七冠とか

昨日は囲碁の井山さんが七冠に「復帰」のニュース。
驚異的と言うか、奇跡的と言うか。
とにかく信じられないような偉業です。
囲碁は世界戦もあるので、日程もものすごくハードだと思うのですが。

将棋界は現在、7つのタイトルを6人で分け合っている状態なので、いっそう対照的です。
ただ、囲碁界でも有望な若手棋士はたくさん出てきているはずなので、1年後にどうなっているかは分からない。のではないでしょうか。
お隣でありながらあまり知らない世界ですが、井山さんに迫るような若い棋士が台頭して、中国・韓国にも勝つようになれば、いっそう盛り上がるだろうなと思います。

 

テレビの話題とか。
対局の翌日に、録画しておいたNHKスペシャルを観ました。

藤井四段のインタビューに対する受け答えの素晴らしさは、いまや世間の誰もが知っているような状態ですが、その発せられた言葉の一つ一つが、彼のイメージを作り上げて、ゆえにそこから離れられなくなってしまう。
という状態はなかなか大変なのだろうな。とあくまで想像ながら、思ってしまいました。

まだ成長過程(年齢的な意味で)のはずなので、言動や価値観や、その他自分にまつわるいろんなものが変化しても、それは当たり前のことだし、良いことだと思います。
将棋界のために活躍してほしいのはもちろんですが、同時に、自分に縛られずに大人になってほしいですね。
将棋の内容や結果以外で、期待されるものが大きすぎる状態というのは、本当に大変だと思います。

アド街@千駄ヶ谷、将棋もたくさん取り上げられていて、良かったですね。
将棋会館や鳩森神社以外にも、知っている場所や店がたくさん出てきました。
カフェが多いイメージはやっぱり正しかったのだなあと改めて思ったり。
日本棋院のある市ヶ谷も、近く取り上げられると良いですね。

 

先日の叡王戦解説のときにメール質問に答えた話。
ニコニコニュース

こういうのは、誰が書いて(文字起こしして)くれてるんでしょうかね?
ちょっと誤植もあるのですが、ありがたいことです。

本文にもある通り、カロリーナにはもっと強くなってほしいし、彼女なりの役割で活躍してもらいたい。
そのための成長に必要なことは、新鮮さを失わないこと、そしてそれにより、モチベーションを高く保つこと。
自分ももう30年以上将棋をやってきて、それは簡単なことではないと自覚しているからこそ、いつも言い聞かせていることでもあります。

 

今日の東京は久々の晴れ。
たぶん唯一のタイミングなので、これから洗濯を干したら、不在者投票に行ってきます。
いまだに投票所に行かないといけないというのは理解も納得もできないところですが、ルールなのでしょうがないですね。
急に寒くなったし雨も続くしで、投票率は下がりそうな気がしますが、どうなるでしょうか。

勝ち

昨日は朝、対局開始のときに写真を撮られてはじめて、モバイル中継ありと気づく。
普段、チェックしているはずなのですがなぜか昨日に限って忘れていたようで、ブログでも告知しそこねました。
もちろん、それで指す将棋が変わるわけでもないのですが、良い将棋を観てもらおうと、気合が入りました。

石川七段とは、これまでの対戦でも秒読みの熱戦が多く、昨日もそうなりました。
戦型は「トマホーク」と呼ばれる近年静かに注目されている戦法で、こちらが居飛穴で真正面から受けて立つ展開。
プロ公式戦ではサンプルが少ないので、関心のあるアマチュアの方にとっては、興味深い序盤になったのではないかと思います。
中盤も一手一手が非常に難解で、読み応えのある将棋でした。

終盤ははっきり勝ちになってから大きなミスが出たり、満点にはほど遠い内容でしたが熱戦の末に勝つことができたのは良かったです。
王座戦は一次予選の枠抜けまであと2勝。
次の対局も頑張ります。

 

昨日は新人王戦の第2局があり、増田四段が2連勝で優勝、連覇達成。
10代での連覇は初めてとか。
彼は四段になってからもうそれなりのキャリアがある感じなので、まだ四段なのも、まだ10代なのも意外な感じがします。

いまの若手はただでさえ競争が激しいところ、AIの台頭に超大型新人の出現で大変だと思いますが、活躍の場が多く、羨ましくもあります。
これからも切磋琢磨して、将棋界を盛り上げてほしいと願っています。

それと昨日の中継、関西の平藤ー西川戦がすごい激戦で、面白い将棋でした。
終盤に「3七と4七でと金がぶつかった将棋は、10万局を超えるデータベースの中で1局しか見つからなかった」という記述が出てくるのですが、むしろ1局でも前例があることに驚きます。
この場面はもとより、善悪不明の攻防が多く、まさに死力を尽くした一局だったと思いました。

 

今日の中継は王将リーグが1局に、王位戦・王座戦・朝日杯。
そういえばこないだの田中寅九段との対局のとき、田中先生がその日の立会人だった伊藤果先生(田中九段の兄弟子で、上田女流の師匠)に「今度上田さんに教わるんですよ」と話しかけていたのですが、それが今日でしたか。
最近同門系列の対戦が多いなあと思っていたのですが、棋士と女流棋士の対戦では、まだ珍しいような気がしますね。

今日対局

いつものように、予約投稿です。

今日は王座戦の2回戦。
今月は王位戦(4時間)、順位戦(6時間)、王座戦(本局・5時間)、そして月末にもう1局順位戦、と持時間の長い対局が続いています。

夏から秋にかけて始まる予選は叡王戦・朝日杯など短い対局が多く、秋から冬にかけては王位戦・王座戦、そして年末頃から竜王ランキング戦と、長い対局が多くなる傾向にあります。
昨日も書きましたが粘り強く、指したいと思います。

 

最近の棋戦の動き、中継の話題をすこしだけ。

土曜日、女流王将戦は里見さんが先勝とのこと。
こちらは後日囲碁将棋チャンネルで放映されます。

また同日夜のAbemaTV・魂の七番勝負は藤井四段が行方八段に勝ち。
これで若手チームが3-0ですか。
若手、強いですね。としか言いようがない。

日付戻って木曜日、C2順位戦は増田四段、今泉四段、そして藤井四段の3人が5戦全勝で折り返し。
最年少棋士と、2番目の棋士、そして最年長四段というメンバーで、世間から特に注目される棋士が集まりました。
増田君と藤井君の2人を足しても僕より若いわけで、そこに割って入る今泉さんの奮闘ぶりはすごいと思います。

この日も面白い将棋が多かったですが、中でもコーヤン流の銀冠穴熊破りは参考になりました。
まさに職人芸で、プロも憧れる将棋です。

同じ日、A級順位戦は佐藤九段が稲葉八段に勝ち。
こちらは相変わらず、誰もマネできない力強い指し回しでした。
会長職の激務の中、いつ見ても独創的な指し方で結果を出しておられて、驚嘆の一言です。

 

自分も良い将棋を指して、ファンの方々に観ていただけるように頑張りたいです。
では、行ってきます。

 

10/10 田中寅九段戦

先日の順位戦の対局について、簡単に振り返っておきます。
全棋譜は名人戦棋譜速報で。

対局翌日にも書いた通り、序盤は苦しい立ち上がりでした。
図は仕掛けの場面で、△5二金と上がった瞬間に▲5四歩と角筋を通して開戦。
いかにも好機をとらえられた感がありました。

図以下△同歩に▲2六飛が狙いの一手。
そこで△3五飛は▲2四飛でまずいので、自然な手は△4五歩なのですが、▲2四飛△8八角成▲同銀と進んで

ここで△2二歩は▲4四歩で銀がアウト。
ほかに△3五飛は▲2六角が絶好打で攻め合い負け。

ということで実戦はこの変化を避け、▲2六飛に△5五歩と振り飛車の手筋で粘りに出たものの、これではすこし形勢が悪い感じです。

変化手順中、▲4四歩に△5二銀と逃げるスペースがあれば大変だし、▲2四飛と出たときに△3二金と守る手があれば、簡単にはつぶれません。
ということで、△5二金と上がったこの瞬間が、居飛車側から見れば「仕掛けのタイミング」になっています。

どうすれば良かったか、となるとなかなか難しい問題ですが(対局中にももちろん悩んだわけで)、△5二金に代えて△5一金は有力だったかもしれません。
実戦では、ちょっと不自然で指しにくい手かなと思い見送ってしまいました。
本譜の仕掛けをうっかりしていたわけではないのに、仕掛けられて悪くしてしまったので、もっと考えるべきだったのは間違いないところです。

ただ作戦的には、いつでも▲5四歩という手があるのはなかなかのプレッシャーで、穴熊に対して5筋位取りはいままで指されたことがなかったのですが有力と感じました。
左銀が出ていく通常の急戦と比べると玉形が堅く、角交換のときに▲8八同銀と取れる(2つ目の図参照・▲同玉だと△3三角が王手飛車)などのメリットも大きいです。

このあとはできるだけ不自然な手を選んで、簡単に倒れないように努めたのが良かったように思います。
形勢が良いときもあれば、悪くなるときもあるわけで、悪くなってもくじけず頑張ることが大切です。

明日の対局も粘り強くいきたいと思います。

記事紹介など

昨日に続いて、リンクを中心に。
最近印象に残った記事をまとめてご紹介します。

対局中にファッション思案! 佐藤名人のこだわり
スーツもいいけど和服もね! 将棋「貴族」の勝負服

NIKKEI STYLEより。
懐かしいお名前の記名記事です。

佐藤名人のインタビューや対談はこの一年ぐらいかなりの数になっていて、読んでいつも思うのは、とても自然体でマイペースだということ。
自分を自分なりに律することが大事な、棋士という職業になくてはならない要素でしょうね。

【羽生善治】テクノロジー進歩で「自分は何者か」が問われる
羽生先生の分かりやすい語り口に感心させられるのはいつものことですが、最近は特にAIと職業、という社会的な関心の高い分野について、精力的に発信を続けておられる印象です。

>単に、将棋ソフト由来の新しい戦術をまねしてもダメなんですよね。これは、話し方みたいなものだと思うんですよ。
というくだりは非常に印象的でしたし、

>確率的ということは、絶対ではないということ。でも、その精度が上がれば上がるほど、絶対正しいと人間は錯覚してしまう。
という部分の「確率的」というキーワードは、僕自身がうまく説明できないでいることの本質を、分かりやすく言われたような気持ちです。

「正しそうなもの」と「正しいもの」の違いをきちんと理解した上で、うまく使いこなす、判断することが大切な時代になってきていると思います。

将棋・藤井聡太四段、将棋ソフト最強期に胸中告白「プロ棋士の存在が問われる時代」
上の記事とどことなく似たタイトルになっていることを、「奇しくも」と表現すべきではないでしょうね。
まだ中学生なのにすごい、とも思いますし、プロ棋士であれば当然、とも思います。

僕自身もプロ棋士になれたときからずっと、あるべき姿、存在意義というものについて考えてきましたし、考え続けています。
そうせざるを得ないという意味もあるし、すべきであるという意味もあると思います。

観て面白い将棋と、勝つ(=正しい?)将棋の間には、常にギャップがあると同時に、決して両立しないというものでもないはずです。
藤井四段の将棋は観ていて面白い、華がある、だからいっそう応援してもらえる。
実はそれも、大記録が生まれた理由の一つなのかもしれません。

藤井聡太四段、毎日帰宅したら新聞熟読
朝日新聞の記事です。
僕自身も彼の歳の頃はかなりの新聞少年(?)だったので、よくわかります。
AIだけでなく、BIの話にまで広がっているのは大したものですね。

ZOOM UP!(さぽナビ)
こちらは佐々木勇気六段。
>将棋の神様から託されたものがある
というのは印象的なフレーズです。

どことなく、他のトップ棋士と重なり合う部分があって、しかししっかりと個性もあって。
そのバランスが良い棋士は、もちろん盤上でも活躍もしていますし、こういうインタビュー記事を読んでもやっぱり言葉に力があるなと思います。

上へ上へ挑戦と観察 カロリーナ・ステチェンスカ 女流1級
毎日新聞の記事です。
最近熱心に記録を取っていることが書かれていますね。
一生懸命勉強して、まだまだ強くなってもらいたい。

 

今日も紹介だけでかなりの分量になってしまいました。
明日は将棋の話も書きたいと思います。

今日は土曜日ですが叡王戦、JT杯(無料中継)、マイナビと3棋戦4局の中継があります。
また夜はアド街に千駄ヶ谷が取り上げられるとか。

そして今夜からアニメ・3月のライオンの第2シリーズが放映開始です。