宿題?

すこし前の話なんですがシカゴに飛ぶ直前のこと、有名な詰将棋作家の若島先生がこんなツイートをされているのが目に留まりました。

面白そうだなと思って、図を頭に留めて飛行機に乗りました。
詰みそうで意外と詰まない簡素な図を考えると、よく眠れることが多いので、うってつけだなんですよね。

結論から言うと、向こうにいるうちにはできなくて、帰ってきてからも考えて、たぶんできました。
ただし、実現可能な逃れ筋(という表現で良いのかどうか?)がそれぞれ1通りだけなのかどうか、までは自分の力では分かりませんでした。

とても面白かったので、以下に自分の考えたことを記します。
完全にネタバレでしかもとても長いので、実際に解いた方、もしくは答えを知りたい方だけ続きをお読みください。
興味のある方は、実際に考えてみてください。





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まず、ものはためしで頭の中で2二に歩を合駒してみて、可能な詰み筋をいくつか考えてみます。


・▲2一竜、もしくは▲2一角・銀
・▲2二同竜
・▲2三に何かを打つ

このあたりがパッと思いつきますが、2三に駒を打つとだいたい詰みすぎるので、これは違うなと直感的に思いました。
あとで分かるわけですがこの直感は甘かったですね。

(1)一番簡単そうなのは金合で、予想通りこれはすぐできました。
▲2一竜で詰む+飛車合は取れば詰むという形を作れば良いのでこれで完成です。
(▲4三角で2一に利きを足し、△2三歩で逃げ道をふさぐ)

(2)次に簡単そうなのは歩合で、歩以外だと切って詰み、という図を考えてみます。
▲2二同竜△同玉▲3三〇〇・・という筋をしばらく考えた結果、この図にたどりつきました。
(▲2一竜△2三玉が逃れるように▲2四角がポイント)


▲3三角成に△1二玉しかないですがそこで飛金銀桂は打って詰み、香は▲3四馬左△2一玉▲2三香以下詰み。
角は品切れで、もしあっても詰みます。

(3)銀合もわりとすぐ浮かびました。これは1一に玉がいる形で▲2三桂に△同銀だけは詰まない、という形が詰将棋でよく出てきますからね。


▲2四桂から入る筋は当初想定してませんでしたが、考えてみると普通ですね。
でも持ち駒桂2枚で銀合以外全部詰むのはやや意外かも。
このあたりまではサクサク進みます。

(4)次に角桂をセットで考えようと思いましたが案外難しい。
そこで飛合が詰まないけど金合は詰むという形を先に探すことにしました。

金合のときと同じで▲2一竜で詰む筋を本線に、金だと切って詰むけど飛だと詰まない、という形を探します。
▲2一竜を▲3三桂で支えるアイデアと、▲4一角の配置に気づいたのはほぼ同時でした。
(金合は切って▲2三金△1一玉▲2一桂成で詰む)


△2二飛合▲同竜△同玉に▲2三飛は△3一玉、▲3二飛は△2三玉、▲2一飛は△3三玉で逃れ。なかなかうまくできてます。
このあたりまでは頭の中だけでできましたが、残りは難しかったです。

(5)日本に帰ってきてから、改めて盤に並べてみました。
頭の中で考えているのとはやっぱり違うみたいで、しばらく眺めているうちに、1三の香を取る詰み筋もあるんだなと気が付きました。
たとえば▲2三竜、△1一玉、▲1三竜、という筋のときに、△同角と取れたら詰まないのでは・・?
と考えていると、実際にできたのは角合ではなく、香合でした。
▲2四竜という超強力な攻め駒の追加に対し、△2一歩の配置がいかにも弱い感じで盲点でした。

・金銀の合駒は2四の竜で切って詰み。
・角桂は▲2三竜「引」△1一玉▲1三竜「上」で詰みます。
・香合は▲2三竜「引」に△同香を用意しつつ、切ったあとが役に立たない唯一の合駒です。
・ちなみに飛合は品切れで、もし打てても詰みます。さあこれであと2つ。

(6)残るは角桂なんですが、飛合のときに気が付いた▲4一角の配置は、ほど良い詰まなさ加減(?)だなと思ってずっと追いかけていました。
特に▲2三ナントカに△1一玉と落ちた形は持駒桂以外なら詰むのです。
いかにもという感じがしますよね。


この筋をずっと考えていて、3四に馬が来ると良いということにようやく気が付きました。


2二の合駒が桂以外ならば、▲3四角成△1一玉▲2二竜△同玉▲2三馬△1一玉に▲1二取った駒、で詰み。
これであと1問です。

(7)角合が自分にとっては一番の難問でした。
そこで原点にかえって、角の利きの特徴を考えてみました。

・頭が丸い(前に利きがない)
・ナナメに効く

・・・はい、それはもちろん誰でも知ってます。
ただ実際に盤面に角を置いて眺めてみると、いままで3一の地点についてはあまり考えて来なかった、という事実に気がつきました。

そうすると、あるんですねえ、「▲3一竜」で詰むという筋が。
これに気が付いてしまえば完成までは一瞬でした。
最後になったのはたまたま自分にとって盲点だっただけで、わりと簡単に気がつく人も多いかもしれません。

△2二合▲2三金△1一玉と進んで、角銀以外は▲3一竜で詰み、銀合は▲2二竜△同角▲1二銀で詰み。
持駒金は銀でも良いし、▲3五桂とか▲2九飛などの配置でも良さそうです。

 

ということで、全部できました。
長々と最後までお読みいただいてありがとうございました。

さて、私からの問題ですがこの(1)~(7)の解答のうち、実は一つだけ間違いがあります。それはどれでしょう?

たぶん、わざわざここまで読んで下さった方なら気づいていると思います。
万が一2つ以上間違いがあったら、そのときはコメントで教えてください。

これ、どのくらいの時間で出来たらプロ級なんですかね?
僕はかなりの時間、楽しめました。

詰将棋の世界、奥が深いです。知ってた。

新機能など

昨日から今期叡王戦が開幕。
九段ばかりが勢ぞろいで(九段戦だから当たり前ですが)、重厚な一日でした。
自分は新棋戦誕生以来まだ良い結果を残せていないので、今期はなんとか頑張りたいです。

モバイル中継新機能のお知らせが来ました。
Android版将棋連盟ライブ中継アプリに待望の新機能が搭載!
アイフォンから遅れること半年ですか。
待ちに待った気はしていましたが、そんなに経ってたとは。

7月1日にアップデートする、とメモ。
忘れないようにしなくては。

同じくHPからですがこちらの対談記事が面白かったです。
ダイエットにインスタ映え、将棋が大流行している理由がわかりますね。

明日から竜王戦の決勝トーナメントが開幕ですか。
藤井七段があまりに勝ちまくるので、そろそろ過密日程で対局をつけるのが困難になってきているのではないかと心配です。
近い世代の若手棋士が立ちはだかるところも見てみたい気がしますが、どうなるでしょうか。

今日はこれから四国に飛びます。
弟に子供が生まれたので、会いに行くのです。

名実ともにおじさんになり、自分ももう30代かと実感します。遅いか。
基本的に気持ちの上ではずっと20代のつもりなんですよね。

2泊3日で戻る予定で、明日あさってはちょっとマニア向けの予約投稿を入れてあります。

それでは。

 

王座戦ほか

昨日は注目の一戦があったので、5限の授業を終えたあと(と書くと学生みたいですね笑)、まっすぐ帰らずに連盟に立ち寄ることにしました。

到着したとき、その深浦ー藤井戦は70手目前後の局面を迎えていました。
直前の63手目は▲9五同歩と手を戻して△6五歩▲8八金で深浦九段が悪くないのではと見ていましたが、感想戦コメントやネット上の(つまりソフトの)見解なども総合すると、大変な局面だったようです。

数手後、74手目の△8六歩が好手で、形勢が藤井七段に傾きました。

たしかにその通りではあるんですがこの局面、多くのプロの第一感はたぶん△8一飛なんですよね。
ただそれは▲6二角成△同玉▲7三金と強襲されて危険なので、もっと安全な手を探すことになります。

他には△5一角や△7二銀などで▲7三成香の狙いを防ぐ手が候補に入ってきて、攻めるなら△7七桂成~△6五桂や△8七と▲同金△8六歩のように先手を取って攻める手が先に見えるところだと思います。
いろいろ継ぎ盤でつついた末に△8六歩が一番良いと気がついたんですが、直前に▲8四角と出てきたところで悠然と△8六歩は、頭が柔らかいの一言だと思いました。

藤井七段がこの手を指したのを見て、ああこれは「魚釣りの歩」だなあ(意味はぐぐってみてください)と思ったのですが実際はそこからもう1時間ぐらい観戦して、自分の力でもはっきり勝てそうな局面まで見届けてから帰りました。
相変わらず手堅いかつ素早い終盤で感心するしかありませんでした。

王座戦もう一局、大阪で行われていた久保ー斎藤戦は、斎藤七段がキレのある終盤を見せて完勝。
詰将棋の力で藤井七段に近いであろう棋士の一人で、次の準決勝も相当に楽しみな一戦です。

もう片方の山が棋王戦五番勝負以来の対戦となる渡辺ー永瀬戦で、渡辺さんが最年長というトーナメント表はたしか昨年も見たような、と思って調べてみたら前期王座戦はベスト8の時点でそうでした。
みんな若いですが中でも藤井君はダントツに若い。注目です。

昨日は他にも棋王戦や順位戦など、豪華な一日でもありました。
順位戦は最後の一局が持将棋になったようで、まだ目を通せていない将棋もあるのでこれから続きを見ようと思います。

学校

昨日は近所にある中学校の将棋部に指導に行ってきました。
いまのところに引っ越してきてちょうど1年になりますが、おそらく同じ学区内なので縁があったと言えそうです。

定期的なお仕事は理事就任に当たっていったんすべて辞めていたので、学校での指導は5年ぶりになるはずです。
昨年までこの中学校には別の指導棋士の方が来られていて、将棋部の活動はもうかなり長く続いているようでした。
これからさらに活発に&強くなってもらえるよう、1年間頑張っていきたいと思っています。

自分が若手棋士の頃に、当時の米長会長の施策で小中学校への講師派遣が始まってから、10年あまりが経ちました。
学校教育への将棋導入推進事業
当時は将棋部のない学校もけっこう多かったように思います。おそらくいまは、当時と比べると盛り返しているのではないでしょうか。

子どもへの普及を将棋連盟にとっての最重要項目と位置付けてきたおかげで、部活や放課後クラブなどで将棋を楽しむ子どもの数は(少子化にも関わらず)ずいぶん増えたと感じています。
彼らが続けてくれていれば初期の子たちはいま、大学生~社会人になっていて、あるいは将棋の楽しさを広め教える側に回ってくれているかもしれません。
そんな良い循環を、今後は期待したいですね。

JT子ども大会でのギネス記録はこうした長年の努力が実ったと言えると思いますし、昨今の藤井ブームの背景にも、地道な活動を続けてきたことが挙げられると思います。
種まきは豊作のときでも不作のときでも関係なく、淡々としかし着実に、行っていくことが大事です。

2日続くのは偶然ですが、実は今日は首都大学東京での講義の担当日です。
中村王座と一緒に務めているもので、こちらは将棋というより法律の専門科目なのですが、これも将棋の奥深さや考え方を知ってもらう活動の一環でもあります。
自分にしかできない、かどうかは分からないけれど自分の役割だとは思うので、これからも頑張っていきたいと思っています。

昨日はヤマダ杯の女流戦が一斉に行われ、ベスト4が出そろいました。
また新女流棋士が一人誕生ですね。
加藤圭女流3級が女流2級に
おめでとうございます。

今日は注目の一戦。
A級棋士深浦康市 VS 最年少七段藤井聡太【棋士データ・成績比較】
最近はHPにこうした展望記事が増えてきて、良い傾向だなと思っています。

では今日はこのあたりで。

名人戦終わる

名人戦第6局は大熱戦の末、佐藤名人が勝って防衛。
この将棋はまさに神経戦で、なかなか本格的な戦いにならない展開でプロ的には見ていて非常に興味深い内容でした。

この時点でお互いに持時間9時間のうち8時間50分以上を消費し、秒読みに入っていました。
名人戦史上に残る、語り継がれるほどのスローペースの一局が誕生したのではないかと思います。

過去の公式戦ではこんなこともあったようですが。

他にも一度も駒が成らないまま終局、とかいろんな珍局がありますが、本局も記録的な一局だったことは間違いないでしょう。

同じく銀杏記者のツイートで知りましたが前期と今期、佐藤名人はまったく同じ星取りで防衛を果たしたのですね。
黒星先行の展開、かつ開幕前の成績がやや落ちているのも共通で、逆境に強いのが強者の証明ということなのかも。

今期の名人戦はとりわけ内容が濃かった印象で、面白いシリーズでした。
本局と似たジリジリした展開になった第3局は特に印象に残っています。
羽生竜王としては第5局の完敗が悔やまれるところだったのではないかと思いました。
現代将棋の要素もふんだんに詰まった将棋が続いたので、名人戦で現れた将棋は今後プロ棋界で流行すると予想しています。

 

地震の日のことなので3日前になりますが、里見さんが棋聖戦で白星を挙げ、次は藤井七段と対戦なんですね。
予選の一局でここまで満天下の注目を集める対局は珍しいでしょう。
藤井君が女流棋士と当たるのは初めてだそうで、今後いつまで予選を指すか分からない(上位に行けば免除になる)ので、かなり貴重な一局になりそうです。

今日の中継はヤマダ杯がズラリ、これはたぶん女流棋士総会との兼ね合いでしょうね。
カロリーナも登場します。

今年の村山杯の案内が出ました。
第17期村山聖杯将棋怪童戦のお知らせ

梅雨真っ盛りという感じの天気が続いていますがそろそろ夏の遠征予定を立てる季節でもあります。
今年も広島で多数のご参加をお待ちしています。