師弟

祝賀会には今年も非常に多くの方々にお越しいただきました。
一門の末席の一人として、深く感謝申し上げます。
前にも書きましたが七段昇段まであとひと桁勝ですので、なるべく早く達成して来年は主役の一人として壇上に立ちたいと思っています。
できれば昇段だけでなく他にも良い結果を残して、胸を張って行けるようにしたいですね。

昨日帰京して、明日またすぐ対局で大阪に行くのですが、これはGW対応で早めにチケットを確保しているのでやむを得ないところです。
今日は頭を指導モードから戦闘モードに切り替える一日にします。

 

昨日に続いて文春での将棋特集の話。
特集冒頭は森師匠と、藤井六段の師匠である杉本七段による「師匠対談」だったのですがこれもまた興味深いものでした。
「弟子だからって人生に口出すのは難しいね」
という森師匠の一言には、何か電流が走ったような気がしました。

僕は師匠と盤を挟んだことがありません。
おそらくこれからもありません。これは一門の弟子の中でもどちらかと言うと少数派です。
兄弟子たちは公式戦でも対戦の機会があり、逆に弟弟子たちは教室の生徒だった経験のある子が多いからです。
ただ、師匠にはいろいろと教わっていますしむしろ他の弟子たち以上に影響を受けていると思っています。

弟子のカロリーナとは、日頃から教えるということはいままでなかったしプロになったいまはもっとないわけですが、盤を挟んだこと自体はあります。
ただそれよりも、日頃から気にかけていて、気の持ちようとか生活についてアドバイスすることのほうが多いです。
なんとなく、森師匠とも通ずるところがあるような気がします。

ポーランドからやってきた彼女とは、普通の師弟とはまったく違った関係だと思いますが、そもそも師弟関係に「普通」はないので、これはこれで一局と言えます。
弟子の生活の世話をしていて思うことは、つくづく師匠というのは弟子(の成長)に対してしてやれることは驚くほどなくて、しかしたとえば一昨日のように弟子の立場に帰れば、やはり師匠というのはありがたい存在でもあります。
きっと、そういうものなのでしょう。

それにしても杉本七段は活字で読んでも映像で観ても本当に素晴らしい師匠で、藤井君がこんなにもすごい活躍をしているのは良い師匠に恵まれたことも大きかったでしょうね。
素晴らしい結果を残す人というのは、総じて運が良いものです。

僕も師弟関係をはじめとして将棋に関する環境には恵まれたと思っていますし、自分の運を信じています。

よくある質問の答え

昨日も書いた通り、今日は朝の飛行機で帰京予定で、順調なら今頃空の上です。
この記事は予約投稿で、こないだの週刊文春での将棋特集で取材を受けたことで、個人的な補足も含めて思うところを少々書いてみます。
週刊文春に総力特集「人生を変える将棋」が掲載

僕がプロデビューを果たした2004年からしばらくの間、非常によく受けた質問がありました。
たぶん自分の人生で他のどんな問いよりも多く聞かれているだろうし、また自分は世の中の誰よりもこの質問を受けていると思います。

「将棋のプロになるのと、東大に入るのとでは、どちらが難しいですか?」

そもそも比べようのないものであることは大前提でありつつも、まあ、正直なところ答えは明らかでもありました。
ただ当時は若かったですし、幾分の照れや、取材への不慣れ等もあって、あまりキッパリとは答えてこなかった気がします。
ブログもまだやっていなかったですし、自分の言葉で自分の考えを述べる機会もいまより少なかったと思います。

入学と比べるなら、せめて奨励会入会のほうが質問として適切な気がするなあ。ということも当時から思っていました。
ただ数年も経つとこの質問を受けることも少なくなって、はっきりと言うこともないまま気がつけば大学卒業からもう10年あまりが経ちました。

今回、自分の言葉だけでなく優れた後輩二人からも似た見解が寄せられて活字になったので、今後は奨励会試験と比較してもらえたらありがたいかなと思いますね。
繰り返しになりますが比べられないものであることは前提で、個人的にはそれでも奨励会試験のほうがハードルが高いような気がします。

1時間半ほどの対談ではいろいろと興味深い話が聞けて自分にとっても有意義だったのですが、タイトル獲得という結果を出すに至った中村王座・糸谷八段の2人がそろって、奨励会試験を受ける際、当初は親に反対された。と言ったのは驚きました。
それほどまでに厳しい世界であるとこの当時(いまから20年ほど前)には既に見られていたということの表れと言えそうです。

若い頃の選択や行動に関して後悔は特にないですが、この2人と比べるとやっぱり自分は自分に対する厳しさが足りなくて(僕は基本的に自分にも他人にも甘い)、それがいまの地位につながってしまったかな、という思いはあります。
大学に関してももうすこし何をしたいかよく考えたほうが良かったですね。今にして思えば。

ただもちろん得たものも多かったです。
今回の対談は自分自身、過去に経験のない企画で記事も非常に良い仕上がりになっていると思いますので、お読みいただければ幸いです。

森一門祝賀会

今日は毎年恒例の一門祝賀会です。

以前にも書きましたが今年の主役は
山崎八段(NHK杯優勝・JT杯優勝)
糸谷八段(A級昇級)
大石七段(昇段)
千田六段(B2昇級)
西田四段(加古川青流戦優勝)
石本女流初段(ヤマダ杯優勝)
の6名。
と、案内のお手紙に書かれていました。

竹内君と谷口さんの結婚祝いは個別にお願いします^^

主役がいつも以上に多いので、壇上プログラムはどんな感じになるのかちょっと想像つきません。
順番に挨拶したり、祝辞をいただくだけでもなかなか大変そうですね。
いつもお土産に作っている主役連名の扇子も、6名となると他でもあまり例がないような気がします。
名前だけならもちろん可能ですがうまく揮毫が入ったのかどうか。

午後の指導対局のあと、パーティーはこれまで18時開宴でしたが今年から17時開宴になるとのことですので、例年パーティーからお越しいただく方はその点どうかご注意ください。
この機会に年に一度だけお会いする方も多いので、いつも楽しみにしています。

GWで混む時期なので、早めに飛行機を確保して当日朝移動→翌朝帰京、が近年の定跡手順。
ということで棋士にとってはまだ朝早いですがこれから出かけます。

気付けばもう5月、春真っ盛りです。
いや、GWなんだから当たり前だしもちろん知ってましたが、時の流れの早さにふと気づくことがありますね。

4月は山形、静岡、福島と出張に行かせていただきました。
新幹線移動が月に3往復というのは比較的珍しいなと思ったのですが、考えてみると今月は飛行機3往復の予定で、こっちのほうがたぶんもっと珍しいです。
(大阪、大阪、シカゴ)
どこに出かけるにもいい季節なので、移動も楽しみつつ、忙しい春を満喫しようと思います。

連盟HPからメディア情報等、お知らせ3点。
映画『泣き虫しょったんの奇跡』 久保王将や谷口女流二段らプロ棋士が多数出演

全身ピンクの芸人さん神吉七段を相手にプロ試験を指す写真はインパクトがありますね。
いったいどんな気持ちで臨んだのか、それがどう表現されているのか興味深いです。
連盟にポスターが貼ってあるのも見かけましたが、とてもカッコイイです。
「泣き虫」のはずなんですけどねえ(笑)

第43回さなる杯小学生将棋名人戦〈決勝大会〉速報
以前は3月に開催されて子どもの日に放映、のイメージでしたが昨年から時期がすこし後ろになったみたいですね。

ところで昨日の名字の話題の続きみたいな感じですが、優勝した間(とい)君の読み方は難しいです。
自分で調べた限りでは、辞書には載っていない読み方のようでした。
4年生での優勝は、現時点で将来有望なのは間違いないでしょう。
下の名前も見たことある字だけど読むのは難しそうで、覚えておかないといけませんね。

5/5 TBS「ジョブチューン」に棋士多数出演
最近こういう普通の番組に棋士がたくさん出ていることも、珍しくなくなってきましたね。
一昨日用事があって久々にカロリーナに会ったら、柴田理恵さんのサインを見せられました(笑)

弟子はこの一年に関してはカロリーメイトのこともありますし、仕事や注目の幅が広がってきて、もちろん記録や聞き手など将棋の仕事もさせていただいているようで、ありがたい限りです。
あとは生活を安定させて、対局を頑張ってもらいたいと思います。
↑のような有名番組に出させていただくとそこで初めて見た・知ったという方もまた増えると思うので、そういう方にもその後引き続き応援していただけるようにと願っています。

棋聖戦とか

GW前半を挟んで、棋聖戦の準決勝と決勝(挑戦者決定戦)が続けて行われました。
もしかしたらA級順位戦のプレーオフで日程が詰まったことで、多少影響があったのかもしれませんね。

結果またしても豊島八段が挑戦権獲得。
内容はどちらも苦しい場面があったように見えてそうでもなかった、という感じがしました。
決定的に悪くならないようにうまく持ちこたえるのは難しい技術です。

特に昨日の挑決は、激しく攻められて後手番の苦しさが出た、と思ったんですがどうだったんでしょう。
さすがにこれだけ強くてタイトルに手が届かないのはおかしいという気がするんですが、相手は羽生棋聖ですから、どうなりますか。

その棋聖戦主催紙の産経ニュースで面白い記事を見ました。
園遊会で並んだ羽生と羽生 どっちの「羽生」が珍しい?

この記事によると、「はにゅう」さんのほうが「はぶ」さんよりも多く、どちらもそこまで珍しい名字ではないそうで。へえ。
けっこう珍しいイメージでしたけど、世の中にはもっと珍しいお名前がたくさんあるということなのですね。

名字と言えば、僕は子供の頃から現在に至るまで「片山」として何度も新聞や雑誌等に登場しています。
直接呼ぶ(読む)ときに間違われることは比較的少ないのですが、なぜか文字を書くと誰もが間違えてしまうみたいで、人間の錯覚というのは不思議だなあと実感しますね。

「かたがみ」という名字は合計わずか7画の簡単な2文字で、しかもどちらもよく見かける字なのでこの名字が珍しいというのもこれまた意外な話ではないでしょうか。
親類以外で片上さんにはまだ会ったことがないのですが、大学教授で人狼AIの研究をしておられる同姓同名の方がいるみたいで、いつか機会があればお目にかかってみたいものですね。

すこし前になりますが先週末は叡王戦の第2局があり、高見六段が勝って初タイトルに大きく前進。
この将棋は出張から帰京後にファンの感想などを読んだのですが二転三転、終盤が乱れたのではという声が多かったのが意外でした。
中継で観ているときはそういう印象はなく、どちらが勝つか分からない競り合いに見えましたけどね。

もっとも自分が拾ってるのがマジョリティというわけではないでしょうし、逆に自分の印象がマジョリティということもないし、そしてどれが正しいというものでもないので、時にこういうことはあります。
このブログにもよく観戦した将棋の感想を一言、ふた言書くわけですがそれは正しいこと、とかプロの一般的な見方、を書いているというよりはあくまで自分なりの見方を示しているつもりです。
それが観戦の一助になっていれば幸いです。

では今日はこのあたりで。