注目の一戦

昨日の竜王戦本戦は増田六段の勝ち。
先手番で意表の矢倉を採用、「終わった」発言はこの日のためにあった、わけではないと思いますが練りに練った作戦という印象は受けました。

部分的には昔からある急戦矢倉でしたが駒組みの手順が現代的で、「矢倉は変わった」が正しい認識なのではないかと思っています。
そう、変化し続ける者だけが生き残る。古今東西、普遍的な真理です。

69手目の▲9五角は実にカッコイイ手でした。
藤井君が見せた△7七同飛成に負けないぐらいの妙手ではないでしょうか。


あと余談ですがこの手を見たとき、戦型も局面も何もかも全然違うのに「中田功の△1二飛」を思い出しました。
こういう語り継がれる一手を、自分も指してみたいものです。

観ていてこのあたりで形勢が傾いたと思いましたが、実際はその後も延々と熱戦が続きました。
粘りを振り切った増田六段は本当に見事だったと思います。素晴らしい将棋でした。

最近とみに素晴らしい将棋が多く中継されている印象です。
将棋は本当に奥が深くて面白いですね。

 

明けて今日は棋聖戦第3局、舞台は沼津。

僕は午後から蒲田将棋クラブで指導対局をします。
蒲田では以前は後輩に将棋を教わったりしていたのですがもうここ何年もご無沙汰で、最後に行ったのはいつのことだったか?

指導対局はもしかしたら初めてだったかもしれません。
皆様のご来場をお待ちしております。

東京はここ数日ですっかり暑くなりました。
6月中に梅雨明けとは驚きますね。

暑さに負けず、元気よく行ってきます。

 

 

修道

サッカー日本代表はよもやの結末でした。
引き分けを狙う戦略はあるのかなと思ってましたが、負けても大丈夫な状況もときにはあるのですね。
ポーランドも勝ったし、日本も予選突破を果たせて一挙両得、なのかな。

ポーランド戦に合わせたかのようなタイミングで、マイナビニュースにカロリーナの記事が出てました。
お風呂に驚いたとは僕も知らなかったし、いろいろと興味深く面白い内容でした。

 

昨日の僕は書道部のあと、サッカーは見ず、順位戦も見ることなく、修道のOB会に参加していました。

修道学園(中高)は自分の原点とも言える場所で、進学校でありがなら月に2回、学校を休んで奨励会に通えたのは間違いなく修道の自由な校風のおかげです。
入学したのは偶然でしたが結果的に他の学校だったら東大には進学していなかったでしょう。
巡り合わせにいまも感謝しています。
18歳で卒業してからちょうど倍の年月が経ち、そろそろ恩返しするような年齢になってきたので今後はときどき参加させていただこうと思っています。

実はこの夏に高校生向けにちょっとした講演を予定しています。
どんな話になるかはまだ未定で、自分自身も楽しみです。

いろいろとこういったプライベートの予定なども多く、良いことでもあるのですがちょっと忙しくなっていて肝心の将棋の勉強に時間が取れていません。
来月は対局が続くので、そろそろモードを切り替えなくてはと思っています。

今日は首都大の講師担当日。

ポーランド

今夜はワールドカップの予選リーグ最終戦ですね。
ニワカなのでたぶん深夜の生放送は観ないと思いますが、実はコロンビアに勝つ瞬間は偶然リアルタイムで観てました。

ここまで下馬評を覆す健闘ぶりだし、ポーランド出身の弟子が取材を受けたりして、自分なりにちょっと注目しています。
ポーランド人女流棋士カロリーナさん、日本戦は不屈の「オナー魂」発揮(スポーツ報知)

実は旅行中に何度か僕の携帯が鳴って、出てみると彼女への取材依頼でした。
いくつかテレビの取材も受けてコメント出演したみたいです。
対応する僕を見ていた妻に「付き人みたい」と笑われました。師匠なんだけど。

ところでポーランド戦はボルゴグラードという街で行われるみたいですが、ここは広島と姉妹都市だそうで。
旧名スターリングラード、と記事で知ってああ、と思い出しました。
ヨーロッパは名前や表記が変わることが多いので難しいです。
何かストーリーや周辺情報を知るとそのトピックがいっそう身近なものに感じられますね。

ところで「オナー魂」というのは聞きなれない言葉です。
検索してみてもあまりめぼしい情報は得られなかったので、たぶん使われてるけど日本語にはなっていない言葉なんでしょう。
米長哲学、というのともちょっと違う感じがします。
何はともあれきっと相手も一生懸命来るだろうしそのつもりで戦うのが良いのではと自分なら考えます。

予選突破には引き分けでも十分なようでで、必ずしも勝ちを目指す必要がないときの戦略、というのはチェスに通ずるものがありそうです。
将棋には存在しないシチュエーションで、将棋指しの感覚としてはついいつも通り点を取りに行ってほしいと思ってしまいますが、そのあたりはどうなんでしょう。
戦略はよく分かりませんが、たぶん実力的にはポーランドが上なんだと思うので、日本には思いきりぶつかって頑張ってもらいたいと願っています。

書いてたら思いのほか長くなったので、今日は将棋の話題なしでこのまま終わりにします。

あれから1年

昨夜遅く、帰京しました。
楽しい旅でした。その話はまた明日かあさってにでも。

 

29連勝のあの熱狂から、昨日で1年を迎えました。
ちょうど1年前のブログ(「新記録」)を読み返してみても、当時の興奮や衝撃がよく伝わってきます。

ひとつ勝つたびに彼(※藤井当時四段)のファンが日本中に増えている現状で、対戦相手も燃えるを通り越してさすがにやりにくくなりそうですが、次の佐々木勇気君も「止めるつもりで臨みます」と力強いコメントで素晴らしいと思いました。
彼はしばらく前から加熱する報道陣の下見に来ていて、たしかに当日を平常心で迎えるためにできるだけのことはやるのがプロだよな、と感心しました。
次も素晴らしい将棋を期待しています。

あの新記録達成が竜王戦決勝トーナメントの増田当時四段戦でした。
そして藤井現七段は一昨日の対局にも勝ち、あさって増田現六段と再戦することになったようで、なんだかこのシナリオも出来すぎのような。
増田六段も、昨年の自分自身や佐々木六段と同じかそれ以上に燃えていることでしょう。
とても楽しみです。

一昨日の藤井ー都成戦は、40手目の△3三金に感心しました。
最近の雁木の将棋ではよく見かける符号なので常に視野に入れておくべき手なのですが、自分は何度見ても違和感を覚えてしまいます。
直後42手目の棋譜コメントに「へんてこりんな将棋やな」というセリフが出てきて軽く吹きそうになると同時に、そうだよなあ、と首肯するなど。

あと終盤の入り口、74手目の△3三歩にも感心しました。
藤井七段が相居飛車で受けに回るとき、3三を補強する手になるほどと思わされることが多い気がしています。

 

栃木県棋界のレジェンド、桐山隆さんが22年ぶり3度目のアマ竜王。
おめでとうございます。
桐山さん「信じられない」…アマ竜王戦3度目V

プロと違ってアマチュアは仕事のかたわら大会に参加するだけでも大変で(自分もギャモンやってるのでよく実感します)、早指しで1日何局も勝たないと代表にさえなれないし若い人は毎年出てくるし・・と考えると本当に大変な偉業です。
ただたしかな大局観さえ身に付けていれば年齢を重ねても棋力は簡単には落ちない、というのも事実なのかなと最近よく思うようになりました。
読みの精度に替わる武器を一つでも多く持つことが大事なのかなと思います。

栃木県ではこの春に長谷部君が新四段になったばかりで、お祝いごとが続きましたね。

日経bizgateの連載が月曜日にUPされています。
「職業としてのプロ棋士」と就活

本当によく聞かれるんですが棋士以外の職業を考えたことはないですし、棋士になれたことは本当に幸せなことでした。
これからも長い棋士生活を充実したものにしていけるようにと思っています。

では今日はこのあたりで。

昨日の続き

もう1問、のほうもせっかくやったので書いてみます。
が、実はこっちは全部できていません。

これはひと目見ただけで、昨日のより格段に難しいです。
なぜ難しいか、を説明するのもまた難しいのですが、▲1三同香不成△2二玉、の局面は絶望的に玉が広いし、いっぽう▲2一金△1二玉のあとは選択肢がかなり限られそうなので。

以下は再びネタバレですが、昨日のを考える気もしなかった、という方は、たぶんこれを考えるのは厳しいので、良かったら答えを読んでふむふむと思ってもらえたらと。
もちろん腕自慢の方はぜひ挑戦を。





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(1)とりあえず唯一1枚だけ追加の金合から考えてみます。
金以外は詰み、ということは、歩合した場合の詰み筋は▲同香不成ではありえません。


かといって▲2一金△1二玉とも考えにくい。
他にどんな筋で詰むねん、ととりあえず心の中で突っ込んでみるも、浮かぶ筋はなし。

パッと見えるのは▲1二金△同玉▲1三香成(金合なら△1二同金と取れる)なんですが、この筋、実際に作っていくと分かりますがだいたい▲2一金で詰んでしまいます。


(失敗例)

もうこの時点でお手上げなんですが、なぜか1三に金を裏返した駒を置いてじーーーっと眺めていたら、天啓のように「▲2一と△同玉▲2三竜の一間龍」が浮かんできましたよ。


飛は横に置くと▲2一金~▲〇二飛成の余詰筋が発生しますが、2五~2九はどこでも良いようです。


△1三金・飛合以外は▲2一と△同玉▲2三飛成以下。
△1三飛合は▲同香不成から追い回して詰みます。

(2)歩合は「他だと取って詰む」を考えるのが自然でしょう。
ということで▲1三同香不成△2二玉▲3二金△1三玉、の局面を詰ますことを考えた結果、この図にたどりつきました。

この局面でもう1枚、歩以外の駒を持っていれば詰みます。
歩だけでは何枚あっても王手が続きません。

そしてこれを初形に戻してみると、ちゃんと完成していました。
やはり上に逃がさないのは寄せの基本なんですね。

(3)↑↑の図にたどりついたとき、「桂桂」「歩歩」以外の任意の2枚の組み合わせで詰む、という法則と呼べるかどうか微妙なレベルの発見をしていました。
ということで桂合もセットでできました。

(4)さてここまではまあ何とかなりましたが、残りは普通の(?)発想では解決できない気がしました。
攻め駒を増やすと詰みすぎるし、守り駒を増やすと王手もかからなくなります。
そもそも1三の合駒の性能が中途半端すぎます。

ということで(?)2一に駒を置いてそれをと金で取る、という非常手段に訴えることにしました。
これを△同玉と取り返してこんな局面に。持駒金+α。

ここで▲3二金、と王手しては詰みすぎるかまったく詰まないかの二択になってしまうので、▲3一金、と王手するのが第一感でした。
お、3一には角を利かせられるじゃん?と気づいたとき、角合が完成しました。


角合以外は▲2一と△同玉▲3一飛でうまく詰みます。

たぶん、ここまでは合ってると思うのですが、残りの飛・銀・香はわかりませんでした。特に香は超意味不明。
だって前にしか利かないんだから性能はほぼゼロだし、取られると歩よりは強いんですよ。
いったい詰将棋作家の頭はどうなってるんですかねえ。

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ちなみに昨日の答えですが間違っているのは(6)で△1一玉の応手を見落としています。
正しい図はたぶんこれです。

いままでの思考ログのどこにも出てきていない形で、論理パズルにも柔軟な発想が大切なんだなあと思いました。
(桂合は▲1三角成△同玉のときに▲1四香を防げる唯一の合駒。△1一玉には▲4四角で詰み)

わざわざ最後まで読んで下さった方は詰将棋によほど興味のある方だと思うので、ぜひ詰パラを定期購読して創作にチャレンジしてみましょう。