田・西尾・横山・村中・佐藤和、あと数勝なのが村田智・佐々木慎、自分はこの全員と三段リーグでの対戦があります。
棋士になって15年が経つのですが、よもやこんなことが起きるとはちょっとびっくりです。

B2順位戦は丸山九段が唯一の全勝を守り、1敗も軒並み星を伸ばす展開に。
最後に残った2局の飯塚ー藤井戦・中田ー飯島戦はいずれも詰む、詰まないの超難解な攻防で、詰ましきったお二人が見事でした。
秒読みの最終盤は観戦していて一番面白い場面ですが、対局者自身が正確に指すのは技術と精神力が必要で、本当に大変なことです。

今日はB1の順位戦など。

負け

昨日の対局は、まさかの相居飛車。
振り飛車党同士の相居飛車、というのは昔からよくある展開とはいえ、黒沢君が自分相手に居飛車で来ることは想定しづらいので、すこし意表を突かれました。

もっともそれで悪くなった、というわけではないと思うのですが、その後の相手の指し方がうまく、結果は完敗でした。
こちらが一方的に時間を使ったのに、感想戦では読みにない手をたくさん指摘され、本筋を見抜く才能の差を感じました。

それと昨日、本当に驚いたのは隣でやっていた高崎ー山本戦が相居飛車になっていたことです。
山本博志君と言えば三間飛車一筋で有名で、彼が居飛車を指すのはかなり珍しいはず。
なんともレアな一日に遭遇したものです。

今日はB2順位戦の一斉対局など。
また高知でリコー杯が開幕します。
展望記事が兄弟子と妹弟子の対談だったので、特に興味深く読みました。
里見女流王座VS西山女王 女流王座戦五番勝負30日開幕

本局は対抗形で、あまり例のなさそうな感じの進行になっています。
すでに何度か書きましたが女流王将戦と合わせての「八番勝負」は内容、結果とも要注目です。

千駄ヶ谷

昨日は久々の研修会指導、後で調べてみると1年ちょっとぶりでした。
初戦はお互い秒読みの競り合いになり、最終盤で詰む詰まないの読みを誤り逆転負け。
最後はちょっと恥ずかしいところを見せてしまったものの、内容的にはかなりの好局だった気がします。研修生は終盤が強い。

以降も押されに押されあわや4連敗、というところでしたが最後の一つ、最後の最後で命拾いしました。たぶん4連敗はしたことがないはずなので、危ないところでした。
普段とは違う真剣勝負で、何だか良い刺激を受けた気がします。
またたまにはこうした機会があればと思います。

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将棋の街・千駄ヶ谷はオリンピック開催が決まって以降、ずっとあちこちで工事が続いている状態ですがようやく完成が近づいてきましたか。
仕事を終えてからあたりを散歩してみたのですが、国立競技場もいよいよ完成間近の様子。
もちろんまだ中には入れないはずですが、なぜか「国立競技場はどこですか?」と近くで道を尋ねられました。人々の関心も高いようです。

千駄ヶ谷駅の改札もようやく新しくなりました。たぶん、もうすぐ新しいホームが完成して稼働するんでしょう。
多少遠くなって微妙な不便を感じていたので、元の位置に戻ってくれて良かったですね。
あとは大山先生の「王将」水飲み場の復活が待ち遠しいところです。
将棋会館の案内掲示とかも一時的に外されていますが、いずれ元に戻ることでしょう。

今日の千駄ヶ谷は新人王戦の決勝局が行われています。この季節は特に大一番が多いですね。
>こうなったらどっちが先手になっても相掛かりで、秒読み勝負になるんでしょうね。
と第2局のときに書いたのですが、見事に外れました。

あと立会人が阿部光瑠君なんですね。若い。
25歳は前例ありそうな気がしますが、平成生まれの立会人はたぶん初めてではないでしょうか。
両対局者と世代が近いので、解説にも注目して観戦したいと思います。