座談会

昨日は中村王座・糸谷八段というスター棋士2人と、学業について話をする機会がありました。
東大受験のときのこととか、単独で聞かれることはいままでにもありましたが他の棋士とゆっくり話したのは初めてのことで、2人の話は非常に興味深かったです。

最近はおかげさまでいろいろな角度から将棋を取り上げていただけるようになっていますので、今後こういう機会も増えていくと良いなと思います。
2人は僕にとっても特別な存在の後輩で、これからも将棋界のために活躍してほしいと願っています。

そんなわけで、久々に対局以外で連盟に行きました。
最近は行くたびに久しぶりなのですが、こうやって外の方から声をかけていただけるのはありがたいことですね。

 

その後、都心に出た足で夜は久々にお会いする方の送別会。
先週末はかなり久しぶりに、将棋ファンの方と飲む機会があって、続くときは続くものだなあとなんだかしみじみ。

この1年ほどで、人づきあいもすっかり様変わりしました。
仕事がなくなったので棋士や将棋ファンと会う機会が極端に減り、家で過ごす時間が多くなりました。
来年度、いまのままで行くか、すこし生活スタイルに変化をつけていくか、考えているところです。

弟子にも日々の生活が一番大事だと口を酸っぱくして言っているので、自分がしっかりしないといけません。
棋士の生活を取り戻すべく、もう1年かけてじっくりと体を作っていくようにと思っています。

 

宣伝をひとつ。
タイトル戦の宿で有名な銀波荘に宿泊して、人気棋士と対局できるそうですよ。
近畿日本ツーリスト

世間が将棋に目を向けてくれることで、こういうことが起きるのだなという好例ですね。
間もなく発売開始のようです。

しばらく前には、常磐ホテル(ここもタイトル戦の宿として有名)で佐藤名人とのタイトル戦体験、という企画をやったことがありました。
今後もこういった体験型の企画は注目を集めそうな気がします。

囲碁界の話題とか

昨日、こんな記事を見つけました。
Theme プロ練習に新囲碁AI 個人で開発、日本棋院導入(毎日新聞)

山口祐君は東大の後輩で、ponanzaの山本一成君と同学年。
彼が囲碁ソフトを作っているというのは誰かに聞いて知ってたんですが、そんなことになってたとは。

自分は入れ違いになったこの世代は、主将を務めた高橋淳君を筆頭に特に強い人が多く、当時の学生王座戦でも何度も優勝してました。
いまこうやって記事で名前を目にするのはなんだか感慨深いものがありますね。

記事で目を引いたのは「棋士やファンが使いやすいソフトの開発が進めば」という一言で、将棋はひたすら強さ(しかも人間の目にはよくわからないレベルでの)を競う方向に進化しすぎてしまったので、ちょっと置き去りになってしまった印象があります。
将棋ソフトをうまく使いこなすのはいまだに難しく、もうすこしやさしい作りになってくれないかな、というのはもうだいぶ前からの願いなので(たとえばバックギャモンソフトのように)、今後は将棋も囲碁も、良い方向に進んでくれたらなと思っています。

囲碁のことは分からないのですが幽玄の間にソフトがいるというのは、将棋でいえば24、ギャモンでいえばGGにソフトがいるような感覚なんですかね。
プロ棋士が普通に対戦しているというのは自分の感性では(連盟的にも棋士個人としても)考えにくく、お隣の世界ではありますがやっぱり違う世界なんだなあと改めて思いました。

 

詰将棋解答選手権、藤井君が4連覇ですか。
この4年は藤井二段、藤井三段、藤井四段、藤井六段が優勝だそうで、次はどうなるんですかね。
上位に入っている人たちは、自分から見ればみんな本当にすごいわけですが、そんな中でも圧倒的に勝つというのはやっぱり何かが違うのでしょうね。いやはや。

そういえば藤井六段はこないだ新設された瀬戸市民栄誉賞を受賞されてましたが、この類の表彰も、もしかしたら最年少でしょうか。
次の目標は当面の連勝記録になりそうですが、さて、誰がどうやって止めますかね。

 

昨日は公式戦の対局がない日で、モバイル中継は好局振り返りの日だったんですがその将棋が先日の順位戦で、自分が千葉さんに七段昇段を献上した対局でした。
いろいろと興味深く読みました。
特に最後の一文には心打たれるものがありました。

棋士というのはスポーツの世界と違って選手寿命が長く、人生のいろいろな重荷を背負いながら頑張っていくのが醍醐味だと思うので、大変ですけどちょっとでも上に行けるように頑張っていきたいと思います。

そう、それですよね。

頑張っていかなくては。

サクラサク

東京は昨日、開花宣言、昨年や例年より10日ぐらい早いとのこと。
今年は早そうとは思っていたら、予想通りでしたね。
名人戦の開幕の頃にはすっかり散ってしまいそうです。

部屋の目の前の桜も満開で、朝カーテンを開けると、やっぱりとてもいい気分になります。
しばらくはこれだけで、楽しく過ごせそうな気がしますね。

昨日は用事を終えた夕方、四ツ谷~市ヶ谷~九段下とすこし散歩してから帰りました。
千鳥ヶ淵はかなりの人出でした。
今週中に一度ぐらいはゆっくり花見に出かけたいなと思っていますが、叶うかどうか。

 

今日は詰将棋解答選手権、藤井君への注目が過熱したためか、名古屋に特別会場を設けるのですね。
この大会に出られる方は(作者も含めて)一様に尊敬しています。

AI時代の社会の変化がいろいろな分野で取りざたされる中で、もうずっと前からコンピュータに凌駕されているはずの詰将棋という世界がいま、こうして注目されるというのはなかなかに示唆的で興味深いと感じています。
詰将棋は人間のあらゆる営為の中でも、特に知的でかつ非生産的なものの代表ではないでしょうか。
一生楽しめる趣味としてこんなに奥深い世界は、なかなかないでしょうね。

日を同じくして、関西ではプロ棋界初の試み、団体戦が行われます。
こちらに出場される棋士の方々は本当にうらやましい。
盛り上がって今後も規模を拡大しながら続いていくことを願っています。

NHK杯は決勝が終わり、今日は女流棋士による来期の出場者決定戦。
これも春の風物詩として定着してきた感がありますね。

 

昨日の「東西の違い」の話、実は他にもいろいろあって、どこかで話したり書いたりする機会はないかなと前から思ってました。
たとえば、秒読みのやり方も微妙に違います。

東京では「30秒、残り5分です」などと読みます。
(1分未満切り捨てのルールでは、残り10分からは秒読みを頼めるというのが原則。
30秒、40秒、50秒と来て、55秒、で指せば残り時間を消費せずにすむ)

これが関西だと「残り5分です、30秒」と順番が逆になります。
僕は18歳のとき大学進学で東京に出てくるまでは広島から大阪に通っていたので、関西の奨励会員としても何度か記録を取っていて、東京に来たらなぜか逆なのでとても不思議に思いました。
いまは慣れましたが、なぜ違いがあるのか理由はいまだに謎です。

 

では今日はこのあたりで。

席次の話と、東西の違い

すこし前に、藤井君が六段に昇段したことで上座の対局が増えそう、という記事がありました。
それはちょっと妙なトーンの記事ではあったのですが、将棋界において席次というのはたしかに大事な伝統で、基本的には今後五段以下の棋士と指すときは彼が上座を占めることになります。

もし七段になれば当然六段の先輩(自分もだ)と対戦するときは上座になりますし、タイトルを取ればほとんどの棋士を相手に上座を占めることになるわけです。
それがルールですし、自然なことです。

いっぽうで対局前に上座の譲り合いというか、下座の奪い合い(?)をしている光景を見かけることもわりとよくあります。
それを日本的な美しさ、謙譲の美徳と受け取るかどうかは意見の分かれるところかと思うのですが、コアなファンの方はけっこうお好きな印象です。

席次はまず段位が上の棋士が上座で、同じ段の場合は棋士番号の若いほう(つまりプロ入りが早いほう)が上座、というのが原則的なルールになっています。
その他にクラスや順位や年齢等の要素で微妙な関係の場合もあるので、上記のような譲り合いが起きるのはほとんどが同じ段位の棋士が対戦するケースに限られます。
他に段位に差があっても、たとえば師弟や兄弟弟子等の事情があるケースもあります。

ただ、そういう特殊な状況でないのに、段位が上の棋士が下座で待つ光景は、個人的にはあまり好きではありません。
そもそも基本的にはすべてルール通りで良いと思っているので。
ただ対局に臨む気持ちは人それぞれなので、この方との対戦で上座はちょっと、と思うことがあるのは、理解できるところでもあります。

 

ところでこれに関連して、あまり知られていない話。

対局室フロアの入り口部分に、部屋ごとに名札が貼られてその日の対局が一覧になっているのは、ある程度詳しいファンの方ならよくご存じと思います。
(興味のある方は「対局室 ボード」などで検索してみましょう)

東京の場合、特別対局室から順に席次の高い棋士が占めていき、原則的にこのボードで右側に貼られている棋士が上座です。
つまり席次が上の棋士が右側に来るように、手合課の職員が配置しているのです。

ところがこれが関西だと逆になります。
つまり左側の棋士が上座です。
エスカレーターじゃないんだから、と関西に対局で行くたびに思っています。

そもそも別に表示してもらわなくても、棋士はお互いの関係でどちらに座るか自分で分かるので、このままで特に問題はないということなんでしょう。
気づいてはいるけど特に気に留めない、という棋士がたぶん大半で、そもそも気づいていない棋士もいるかもしれません。
自分の知っている範囲で少なくとも20年は変わっていない習慣で、いつからそうなっているのか、なかなかに不思議で面白いです。

ちょっとしたトリビアだと思うので、連盟HPのコラムに転載しておいてもらえないかなあ。

対局の結果など

昨日の対局は、後手番で角交換振り飛車。
終盤にチャンスが来たように感じたのですが、実際のところどうだったか。
いつもより長めに感想戦をやったものの、はっきりとは分かりませんでした。
実戦は相手の指し回しが正確で一歩及ばず、残念な敗戦になりました。

今月は3戦3敗で厳しい結果でしたが、自分の実力から考えてありえない指し手や形勢判断のミスはなかったように思うので、仕方ありません。
敗戦が続いていることによる負の連鎖や悪影響を最小限に抑えられるようにして、来年度の巻き返しをはかりたいと思っています。

 

名人戦は羽生竜王が挑戦者に決まりました。
この一年間、ずっと奇跡のシナリオを見せられ続けている気がいます。
タイトル100期目のチャレンジ、どんな戦いになるのでしょうか。

それと昨日の藤井六段はまた強すぎて、軽く戦慄しました。
これはいったい、誰が止めるんでしょうか。。。。
この王座戦で参加1年目の棋戦は最後とのことでしたが、このまま行くと本当にタイトル取りかねませんね。

 

今日は久々に仕事と名のつく予定のある日で、(棋士にとっては)朝早いですがもう出かける時間です。
対局翌日になってしまったのは偶然なんですが、この半年ほど連盟内の仕事はすっかり干され気味なので、外の方からお仕事をいただけるのはありがたい限りです。

将棋界が空前の好景気に湧くいま、さすがに自分もそろそろ本格的に棋士の生活に戻りたいと思っていますが、来年度はどうなることか。
最近は中期的なスパンでの身の振り方について悩むことも多く、30代後半、なかなか難しい年代ですね。

「一日一日を生き生きと生きる」ことが大切で、そのためにできることを自分で考えて実行していきたいものです。
では、お仕事行ってきます。