新刊

この3連休は、著書の最終校正に取り組んでいます。
昨年の後半には何度かブログにも書いた通り、ずっと執筆していて、ようやく刊行間近まで漕ぎつけました。

題して「平成新手白書 居飛車編」

平成の新手を一冊にまとめてください、という無茶苦茶な、もとい、大変やりがいのあるお話をいただいてから、構想数か月。
全体の構成を考えるところがまず大変で、そこから実際に実現するまでの作業をすべてやったので、なんというか、やり切った感がすごくあります。

書き始めたら早いかな、というのが当初の読みだったのですが実際には執筆にもかなり時間がかかりました。
頑張った甲斐あって、かなり良い出来になったのではないかと思います。
刊行をどうぞお楽しみに。

なお、続編(振り飛車編)も執筆を予定しています。

クラシック

このところ公式戦で、ちょっと懐かしい形(特に対抗形)を見ることが、心なしか増えている気がします。
これは(自分のような)古くからの将棋ファンにとっては嬉しいことなのではないかと。

たとえばこないだのC2順位戦、中村ー村中戦(※←有料サイト)では四間飛車vs棒銀で、これ以上ないような典型的な定跡形が指されていました。
この将棋は中盤の早い段階で、8六の角を挟んで8五と8七で玉が向かい合うというなかなかないような局面が出現。
玉頭戦の攻防が面白かったです。

清麗戦は全局棋譜公開、という話は前にも書きましたが開幕局の清水ー室谷戦はゴキゲン中飛車の定跡形の中でも、かなり久々に登場した形に。
そして第2局の飯野ー加藤戦は三間飛車の急戦定跡でした。
▲1五桂と打って▲4五桂~▲5三桂不成と飛び込む、この手順は本や古い棋譜で勉強したことはもちろんあるわけですが、中継で観たのはもしかしたら初めてか、観たことがあったとしても相当久々だと思います。

三間飛車への急戦策は、一昨日モバイル中継された本田ー渡辺戦でもありました。
思えば自分たちの世代が若手の頃は穴熊一辺倒で、こういう将棋はほとんど見ることはなかったように思います。
最近はベテラン棋士だけでなく、新四段もこういう急戦を指す時代なのだなと新鮮に感じますね。
ちょっとしたクラシックブームが訪れているかのようです。

同日、竜王戦では本家の藤井システムが観られました。
こちらはまさに振り飛車ファン大歓喜の一局でした。

また今日から開幕の王将戦第1局では、ゴキゲン中飛車の出だしになっています。
毎日角換わりと相掛かりばかりでは面白みに欠ける面もあるので、個人的にはこういう振り飛車の将棋は観ると特に応援したくなります。
今日明日の熱戦にも期待したいと思います。

順位戦

年明けの1週間は、順位戦が多く指されました。
自分も対局日以外は、順位戦を観戦していたら過ぎていった感じです。
数えてみるとA級が4局、B1が6局、C1が19局、C2が12局で、合計41局。
だいたい半分ぐらいの棋士が、今週の順位戦で新年を迎えた計算になりそうです。

A級は全勝の豊島二冠に土がつき、6-1で3人が並んでラス前を迎えることに。
当然ながらこの3人は全員挑戦自力で、 中でも無冠に転落した羽生九段がラス前で豊島二冠戦・最終日で広瀬竜王戦と直対2局を残すというなかなかないような筋書きです。
「一番長い日」を前に挑戦者が決まる可能性はなくなりました。
今年の静岡も盛り上がりそうですね。

またC1は注目の藤井七段とその師匠の杉本七段がついにただ二人の全勝に。
次局で2人とも1敗との直対で、これもちょっと信じられないような展開です。
お二人ともたしかに強いし将棋の内容も良いですが、同じクラスにいる身としては、ここまで走られるというのはちょっと忸怩たる思いもあります。
とはいえ順位戦に(世間一般の)注目が集まるというのはありがたいことではあります。

「火曜日の藤井」がニュースになっているらしいとその夜知りましたが、火曜日は18戦して無敗、ということはつまり彼は順位戦以外では火曜日に対局がついたことがないのですね。
(※この記述は誤りでした。C1は火曜日ですが、C2はいまは木曜日でしたね。大変失礼しました)
勝つのは実力、しかしこれはちょっとした偶然ですね。

他、B1は全勝の渡辺棋王以外は大混戦。4敗での昇級や4勝での降級もありそうな感じになってきました。
C2も最終日までもつれそうな感じですね。
この両クラスでは今週200手を越える熱戦がありました。
どちらも形勢の悪いほうの粘りが凄まじく、勝ち負けは別としてもやはりこれぐらいやらないといけないなと思いました。

A級の残り1局とC2の半分、それとB2は来週行われ、そこで各クラス2局を残すのみとなります。

世間は今日からまた3連休ですが、明日から王将戦7番勝負が開幕することもあり、公式戦中継は休みなく続きます。
今日は弟子と妹弟子の対戦が行われています。
良い将棋に期待しましょう。

解説

昨日は久々に、弁護士さんの将棋会にお邪魔してきました。
皆さんお変わりなく熱心で、何よりです。
昇段のお祝いもしていただきました。
どうもありがとうございました。

席上急遽、棋王戦本戦の将棋を解説してくださいと言われたので、指導対局の後に簡単に振り返ってみました。
準備していなかったのでところどころ覚えていなかったのですが、自分にとっては出来の良い将棋が続き、よく指せたものと自分でも感心。
良い将棋を指せばこうやって観ていただけるし、見せて下さいと声をかけてもらえるということが実感できました。

思えば昨年後半は観戦記のつく将棋をたくさん指すことができました。
自分にも、それを喜んでいただける方がいて、それは何よりも嬉しいことですね。
今年も昨年以上に良い将棋を指していきたいと気持ちを新たにしました。
自分の良いところをしっかり出せるように、それと大きなミスをすこしでも少なくできるように、頑張っていきたいと思います。

今朝は順位戦のことも書くつもりだったのですが、珍しくもう家を出る時間なのと、昨日の将棋にまだ全部目を通せていないので、また明日にします。
ちょっと短いですが今日はこれで。

開幕戦

年末年始は、新たに予選が始まる時期でもあります。
今週は新しくスポンサーがついた棋戦が、相次いで開幕しました。

7日は女流棋戦の「ヒューリック杯清麗戦」が開幕。
予選の第1局がいきなり清水ー谷口戦というかなりの好カードで驚きました。
第1期・文字通りの新規開幕でシードがほぼないのも関係しているかもしれません。
将棋は序盤から激しい展開になり、さすがに見応えのある一局でした。

清麗戦は全局ウェブ上で棋譜が公開されるのですね。
ヒューリック杯清麗戦中継サイト

まったくの余談ですが、この「 清麗戦 」を入力するのに「清い」「麗しい」と打っているので、辞書登録しておかないといけないかも。
そのうち自動で出るようになりますかね。叡王戦もいつの間にか出るようになったし。

昨日、9日は「大阪王将杯王将戦」が開幕。
こちらは伝統ある棋戦を、今期から新たにスポンサードしていただけることになりました。
自分の対局はまだ決まっていませんが、おそらく今月末につくのではないかと思います。
すでに年末のうちに最寄りの大阪王将には行きました。準備は万全です(?)

ちなみに「大阪王将」は創業50年とのこと。
次の新たな50年を、将棋の王将戦とともに歩んでいただけたらと願っています。

今日はA級・B1・C2と順位戦が3クラス。
一昨日のC1と合わせて、順位戦の話題はまた明日に。