先週の中継より

昨日はご視聴いただいた皆様ありがとうございました。
感想などお送りいただければ嬉しく思います。
実は、自分ではまだ観れてないので後日録画で一人反省会しておこうと思います。

お天気キャスターの森田さんもご覧下さっていたようで、こういうことがあると嬉しいですね。

来年は対局者として出られるよう、頑張りたいと思います。

さて先週も中継盛りだくさんでした。
中継局で面白い&お役立ちと感じた場面を2つご紹介します。


水曜日の新人王戦、高見六段ー大橋四段戦。
いま△9八歩▲同香と吊り上げて空間に△9九角と打ち込んだ局面ですがこの端角は珍しい手筋と思いました。

部分的にこの位置に角を打つ手といえば角換わり腰掛け銀同型の丸山新手(※詳しい人向け)が思い浮かびますが、あれと比べて本局の場合7七の金にヒモがついているのが斬新です。
つまりこれが単なる駒取りなら普通でも、△7七角成▲同桂と角金交換してまで△8七歩成のと金作りを狙う、というところが気がつきにくいのですね。
タイトル戦登場中の若手を沈めた端角、として記憶に残る手になるかもしれません。

金曜日の王位リーグ、弟弟子同士の千田六段ー澤田六段戦で四間飛車vs居飛穴のクラシックな形。
振り飛車が丁寧に指し回して金銀と桂桂香の交換で駒得、これならなんとかしたいけど実戦的には難しい。といったよくある展開でこの△3八銀には感心しました。
図以下▲5七角△4七銀成▲3九角△4六歩という進行でまず飛車の横利きを押さえ、そのあと△5六歩~△5七歩成を実現させて後手勝ち。
丁寧さと同時に視野の広さを感じる手順でした。

2例ともプロならではの視点の広さというか、第一感では浮かびづらい手を好手にできる見事な組み立てと感じたので、紹介してみました。

また土曜日の叡王戦は高見六段の快勝でした。
61手目▲7五金が落手、との解説をあとで読みましたがたしかに一手バッタリに近い類の手のように思いました。
5時間チェスクロは過去に例のない持ち時間設定で、舞台も特別ですから戦い方や時間の使い方に関してもいろいろと難しい面もあるのだろうと想像しながら観ています。

この番勝負は、どちらにとってもあまりに大きなものが懸かった勝負でとにかく結果が重要でしょう。
根拠はまったくないですが今回はより大きな応援を背負ったほうが勝つような気がしますね。
ファンの方々は本当に心臓が大変だと思いますが次局以降も全力で応援してあげてほしいと思います。

では、今週も引き続き日本将棋連盟モバイルをお楽しみください。
(そういえば最近リンク貼ってなかった気がする)

NHK解説とか

直前のお知らせになってしまいましたが本日、NHK杯の解説で登場しています。
兄弟子の安用寺六段と、若手有望株の八代六段の一戦です。
NHKの解説はたしか4年ぶりだったと思いますので、楽しみにしていました。
ぜひご覧ください。

それにしても、前回対局者として出たのはいつのことだったか・・(遠い目
予選を勝ち抜けるのは大変なんですが、また頑張りたいものです。

それともうひとつ、4月7日の詰将棋に自作が採用されているのに、昨日気が付きました。
いつも連絡が来るのですが、今回はなぜかなかったので日にちが経ってしまいました。

HPの詰将棋は土日祝が棋士出題の新作が出題されるので、いつもそのときだけチェックしています。
あまり詰将棋を作るイメージのない若手が好作を披露していたり、ちょっとした楽しみなんですよね。
実は今回のはけっこうお気に入りなんですが、どうでしょうか?
実戦派・強豪の方は本作ぐらいかもうすこし上のレベルを中心に、そうでない多くの方は、平日の3手・5手ぐらいの問題を中心に、取り組まれると良いと思います。

昨日ご紹介しようと思っていて、長くなって書き落とした記事をひとつ。
「第76期名人戦」PVのために書き下ろされた先崎学九段の『昇る落日』と題した文章を公開

いつもながらの名文、そして名PVです。
百聞は一見と思いますので、ぜひご覧ください。

では今日はこのあたりで。

名人戦

椿山荘での第1局は、現地に観戦に行くことも多かったのですがこの日は対局だったので、帰りの電車で棋譜と結果を見ました。
ものすごい終盤で、興奮しながらコメントを追いました。
リアルタイムで観られなくて残念に思いました。解説会に集まったファンの方々は幸運だったと思います。

そもそも1日目の昼間から決戦になっているので、2日目がずっと終盤戦なのは当たり前なのですが、この将棋が時間いっぱいまで、手数も100手近くまで行くとは思いませんでした。
ずっと均衡の取れた勝負になったのはさすが最高峰の戦いという感じがします。

図は63手目の局面(画像は名人戦棋譜速報より)でこの手が控室の検討を上回る一手だったとのこと。
たしかにこれで先手玉が寄らない(後手玉との兼ね合いで)というのは驚きです。

よく「対局者が一番よく読んでいる」という言葉が聞かれますがそうは言っても、こういう終盤の長い将棋は何度も指し直しができる控室の検討が圧倒的に有利で、散々調べた結果「ああ、やっぱりそう指した」となることも多いものなんですがこの局面に関しては違ったのですね。
羽生竜王の読みが控室や、もしかしたらコンピュータさえも上回ったのかもしれません。

終盤の長く続く将棋というのは突き詰めて考えた場合に後戻りが簡単でない場合が多く、本局で言うと仮に↑の局面が先手勝ちならば後手は少なくとも48手目△4九馬切りよりは前に戻らないといけない。
となるともう封じ手前後の指し手がどうだったか、となります。
終盤が強いとされるコンピュータも実際には正確な判断ができているわけではなく、確率的に局面を見ているだけなので終盤であっても形勢判断(評価値)を誤る場合があり、特に本局のような内容の将棋では顕著です。

この将棋は最高峰のレベルの高さを示しつつ、長く続く終盤を多くのファンに楽しんでもらい、さらに読みの深さや正確さでもコンピュータにまさっていた可能性もある。という点で二重、三重に人間の価値を強くアピールした名局だったのではないかと思いました。

ところでよく「何手先まで読めますか?」という答えに困る質問があるわけですが、本局の場合お二人が読んだ手数は実際どのぐらいなんでしょうね。
少なくとも数十手先の局面をああでもない、こうでもないとたくさん作っては消していたことは間違いないでしょう。
コンピュータも控室も、駒を動かして、その先を実際に目で見て、判断するわけでこれほどの膨大・難解な変化を頭の中だけで2日間処理し続けたことは驚嘆に値すると思いました。

そして敗れた佐藤名人はいつも通りその読みの一端をtwitterに披露していました。
なかなかできることではないと思います。

新時代のタイトル戦、第2局は恒例の全国一斉大盤解説会もあります。
次局も熱戦に期待しましょう。

辛勝

昨日の対局は、後手番で相手の注文を受けた立ち上がりの末に、結局は角交換振り飛車の戦型に。
中盤さばき合いの場面で致命的な見落としがあり、はっきり不利になったのですがそこからワンチャンスをモノにして、最後は幸運な勝利でした。

2月のNHK杯予選の対局(〇〇×)を除くと、1月末から5連敗中で、長い持ち時間の対局では実に3か月ぶりの白星ということになります。
さすがにホッとしました。

感想戦は短めで、23時頃の帰宅。
その後、普段なら対局の日はなかなか寝付けないのですがよほど疲れていたのか、風呂から出たあと缶ビールを空ける間もなく、倒れこむように寝てしまいました。

負けが込んでいていつも以上にプレッシャーがあったのかもしれません。
昨日も書きましたが、今期はこれから巻き返していければと思っています。