棋譜取り

先月の米沢での話。

この日は6枚落ちと4枚落ちが中心だったのですが、みんな判をついたように、同じ定跡を使って来たのが印象的でした。
これはおそらく先生が一つの定跡をみっちり教え込んでいる、という点に加えて、たぶん一人ひとりが予習・復習をしっかりしているのだろうと思います。
指導対局の後ろで、順番を待っている子や、ご家族などが棋譜を入力してくれているのを見て、そう感じました。

棋譜の取り方はスマホ・タブレット等が大半でした。(紙はいまでは少数派)
いまの棋譜再生アプリ(ソフト)は駒をタッチすると動かせる場所が表示されるので、対局者が動かした通りに動かしていけば、たとえばお母さんはルールがあやふやでも、子どもの棋譜を取ってあげることが可能で便利です。
もし自力で棋譜を取っている人と付き添い(応援、友達etc.)の方がいる、というシチュエーションがあれば、ぜひ試してみていただきたいと思います。
そうするうちにお母さんもルールを覚えた、となれば理想です。

で、その日の最後のほうで、指している途中でなんと電池切れ、という事案がありました。せっかく頑張って指して、記録も取っていたのにかわいそうに。
ただたまたま指導対局が終わりの時間で、挨拶まで数分あったので、とりあえず僕が自分のスマホで棋譜を再現しました。
多少の間違いはあるかもしれませんが、プロならそこまで難しい作業ではありません。

そして棋譜を起こしてしまえば、メールやLINEでわりとすぐに共有できます。無事、その子のもとに棋譜を届けることができました。
実際にこの機能を使ったのは初めてだったのですが、便利なものだと思いました。
自分自身は「ぴよ将棋」がわりと使い勝手が良いと思うのと、初心者の方に良い練習相手にもなってくるということで、オススメしています。
もちろん他のアプリでも良いと思います。

指導対局を受ける際に、棋譜を取っておられる方は今も昔も多いですが、紙に符号を書くのはどうしても間違いが多いですし、考えるのに集中できない可能性があるので、アプリを使うのは便利で良いと思います。
あと、棋譜を取ったあとは、改めて見て反省しておくことが大事です。定跡を覚えても実戦で正しく指せるとは限らないわけで、反復こそが上達につながります。
並べ返すのは画面上で十分と思います。棋譜を残したことに満足せず、記憶が鮮明なうちに復習すること、次の機会がある直前に予習しておくこと、でかなり違ってくるはずです。

実は僕自身も、今後の指導に役立つかなという意味もあって、終わったあとに自力で棋譜を残しておくことがよくあります。
たとえば研修会指導の棋譜などはかなり残していますし、普通の指導対局でも後でつけているケースはあります。
ただ覚えていられるのは1日に5局くらいが限界なので、ごくごく一部分です。

下手の方やその観戦者の方が棋譜を残していれば、それをもとにいろんなアドバイスもできる気がするので、そういう使い方も良いなとか、最近よく考えているところです。
たとえば棋譜添削、という指導法にどの程度の需要があるか分からないのですが、1局ではなかなか難しいですが数が集まればその人の長所や短所がある程度出てくるはずなので、役に立ちそうな気がします。

今日・明日は王将戦第4局、舞台は箱根。

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