女流王座戦、魂の七番勝負、電王トーナメント

昨日のリコー杯は加藤女王の完勝。
強い内容だったと思いました。
超速穴熊は薄いようで遠いケースが多い印象で、本局も囲いに手がかかることさえなく、振り飛車の銀冠との差が出た感じです。
2-0となってはさすがに挑戦者有利と思いますが、女流王座の巻き返しがあるかどうか。

AbemaTV、魂の七番勝負が昨日で終了。
若手から見て、最終局だけ負けての6-1とのことで、さすがにこの結果には驚きました。
もちろん藤井四段の6-1も驚きましたし、勝負の結果に偏りが生じるのは自然なことでもあるのですが、とは言え。

今回の結果で注目度が高まり、活躍に勢いがつくという好循環が起きそうな気がします。
いまはまだ、彼らと公式戦で多く対戦することになるのは今回出場のトップ棋士たちではなく、我々Cクラスの中堅棋士なので、できる限り波に呑まれないようにしなくてはと思います。

 

この土日は電王トーナメント。
電王戦の舞台におけるソフトと棋士の対戦は終了しましたが、ドワンゴさんは宣言通りその後も続けていただいていて、ありがたいことと思います。

ただ正直言って彼ら(?)の将棋の内容は、あんまり理解できません。
強いということはなんとなく分かるけれども、観ていて自分の脳が喜ばないんですよね。

自分は、コンピュータ将棋に触れてはいるものの、あまりそこから影響を受けていない側の棋士だと自分では思っています。
そもそも触れてない棋士もいるでしょうし、逆にどっぷり漬かって(使って)いる棋士もいるでしょう。

そんな中で、これから影響を大きく受ける棋士が徐々に増えていって、人から人へと波及して、その影響によってすこしずつ世界が変化していくのだろうと想像しています。
実際にいまの将棋界はまだその途中の段階でしょう。

自分もどこかのタイミングで急に、コンピュータの指す将棋を「面白い」と感じるようになるのであろうと予想しています。
いまはまだそう思えないので、影響が限定的なのではないかと分析しています。

AI一般にもつながる話ですが、漠然と信用するでもなく、拒否するでもなく、自然に対峙し自分の感性を大事にして、影響を受け入れようと考えています。
自分が面白いと感じたそのときに、仲良くできればそれで良いと思っていますので。

それにしても、こんなにも多くの強いソフトがいるなんて、開発者の方々は本当に熱心ですね。
おそらく多大な時間と資金を必要としているはずです。
人間のモチベーションというのはすごいものだとつくづく思います。
その情熱が王者ponanzaを破るかどうか?が今日の見どころでしょう。

リコー杯ほか

昨日の中継は、豪華カードにしては早い終局が多かったですね。
まあ、ときにはこういう日もあります。

今日は土曜日ですが、大阪で女流王座戦の第2局。
もちろん中継もあります。
例年通り、前夜祭は大盛況で、棋士も多く詰めかけたようですね。
大盤解説等のイベントもありますので、お近くの方はぜひ。

 

最近の話題とか。

流行語大賞候補(全部で30あるらしい)に「藤井フィーバー」「ひふみん」がノミネートされたとか。
将棋界から2つも選ばれるとは、まさに僥倖ですね。
今年は本当に将棋ブームだったんだなあと、改めて実感しています。
来年以降も続いていくかどうかは、我々の努力次第だと思います。

個人的にはいつも全然知らない言葉が多いんですが、最近わりとよくテレビを観るので、多くの言葉は聞いたことがありました。
平成も終わりが近くなってきた現代の日本で「アウフヘーベン」が注目されるとは、ヘーゲル先生もさぞお喜びかもしれませんね。(?)

昨日は将棋が取り上げられるというので録画してあった「ドクターX」を観ました。
キャストがあまりの豪華さでウケました。
盤駒や対局風景など、将棋に関するシーンもかなりきめ細かく作られていましたね。
ストーリーも面白く、棋士が主人公のドラマの中でも、出色の出来だったのではと思いました。

連盟HPの将棋コラムで、伊藤果先生の連載が始まったようです。
森師匠など、引退棋士へのインタビューはこれまでにもありましたが、ご自身で書かれるのはたしか初めてでしょうか。
果先生の詰将棋のお話はこれまでにも何度か直接お聞きしたことがあり、とても面白いので楽しみな連載です。

初回に紹介されている詰将棋、これはたしか有名な難問なんですよね。
難しいとはいえ7手詰ですので、腕自慢の方はぜひ挑戦を。
そうでない方は矢印をクリックすると盤面が動きますので、鑑賞して感動しましょう。

ではでは、今日はこのあたりで。

王位就位式、順位戦

昨日は午後、菅井新王位の就位式にお邪魔してきました。
第58期王位就位式の模様

佐藤会長が「大山先生と升田先生の良いところをあわせもつ棋士」と称えれば、幼少の頃から手塩にかけた北村実先生が「時間を使って考えるように言ってきたけど聞かなかった」と冗談交じりにエピソードを語り、
菅井王位がこみ上げてくれるものを見せると、井上師匠が「最初は羽生さんの弟子になりたいと言っていた」と爆笑を誘い、、

といった感じで楽しく心温まる挨拶の多い就位式でした。
地元岡山から後援会の方々も大勢お見えで、他の方の就位式とは雰囲気が違うのを感じました。

そういえば、地方在住のタイトルホルダーは初めてではないかと思います。
以前であれば東京・大阪に出ずしてここまで強くなることは難しかったと思うので、これもまた新時代の象徴でしょう。
対局・公務のたびの移動はラクではないと思うのですが、何より将棋普及には理想的な形だと思うので、できればこれからも地元を離れず、活躍してほしいと願っています。

それにしても、新王位が初めて見たタイトル戦が「あの△1二飛の将棋」というのは驚きました。
あの将棋ってそんなに前ですか。やはり若いですね。
(※調べてみたら2005年の王位戦第2局、いまから12年前でした)

 

その後、久々にすこし買い物してから帰宅、夜は順位戦を観戦、という一日でした。

C2は昨日も面白い将棋が多数。
及川ー三枚堂戦の千日手は、ちょっとした新手筋ではないでしょうか。
千日手になったと知っているのに手順が浮かばない終局図はたまにありますが、その中でも特に驚かされるような妙手順でした。
全勝の3人はそれぞれ1敗者との対戦を残し、リーグとしても面白い展開になっていますね。

A級は最後まで観ることができず寝てしまい、その時点では久保王将がはっきり勝ちに見えたのですがもう一山あったようですね。
147手目の感想戦コメントに出ている手順が面白かったので、ちょっと図面を作ってみました。

この▲6一角が逆王手の筋で自玉の詰めろを防ぐ妙手。
(△8八銀成▲同玉に、どう王手しても7二の飛車が動いて後手玉が先に詰み)
普通はこんな手があれば勝ちとしたものですがそこで△7三銀打!がさらなる妙手で後手勝ちとのこと。
▲8二飛成△同玉▲7二角成△9一玉に、▲8二銀が打てず後手玉が詰みません。
実戦の終盤にはすごい手が潜んでいるものですね。

 

今日もタイトルホルダー2人をはじめ、トップ棋士の中継が多数あります。
最近豪華な日が多く、嬉しい限りです。

朝日杯ほか

昨日の(つまり一昨日の中継の話題の)続き。

朝日杯は一次予選の枠抜けが半分ぐらい決まり、残り半分ぐらいといったところ。
例年よりやや進行が遅いでしょうか。

谷川ー阪口戦は、振り飛車のお手本のようなさばきで、アマチュアの方の参考になりそうな将棋でした。
中盤は美濃囲いの深さを強調して戦い、終盤は端攻めを余して勝つ。
こういう内容で勝てると気持ち良いですね。

もう1局の郷田ー斎藤戦は、ちょっと意外なひねり飛車。
秒読みの中で、けっこう駒の振り替わりが多いけれど形勢はなかなか大きく動かないという局面が長く続いて、安定感、という言葉が思い浮かびました。
バランスを保って長い手数を指し続けられるのはトップ棋士ならではと思います。

朝日杯は昨日も1枠あって、そちらは佐々木六段が、振り飛車らしい指し回しで2連勝。
↑のように安定した力ももちろん大事ですが、やっぱり早指しはいかにペースを握るかがまず大事だな、と感じる内容でした。

あと一昨日は棋聖戦の菅井ー大石戦が見ごたえのある好局でした。
感想戦コメントを読む限り、自分の形勢判断は対局者の感覚とだいぶズレがあって、修正したほうが良いのかどうか、いま一度考えないといけないと思いました。

また昨日のA級は羽生棋聖の勝ち。
消費時間に大きな差があって、形勢は難しそうなのでかなり苦しんでいる様子なのかな、と思って見ていましたがどうだったんでしょう。
最近の角換わりは玉が6八(4二)のままで戦いになることがけっこうあるので、必然的に昨日のように右辺に脱出する展開が頻出して、結果として終盤がより複雑になっている印象です。

A級順位戦は今日も1局あって、他にC2の後半もあります。

 

弟弟子の結婚をネットで知る。
竹内雄悟四段が結婚

全然知りませんでした(笑)おめでとう。
スポーツ紙のニュースにもなってましたね。そういうものですか。
広島勢、これで残るは糸谷君だけになりました。

さなる杯愛知&静岡こども将棋大会のお知らせ
小学生名人戦の全国大会につながる大会です。

「さなる」はこの地域を中心とした塾で、実際の校舎を使って地区大会を開催していただいています。
私も浜松会場に行かせていただくことになっています。

ありがたいことに子ども大会は参加人数・大会の数とも全国的に増加傾向ですので、その中で特色ある内容をといろいろと考えていただいています。
当日は親御さん向けにちょっとした講演などもやらせていただく予定です。
ぜひ多くのご参加をお待ちしております。

倉敷藤花ほか

昨日の倉敷藤花戦第1局は、里見さんの先勝。
伊藤さんは▲6四桂の両取りが、ちょっと感触の悪い手でもったいなかったと思います。
このカードは毎局面白い将棋になる印象ですが、里見さんの最終盤での懐の深さが目立ちますね。

棋譜コメントを見ていると、立会人の中川さんを中心とした検討が楽しそうで、光景が目に浮かぶようでした。
女流棋士も大勢集まっていたようです。

連盟HPには展望記事も出ていたのですね。
将棋コラム
僕は昨夜、対局が終わってから読みました。

タイトル戦開幕直前の展望記事は、最近の連盟HPでは恒例にしているようで、良い試みと思っています。
ただ第1局当日よりは、数日前ぐらいに掲載されたほうが良い気がするんですが、どうなんでしょう。
ここにひっそりと要望しておきます。

 

王将リーグは豊島八段が独走状態、これで早くもプレーオフ以上確定とのこと。
A級順位戦でも全勝ですし、すごい勢いですね。
昨日の将棋はたまたま終局の直前あたりをリアルタイムで観ていたので、急に終わってびっくりしたのですがそういう流れでしたか。

王将リーグ4回戦、豊島八段戦。
本人の感想ほど正確なものはないので、ありがたい限りです。
最近は他にも竜王戦に関することとか、叡王戦の抽選の様子とか、竜王とは思えないほど率直で、渡辺明ブログらしさが戻ってきた感じに見えます。

 

王座戦一次予選の佐々木ー阿部戦、阿部七段の序盤戦術があまりにも斬新で目を引きました。
マニアックすぎて真似する人はなかなか現れないと思いますが、素晴らしい個性で、結果を出したのも見事です。

対する佐々木六段の「肉豆腐定食、肉大盛り、ごはん大盛り、モチ1個」もすごい手でした。
こちらは今後真似する人が現れるのでしょうか?
指し過ぎだと思うので、自分はやりませんけど(笑)

昨日も書いた通り他にも注目局多数の一日でした。
今朝は更新が遅くなってしまったので、今日はひとまずこのあたりにして、気が向いたら明日また改めて触れようかなと思います。