2017年の将棋界

昨日は今年最後の書道部、からの忘年会でした。
酒量が増える季節ですが、いまのところ忘年会の予定は他になく、28日に対局もついたので、今年はそれほど多くなることはなさそうです。

すこし早いですがいい機会かなと思い、ニュースが多かったこの一年の将棋界を振り返ってみます。

まずは年明け早々に、昨年来からの問題で会長が辞任、自分も理事を解任され、将棋界は大混乱でした。
ファンの皆様にはご心配をおかけしました。

そんな中で2月に弟子のカロリーナが、正式に女流棋士としてデビューすることになりました。
本来であればこれもかなり大きなニュースですが、藤井新四段の活躍の陰に隠れそうだね、なんて話もしていました。
この時点ではまだ、その後の大フィーバーはまったく予想できませんでしたし、これほど明るい将棋界になっていようとは思いませんでした。

春には現役の名人がソフトに負けるという出来事があり、社会一般からも大きな注目を集めました。
ネガティブなとらえられ方をせず、自然な形でその時を迎えられたことは、将棋界にとっても、社会にとっても、良かったのではないかと思います。

藤井四段の新記録に加藤先生の引退も重なった、6月後半から7月にかけてがフィーバーのピークでした。
あの頃はテレビ欄が将棋で埋まっていたりして、あらゆるメディアが将棋を我先にと取り上げて、なんだか別世界の喧騒を見ているようでした。
囲碁将棋チャンネル、ニコ生に加えてAbemaTVの参入があり、この頃から対局の生放送がすごい勢いで増えていきました。
自分自身が家にいる時間が長くなったこともあり、これほど将棋を家で観て過ごした年は、過去になかったと思います。

夏から秋にかけては、菅井王位と中村王座、2人の新しいタイトルホルダーが続けて誕生しました。
当然ながらこれもビッグニュースです。
2人とも親しく付き合いのある後輩でもあるので、就位式にもお邪魔させていただきました。
それぞれに心のこもった、素敵な挨拶をしていて印象に残りました。

加藤先生の芸能界での大活躍は、これまた別世界の出来事を見ているようです。
40歳上ですから、自分はまだ半分の年齢にも達していません。
とにかくあのバイタリティには驚嘆するばかりです。

そして先日は羽生永世竜王、永世七冠誕生のビッグニュース。
そういえば藤井四段のときもそうでしたが、このときも号外が出ました。
将棋のニュースで号外が出たのは、少なくとも僕が棋士になってからはなかったと思います。
それが同じ年に2度も起きるとは、本当に驚きです。

さすがにもう大きなニュースはないと思うのですが、ついこないだも蛸島先生の引退表明がありましたし、もしかしたらまだ何かあるかもしれません。
思い返してみても、これほどの年は今後そうそうないんじゃないかと思いますが、世間に注目されるという意味ではこれが当たり前、というぐらいになると良いですね。
来年の将棋界もますます明るくなることを願いつつ、年内の残る対局も頑張ります。

1件のコメント

  1.  常識的に考えれば、今年より良くなる年はないでしょう(笑)それくらい前半の暗雲を払ってくれたお三方のご活躍だったと思います。

     来年は必ず注目度が下がります。

     羽生先生は例外として、一般の方に注目されたのは佐藤紳哉先生や橋本先生の異端のメディアでの貢献だったと思います。
     加藤先生の人気も「お人柄」であり将棋がどうこうではありません。

     こうした、「とっかかり」と割り切って宣伝してくれる方々の貢献で、将棋を見てみようか、指してみようか、と考える一般の方が増えているのだと感じます。

     先日の竜王戦第5局も寒い中、鈴木先生が新橋SL広場で大盤解説。

     スポンサー向けや子ども向けはもちろんですが、こうした一般向けの営業が新規顧客開拓という意味で大事なことだと思いますし、理事の鈴木先生がこういうことをされたというのは本当に大きな事だと思います。

     私自身、佐藤紳哉先生の映像を見ておもしろい人がいるなぁ、と感じて。で、ネットサーフィンで同先生が初心者向け講義を始めるというので参加して将棋を指しだしたという感じなので。
     
     何が言いたいかというと、今年は「つかみはOK」という年だと思います。

     お客さんを引き続きおもしろいとして定着させるか、「何だ、結局つまんねーな」と離れさせるか、来年は本当に重要な年だと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です