メディア情報とか

最近ニュースが多くて(しょっちゅう言ってる)、告知が後手に回ってしまいましたが2点。

現在日経新聞紙上にて12/22 杉本四段戦(王座戦)の観戦記が掲載中です。
一次予選の枠抜けの一局で、ゴキゲン中飛車でおなじみの近藤六段が書いてくれています。
ぜひお読みいただけると嬉しいです。

それと昨日はワイドスクランブルから電話取材を受けたのがすこしだけ取り上げられました。
言うまでもなく藤井五段(新六段)朝日杯優勝の話題で、当初はスタジオ出演の予定だったんですがオリンピックに尺を持って行かれたようです。
負けないぐらいの注目度です、とは言ったものの、まあさすがにそうなりますよね(笑)

ただそんな中でも報道番組はけっこう各局とも取り上げていただいていたようで、何人かの棋士・女流棋士が出演しているのを見かけました。
今回の朝日杯は新たな協賛社がついたりもしましたが、きっと大喜びしていただけたのではないかと思いますね。

ところで、将棋もオリンピックとはいかないまでも、ワールドカップやそれに近い規模の世界大会が開催できるぐらいに普及しないかなあ。
という夢を語るのもプロの役割だと思うので事あるごとにこうして活字にしておきます。

 

しばらく前に出た週刊新潮に「将棋と囲碁 子どもにやらせるならどっち?」という記事が掲載されていて、非常に興味深く読みました。
力の入った良い特集記事だったと思います。

どちらが良い、とかいうことはもちろんないと思うのですが個人的には子どもに将棋、お年寄りに囲碁という人々のイメージにはそれなりの理由があるなあというのが実感です。
昔、「子どもに将棋を教えておけばいずれは囲碁ファンになる」という冗談(?)を聞いたことがありますがこれはたぶん真実でしょう。
将棋勢は将棋と共にいろんなゲームを楽しみつつ最後は囲碁にたどり着くことが非常に多い印象です。

僕自身は囲碁は50歳になったら趣味にしようと思っています。
そして51で初段になって60で三段になるのが一応の目標です。

 

今週は比較的対局予定が少なく見えると思うのですがこれはNHK予選がまとめて消化されるためです。
(予定・結果には出ないようになっています)
自分の対局も今週なのですが日程は書かないでおきます。

他に年に一度の歯科検診や確定申告など、季節限定の用事を片付けるウイークにする予定です。

里見香奈さんのこと

昨日の三段リーグの結果を受けて、里見さんの退会が決まったことを各紙のニュースで知りました。
決まったときにニュースが出るものなのかは、ちょっと気になっていたのですがやはり注目されていたのですね。

三段リーグというのは、実力上位の本命と目されるような三段であっても一回のリーグで見れば上がれない可能性のほうが高いので、それを乗り越えて四段になるには当然に高い技術と精神力と運を必要とします。
女性四段の可能性について、僕もこれまで記者やファンなど多くの方から質問される機会があったのですが基本的には確率の問題だと思っていて、実際いつもそう答えています。
つまり男性三十数人のリーグの中に女性数人だけが参戦して、その数人が結果を出すのは相当に困難です。
もちろん本人に飛びぬけた才能や実力があれば別なのでしょうけど、現実にそうなる可能性は高くないという意味です。
可能性は高くないというだけで、可能性がないとも思いません。

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僕が里見さんを初めて見たのは第1回の村山聖杯将棋怪童戦で、まだ僕自身も棋士になる前のことでした。
その年、伊藤沙恵さん(現女流二段)も東京から参戦していて、女の子の活躍は珍しいので注目したことをよく覚えています。

その後棋士になって、島根に仕事に行ったとき、車で一緒になったことがありました。
僕はお母さんとたくさん話して、本人はとてもおとなしかった記憶があります。
隣の県の出身で、彼女を教えたアマチュアの方々の中にも知っている人がいたりするので、当時から注目はしていましたがその後の大活躍はもちろん想像はつきませんでした。

三段リーグに入ってからの、これまでの結果は本人にとって残念だったと思いますが、さまざまな障害や軋轢を顧みず、自分が挑戦したいことに挑戦したという点において悔いはないのではとも思います。
挑戦するという決断自体に高いハードルがあり、実際に挑戦してからも必要以上に注目を集めてしまうという意味で、他の棋士や奨励会員には知りえない葛藤を抱えていた数年間だったと想像しています。
今後はまた楽しく将棋を指せるようになることで、さらに棋力が伸びることもあるかもしれません。
注目の集まる最高峰の晴れ舞台と、陽の当たらないはずの場所。
楽しい将棋と、苦しい将棋。
その両方を同時に知っているプロはいないので、そこは彼女の大きな強みになるのだろうと思います。

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最近は情報の深化で、奨励会員の中にもファンに知られた存在がいたりもしますが基本的には奨励会は陽の当たらない場所ですし、またそうであるべきです。
存在そのものが苦しい場所で、そこで指す将棋は苦しいものと決まっています。
だからこのニュースに本人のコメントがなかったのは良かったのではないかなと、記事を読んで思いました。
語るべき言葉や指し手は今後タイトル戦や棋士との公式戦で示してくれると思うので。

女性四段がいつ誕生するかは自分には分かりませんが、可能性は低い一方でいつかは必ず起きるはずのことなので、ファンの方にはどうかその日まで応援していただけたらと思います。(もちろん里見さんや西山さんに限らず)

朝日杯

昨日はよりによって特別な日に、長々と語ってしまいましたが実は大阪で弟弟子・竹内四段の結婚式があったので、予約投稿を入れたのでした。

竹内君は僕と同じ広島将棋センターの末っ子で、晩学の遅咲きでしたが、結婚では数人の兄弟子に先んじましたね。
これを機にいっそう頑張ってください。おめでとう。

 

さて注目の朝日杯、藤井五段が優勝。
まさに歴史的な一日となりました。

準決勝の羽生竜王戦、決勝の広瀬八段戦、いずれも本当に見事な内容でした。
言葉もないとはこのことです。

史上最年少・中学生での全棋士参加棋戦優勝。
史上最年少・中学生での六段昇段。
いずれもさすがに空前絶後としか思えません。

オリンピックでの羽生さんの金メダル(同じく日本人の宇野さんが銀メダル)という話題もあって本当に歴史的な一日でしたが、それに負けないほどの注目度だったのではないかと思います。
どちらのニュースも号外が出たそうで。本当にすごいことです。

 

金曜日は蛸島女流六段の対局が中継され、この敗戦をもって引退が決まりました。
こちらの話題もかなり大きく取り上げられていましたね。
最後の将棋は△2五角の妙手が目に映らなければ・・というところで、全体的にも面白い内容の将棋でした。
ありきたりな言葉かもしれませんが、見事な引き際だなと思いました。
長い間本当にお疲れ様でした。

なんだか連日本当にニュースが多すぎて、自分は何もしていないのに(していないからか)、どこかフワフワしたような、不思議な感覚を味わっています。

しばらく家にいない日が多かったので、今日は余韻にひたりつつも、久々に棋譜並べの一日にしようかと思っています。

直感とは何か

将棋世界3月号、「イメージと読みの大局観」に出ている「直感の7割は正しい」(と思うかどうか?)に対する回答が興味深かったです。

たとえば郷田九段の「直感ではこの手が正しいと思っても、読みの中でそれを証明できないときが困る」というのは実感としてものすごくよくわかりますし、木村九段の「仮に直感の7割が正しいとしても、残りの3割がずたずただったら、ひどいことになる」という言葉もなるほどと思いました。
このあたりは表現の差こそあれそれほど大きな違いはないのかなと思ったのですが、若い増田五段が「何も読まず、直感だけで指したほうが勝てるんじゃないかと思うことがあるくらいです」と驚きの発言をしている一方で、さらに若い藤井五段は「自分はとても7割はいきません」と謙虚な(?)発言をしていたりで、こうなるとけっこう感覚が異なる感じです。

「7割」というのはあくまで体感でしかないので、数字としての厳密な意味はないとしても、棋士によって思った以上に感覚が違うものなのだなと思いました。
ちなみに自分自身は、直感で7割の「最善手」が浮かんでいるとは思えないですが、自分の実力ではどうやっても読み切れないor正解が判断できない局面も多いので、そういうのを除けばたしかに7割ぐらいはあるような気がします。
つまり後から考えて、「この手が正解だ(った)」と自分が判断する手が、直感の時点で5~8割ぐらいは浮かんでいるのではないか。というイメージです。

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もうだいぶ前のことになるんですが、「自分がなぜ、直感でその手が浮かんだのか」を、「言語化」できないものかと考えたことがありました。
自分もプロの端くれなので、多くの場合(「7割」?)においては、パッと見て良い手が浮かぶわけです。

この7割の中には、誰もが第一感で浮かぶ手ももちろんあります。
たとえばちょっと強くなってくると、▲2四歩と突かれたら△同歩と取るし、▲2二角成と角交換されたら△同銀と取り返すようになります。
しかしそういう単純な局面ではなく、ある程度強い(たとえば三~四段ぐらい)アマチュアの人ではなかなかそこに手が行かないのに、プロは不思議と誰もがそこに手が行く、というようなケースがたしかにあるんですよね。
具体例が難しいのですが、たとえば記者の方に棋士がかわるがわる解説していて、ひと目で示す手は誰もが同じで記者の方はへーっとなる、みたいな場面は舞台裏ではよくあります。

それはなぜなのか?を一時期ずいぶん考えたのです。
でも結局よくわからなくて、残念ながらあきらめました。
その理由を「長年の経験」「鍛錬の賜物」などと表現してしまうのは簡単なのですが(実際そうだろうし)、何がしか理由があるはずだと思うんですよね。
ただその何がしかが、自分の力ではうまく言語化できませんでした。

もしこれができれば、アマチュアの方の棋力向上に、とても役立つのではないかというのが考えだした動機の一つでした。
良い指導法が確立できそうな気がしたのです。

もうひとつ、さらに大きな動機は自分自身が直感の段階でミスをしてしまっている3割の部分が明確になれば、弱点がはっきりしてそれを克服できるようになると思ったのです。
現実には自分がなぜミスをしてしまったのか、分からないことも多いままです。
明らかな悪手を悪手だったと後から振り返って分かるのはプロなら当たり前のことで、なぜその悪手を指してしまったのか、のほうが大切です。
ただ根本的なところはなかなか分からないし解決しません。
それはきっと自分に限ったことではないはずです。

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AIが人間の「思考」というものをより深く理解できるようになったら、もしかしたらそういうことが解明されるのかもしれないとその頃からずっと思っています。
現在のAIはまだそういうレベルにはほど遠いと思うのですが、自分の棋力がまだある程度高いうちにその端緒だけでももし見ることができたら、面白いだろうなと想像しています。

 

就位式など

昨日は昼間、連盟書道部。参加者が多く、HPの取材も入るなど盛況な一日でした。
そういえば対局以外で連盟に行くのは久々でした。最近は仕事もなく家も遠くなったのですっかり足が遠のいています。

3月4日(日)に上野公園内の東京と美術館にて、ちょっとしたイベントを行う予定です。
ウェブ上に告知が出たら改めてお知らせしたいと思います。

取材があり東京に来ていたカロリーナを連れて、夜はリコー杯(女流王座)の就位式に行ってきました。
このパーティーは毎年いろいろと工夫が凝らされていて、いつも楽しく出席させていただいています。

次の一手はたしか▲8三銀という手が出題されていたと思うのですが、この手を当日の夜に中継で見たときに、どこかで見覚えのある雰囲気の手だなと思いました。
今月の将棋世界を読んでその謎が解けました。

※▲8三銀△9三飛▲8二銀不成△8三飛▲7三銀成△同飛▲3三桂と進んで先手勝勢。飛車の守備力を奪ったのが大きく、3三に打ち込む駒は桂のほうが効果的。

※今月の付録第16問。▲7二金△9二飛▲8一金と進むと▲3四桂の狙いが厳しい上に、飛車の攻撃力を削ぎどこかで▲9一金の含みも残る。持駒の金銀で玉から遠い駒を狙うのは珍しい。

里見さんは三段リーグにも注目が集まっており残り4局で最低3勝が必要な状況。
女性がどこまで強くなれるかという意味でも世間の期待を一身に受けてきたこの数年間だったと思います。
個人的には数の問題が大きいと思うので、数人で戦っている現状ではやはり相当に大変で里見さんに伍する女性が増えてくれば、自然とトップのレベルも上がると予想しています。

帰宅後、夜はB1順位戦を観戦。
丸山九段の降級が決まり、昇級残り1枠は橋本八段が自力という状況になったようです。

今日の中継は先日引退を表明された蛸島女流六段の、もしかしたら最後になるかもしれない一番など4棋戦4局。