中飛車

今日から竜王戦第3局、舞台は前橋。
今回の対局場は、たぶん初めてのはず。
公募に名乗りを上げて下さったのでしょうね。ありがたいことです。

対局開始から1時間、戦型は羽生棋聖の先手中飛車に進んでいます。
これには多くの人が意表を突かれたみたいですね。
七番勝負全体から見ても、効果的な戦型選択になりそうな予感もあります。
(番勝負を戦ったことはないので、あくまでハタから見ての感想ですが。)

自分も最近振り飛車を多く指しているので、この大舞台で観られるのはとりわけ楽しみです。
角換わりに相掛かりに雁木、ばかりではやはり飽きてしまいますので。

対する居飛車側は、どうやら一直線穴熊濃厚でしょうか。
そういえば渡辺竜王は、流行の角道を開けない急戦は、あまり好まれてない印象があります。
あの作戦はあまりアマチュア向きではないと自分は思っているので、タイトル戦でこういうオーソドックスな、参考にしやすいであろう将棋になって、なんだか嬉しいですね。

 

というわけで、今後の進行を興味深く見守っています。

この連休はプライベートで予定があるのと、なぜかいまPCの調子が悪いので、短いですが今日はこのあたりで。

紫綬褒章とか

今日11月3日は文化の日。
ということで、その前日に発表されるのが恒例のようで、昨日紫綬褒章の発表がありました。
森内九段に紫綬褒章(連盟HP)

3年前に谷川会長が受章されたときは、ちょうど電王トーナメントの最中だったので、挨拶でこの話題にも触れたことを思い出しました。
今回の森内九段は、半年前の佐藤会長に続いてということで、同じ年にお二方というのは初めてのことのようです。

将棋界が盛り上がっている昨今、いろいろな話題がある中で伝統文化としての側面も、忘れずに伝え広めていきたいものと思います。

 

最近の中継の話題、というか一門の話題。

一昨日の北浜ー大石戦(竜王戦)は200手超えのすごい大熱戦でした。
リアルタイムで観ていて、終わりそうで全然終わらないのでまさに手に汗握りました。
弟弟子の大石君は、この勝利で竜王戦連続昇級となり七段昇段。大きな勝負だったのですね。
おめでとう。

昨日は兄弟子(山崎八段)と弟弟子(糸谷八段)がそろって勝ち。
前者はあまりらしくない感じ、後者はものすごくらしい感じ、の勝ち方でした。
糸谷君の将棋は相変わらず個性的で、なんでこんな荒れ球で名人を吹っ飛ばしてしまえるのか。
まあ、たぶん昨日の将棋は形勢がずっと良かったのだとは思いますが・・。

改めてラインナップを見てみると、昨日はかなり豪華カードの多い一日だったのですね。
順位戦のほうはまだきちんと観れていないので、これから目を通します。

 

森師匠のインタビュー記事最終回がUPされていました。
文章だけでなく、写真も良いですね。

与えられた役割へのプロ意識は、僕もいつも心に留めていることです。
これからも高い意識を持って、弟子の一人として自分にできる活躍をしていきたいと思います。

3月のライオン

アニメの第2シリーズが始まりましたね。
相変わらず重い。
主人公、暗い。
その世界を知っている自分から見てもそう思うぐらいに、メッセージ性の強い漫画です。
当然ながらキャラクターや物語はすべてフィクションではありつつも、作り物ではないこの世界の本当の部分を伝えたいという思いも、すごく強く伝わってきます。

今回のシリーズは文科省がコラボしているそうで、これには驚きました。
山口女流二段のインタビューが掲載されています。
ついこないだ一緒に仕事したばかりなので、話を聞ければ良かったなあ。

 

いじめの問題というのはなかなか語るに難しいものですが、僕自身も東大卒でありながら小学校は卒業していない(最後のほうは行ってないという意味)ので、いろいろと思うところはあります。
当時を振り返ってみて、小6の2学期から奨励会に通えることになったのは、具体的な人生の目標が定まったという意味でも、自分にとって大きな出来事でした。
将棋がなければ、(当たり前ですが)また違った人生だったことでしょうし、学校に行かないという決断が難しかったかもしれません。

いじめはもちろん良くないことだとは思いますが、簡単になくなるものでもないと思うので、どう対処するかはこれからもずっと大きな課題でしょう。
もし深刻な状況になってしまったときに、逃げ道の引き出し(選択肢)が多いことは、とても大切ですね。
それは子どもの社会に限ったことではなく、大人でも、同じだと思います。
「戦っても良い、逃げても良い」とは、とても良い言葉だなと思いました。

 

プロ棋士になれたことは、もちろんとても幸せなことでしたが、考えてみるとそれよりずっと前、「プロ棋士になる」という目標を持てたことが、まず幸運なことでした。
「しょうらいのゆめ」が職業であったり、大きなものであればもちろん良いでしょうし、そうでなければもっと身近な目標でも良いと思います。

素敵な未来を思い描くことで、人生は豊かになるし、ときには逃げ道にもなります。
それは僕がこれまでに実体験として学んできたことであり、いまでも役に立っている人生観でもあります。
これからも、大切にしていきたいと思っています。

負け

昨日の対局は、苦しい将棋を粘りに粘るも、結局最後までチャンスは来ず。
とても残念でしたが、精いっぱい頑張ったので、仕方ないかなという感じです。
夜中にはっきりしない局面になってから気力、体力を発揮され、ベテランの先生の底力を見せられた気がしました。

唯一もしかしたら、と思ったのが100手目あたり。
△5九角は手ごたえがあったのですが、次の▲6九玉が良い手で「ああ、やっぱりまだ悪いか」。

その後しばらく進んで108手目の△7六銀もなかなかの手で、ここで▲6八桂のような催促なら△1六馬!と切る手があって勝ちになります。
しかし次の▲7九香が気づきにくい受けで、「ああ、やっぱりダメか」。

その次の△1五歩は、▲2八竜と馬取りに来られたときに逃げ道を用意した渾身の一着。
「歩の突き捨て」はいろいろな場面で出てくる手筋ですが、中でもかなりレアな手だったのではと思います。
しかし進んで125手目から▲7三歩△同玉▲6八桂が作ったような決め手で、ここで負けがはっきりしました。

それでも、最後の詰みだってけっこう難しい。
チャンスは来ないなりに、最後の最後までギリギリでした。
右上隅の1一と、1五香、2三歩の配置がすべて作ったように詰みに働いたのは不運にも思えましたが、そこに至るまでに一生懸命粘った残骸なので、やむを得ません。

これで3勝3敗に。
後半戦は今期好成績の相手が続いていて、とりわけ厳しい戦いになると思いますが、なんとか勝ち越しを目指して頑張りたいと思います。

残り4戦で、6人の1敗者のうち3・4・5番手との対戦を残しているので、もしかしたら責任重大な立場になったのかもしれません。
良い将棋を指したいのはもちろんのこと、周りの棋士から見ても、納得してもらえるような内容の将棋をと思っています。

昨日は深夜に帰宅後、4時ぐらいまでクールダウンしてから就寝。
起きたら昼すぎでした。
激闘のあとにしては、よく眠れました。
今日はゆっくり休んで、明日からまた次の対局に向けて頑張ります。

本日対局

いつものように、予約投稿です。

今日はC1順位戦の一斉対局日。
名人戦棋譜速報でご覧ください。

対戦相手の泉八段とは、本局が初手合。
かつてあった西日暮里道場でのプロアマ混合の研究会で、十数年前に教わって以来の対戦だと思います。

棋士になって14年目になりますが、いまだ指したことのない先輩棋士もまだまだいます。
同じ相手と続けて当たることもあるのに、逆にまったく当たらないこともあって、抽選というのは不思議なものですね。

初手合の楽しみな気持ちと、ほど良い緊張感を持って、対局に臨みたいと思います。