本日対局

棋聖戦の午後から1局バージョンです。
モバイル中継もあるようなので、ぜひご覧ください。

今日はお昼すぎに連盟に行くことになるので、それまでは軽く棋譜並べなどしながら、相手がどちらになるか中継でチェックして、対局に備えたいと思います。

 

昨日のB1順位戦は、どの将棋も激戦ばかりで、見ごたえのある一日でした。
自分もああやって良い将棋を観ていただけるよう、頑張ります。

「感想戦」について

最近、一般の報道番組に呼んでいただくときによく、「感想戦」について質問されることがあります。
打ち合わせのときに下調べしていらしたり、CMの合間に隣の方に聞かれたり、映像が流れたときにアドリブで質問されたり、いろいろです。

勝者と敗者が一緒に、勝敗に関係なく終わったばかりの対局を振り返るというのは、スポーツの世界などと比較するとかなり意外で、注目されることが多いようです。
実際、将棋界ならではの、美しい光景だと自分でも思います。
対局では勝敗を争うわけですが、ひとたび終われば敗者は悔しさを内に収めて、勝者は結果に奢らず相手への敬意を持って接し、お互いの意見を述べ合って盤上の真理を追究します。

何のためにやっているのですか?という質問に対しては
(1)最善手の確認、真理の探究の場
(2)ひいてはお互いの技術向上の場
(3)今後も見据えての、勝負の場(読み筋でも「すごい」と相手に思わせる)
(4)観戦記者への解説、説明の場
だいたいこんな感じです。
(3)や(4)はトッププロならではとして、(1)や(2)はこれから強くなろうとする人にとっては特に大切で、我々は子どもの頃から習慣として身についていますし、アマチュアでも強い人になるほど、きちんと感想戦を行うことが多くなります。

また、「義務なのですか?」と聞かれることも多いのですが、別に義務ではありません。
ルールではもちろんないし、マナーかと言われると、それも違うような気がします。
しかし、現実にはほとんどの棋士が、自然と行っています。
(かける時間の長さには個人差が大きくあります)

独特の習慣であり、美徳でもあり。将棋という伝統文化の世界には、こうしたルールとして明文化はされていない事柄が多くあります。
たとえば、駒箱を上位者が空ける前に一礼する、など開始時・終局時の作法とか。
投了前にすこし気息を整え、身のまわりも整えてみたりとかも、棋士によってルーティーンはさまざまながら、何らかの形で「美しさ」について考えている人が多い気がします。
プロの世界、伝統の世界ですので、そうした精神文化は、とても大切なものだと思います。

以上、最近はもしかしたらテレビのディレクターの方々なども、読んで下さっているかもしれないので、書いてみました。
将棋ファンにはおなじみでも、普段ご覧にならない方にはちょっと意外な光景というのは、いまの機会に広く知ってもらえるようにできたらと思いますね。
さらに興味のある方は、安次嶺先生のコラムもぜひ読んでみてください。

 

女流王位戦ほか

昨日の最終局は熱戦の末、里見女流王位の勝ち。
フルセットでの防衛には、王者の底力を見た思いです。
室谷さん、伊藤さんとあと一歩まで追い詰めながら届かない。
タイトルを取るというのは大変なことなのだあと改めて思わされるシリーズでした。

それにしても、伊藤女流二段の将棋は見ていて個性的で面白いです。
中盤で▲5六金と腰掛けた手、タイトルの懸かる一番でこの手を指したことは、称賛に値するでしょう。
捲土重来を期待します。

 

昨日はけっこう長い時間をかけて、大記録に関する報道を追いかけていました。
各界の、本当にさまざまな方々からコメントが寄せられていることが、印象に残りました。
藤井四段という将棋界のスターのために、報道陣の方々が一人でも多くのコメントを取ろうとして下さったのだと思います。
将棋界にとっては本当にありがたいことと思いました。

個人的には、いろいろある中で岩崎恭子さんからのエールが特に印象的でした。
金メダルを獲得したときが同じ14歳だったそうで、僕も当時テレビで観たような記憶があります。
カメラに囲まれる経験というのは、世の中のほとんどの人は経験しないことなので、藤井四段にはこういう先輩の声を大事にして(将棋界で言えば羽生先生とか)、もちろん周囲もサポートしてあげてほしいですね。

安倍総理は「日本人に夢や希望を与えてくれる」と語ったそうです。
将棋界も、そういうスケールでこれから社会と向き合っていくべきなんです。
この1週間ぐらい、わりと平和で、国際的なこととかでそこまで大きなニュースがなかったのも、良かったですね。
将棋という盤上の戦いは、盤上のみの戦いとして世界平和に寄与すべきだし、世界が平和であればこその明るいニュースですので。

 

昨日の夕方、連盟HPに観戦記情報が出ていました。ぜひご覧ください。
以前からこうした情報発信があればいいなと思っていました。

今日の中継は叡王戦と、ヤマダ杯。
カロリーナも登場します。

新記録

藤井四段、29連勝。
昨日も素晴らしい将棋でした。
▲3三銀成と食いちぎって▲1五角は気がつきにくい攻めで、またもやすごいものを見た気がしました。
竜王戦の予選1回戦で連勝が始まり、決勝トーナメント1回戦で新記録達成。
この先どこまで勝つでしょうか。

歴史的瞬間は、モバイル中継と、NHKニュースを見ていました。
NHKの9時のニュースはすごい視聴率だったとか。
終局後は読売新聞号外も出たようです。

上記リンク先には何人かの棋士が寄せたコメントも掲載されています。
羽生三冠の「檜舞台で顔を合わせる日を楽しみにしています」というコメントは、あまりにも重みがありました。

今朝の朝刊も自分の知る限り全紙1面トップ、テレビ欄を見ても藤井四段の名前がいっぱいあって、完全に日本のトップニュースになっています。
すごいことが起きたのだなあと改めて思いますし、いっぽうで同じ世界の出来事という実感がありません。
将棋は一局一局の積み重ねなので、一局の将棋の出来もさることながら、このパフォーマンスをいつも続けているというのが本当にすごいことで、こういう人が現れたということが、何よりの驚きです。

ひとつ勝つたびに彼のファンが日本中に増えている現状で、対戦相手も燃えるを通り越してさすがにやりにくくなりそうですが、次の佐々木勇気君も「止めるつもりで臨みます」と力強いコメントで素晴らしいと思いました。
彼はしばらく前から加熱する報道陣の下見に来ていて、たしかに当日を平常心で迎えるためにできるだけのことはやるのがプロだよな、と感心しました。
次も素晴らしい将棋を期待しています。

昨日は久々に月例報告会に出席。
その折に大内九段の訃報を知り、驚きました。
威厳があってカッコイイ先生でした。

個人的には、旧帝大のOB会である「学士会」の将棋会に一時期お邪魔していた関係で、大内会のファンの方々と接する機会もあり、先生の人望を感じていました。
この会は大内先生のさらに師匠である土居先生の頃から続いているそうで、いまはこうした古い集まりは少なくなっているはずなので、これからも続いてほしいと願っています。
謹んでご冥福をお祈り致します。

 

今日は女流王位戦の最終第5局。
タイトル戦のフルセットというのは言うまでもなく、なかなかない大一番です。
戦型は相振りで、伊藤女流二段がまたも押さえ込みを目指す構え。
挑戦者としては最後まで自分の棋風に忠実にという気持ちでしょうか。

またリコー杯女流王座戦は、今日で二次予選が終了、最後の本戦進出者が決まります。
カロリーナが先日の対局のことをブログに書いていました。
ちょっと長い、かつ、英語ですが、紹介しておきます。

注目の一戦

昨夜は9時頃帰ってきて、まずは叡王戦を視聴。
羽生先生のヒネリ飛車は珍しいな、とひと目見て思って、あとで棋譜を見てみたら全然違う出だしでした。
最近はこういうことが多いですね。

 

今日の注目は29連勝の新記録なるか、竜王戦本戦の増田四段ー藤井四段戦。
2人合わせても33歳、若い!僕より下です。
今後はこういうことが普通になるのですかね。

この対局では、日本将棋連盟モバイル史上初の「初心者向け中継」を行うとのこと。
上記リンク先には各種放映や、大盤解説会の情報もまとめられています。
もちろん解説会が行われるというのも異例のことです。

この話を聞いたのはたしか1週間ぐらい前のことで、中の人たちの意気込みを感じました。
新しい試みがうれしいですね。

増田四段のコメントも素晴らしいです。
本戦開幕の数日前に、読売新聞の特集記事に本戦出場棋士のコメントが出るのは恒例ですが、対局前のコメントが連盟HPに掲載されるのはもちろん異例のこと。
新しい試みがうれしいですね。

今日はこれからフジテレビの「ノンストップ」という番組で、この対局や、将棋の歴史等についてお話する予定です。
10時頃から、良かったらご覧ください。

 

この日に触れた、森師匠の講演の記事をご紹介。
その6まである力作で、改めて読んでその日のことを思い出しました。
ただこれも将棋の対局と一緒で、文字起こしはやっぱりその場の臨場感にはかなわないですね。
師匠は最近いろいろなところで話をしておられる気がするので、チャンスがあればぜひ、直接会いに行ってみていただけたらと思います。

あと森一門といえば、昨日は弟弟子の藤原君がアマ竜王戦で優勝したそうです。
おめでとう。

では、お仕事行ってきます。