雁木

最近、「雁木」(がんぎ)という戦法・囲いがプロ棋界で流行しているそうで。
「矢倉は終わった」とまで言った若手棋士もいるとか。
終わったかどうかはともかく、いろいろと矢倉に対する急戦策が多く、何かと大変な時代なのは確かなようです。

モバイル中継でも、3日続けて登場していました。
すこし前までは、考えられないことでしょう。

新しいほうから、
6/2 佐藤和ー増田康(棋王戦予選決勝)・・増田四段が矢倉のほうを持っているのも興味深いところです。
6/1 青嶋ー阿部光(王座戦本戦)・・矢倉の出だしの5手目▲6六歩の局面から、△8五歩▲7七角と進むのはかなりレアです。
5/31 飯塚ー稲葉(王座戦本戦)・・同型矢倉によく似た戦い、しかし雁木vs矢倉なので似て非なる戦い。
全局観戦記つき、大きな勝負ばかりです。
3局3様の力戦で、どれも終盤まで面白い将棋でした。

飯塚ー稲葉戦の、同型矢倉の親戚(?)はあまり見たことのない形なので、後輩の棋士にそんな話をしたら「これこそいま一番ホットな形ですよ」と教わりました。そういうものですか。
自分的には、翌日の棋聖戦第1局で、同型矢倉が登場したことより、インパクトがあったのですが。

雁木といえば懐かしい思い出があって、27年ぐらい前のある一時期、山崎ー片上戦が先後どちらになっても相雁木(つまりお互いに雁木)という時代がありました。
なぜそんなに、雁木ばかり指していたのか、いまは全く覚えていないというぐらい、昔の話です。
奨励会に入るよりだいぶ前には、指さなくなっていったように記憶しています。

その頃から最近に至るまで、雁木といえばこんな形だったはずです。

それが最近は、こんな形に組むことが増えたようで。

そもそも、雁木の由来は二枚の銀が「ひさし」に見えるところだと聞いたことがあるので、新型はまた別の名前をつけたほうが良いのかもしれません。

この「6七銀・7八金」や「4七銀・3七桂」の形はいずれもソフトが「良い形」と認識すると、電王戦が始まった頃に聞いたことがあるので、いまもそれは変わっていないということなのでしょう。
この駒組みや、ここからの攻め筋などが「チャンク」としてプロ棋士に認識されていった結果、流行しているというのがいまの流れなのかなと思います。

新型の雁木は、左右両サイドに囲い(のような形)があるという点で、横歩取りの中原囲いとも雰囲気が似ている感じがします。
また攻勢を取りやすいという意味で、アマチュア大会などでは特に、人気が高まりそうな気がしますね。
矢倉党の方は、とりあえず試してみたら、面白いと思います。

定跡と前例

とりあえず普通には生活できるようになったので(まだ散らかってますが)今日は図面貼ってみます。

一昨日の棋聖戦第1局、ちょっと意外な戦型という声もあったようですが、こうやって古い定跡形が再登場することも最近ではよくあることという気がします。
古い形になると羽生先生に一日の長がある、とかは、勢いのある若手なら特に考えないのでしょう。
実際、過去の研究や実戦例が、いまの目で見て正しいかは分からないわけですし。

50手目の棋譜コメントに、あれ?これどこかで見た局面・・と思って調べたら、珍しく自分の記憶のほうが正確でホッとしました。
前例は後手2勝、とありますが先手2勝が正しいです。
(全棋譜はこちら

なぜ覚えているかというと、最近のほうの前例が自分自身の対局だったので。
(昨年2月王将戦、対△高見五段戦)
その将棋は50手目△7五歩に対し、▲3五歩△7六歩▲同金△8六歩▲同銀△7四銀▲2四歩△同角▲6四歩△6五銀▲7七歩・・と進行。

もう1局の前例は2013年の王位戦、▲森内ー△藤森戦で、この将棋は藤森君の著書で自戦記を読んでいたので、対局のときにもある程度覚えていたように記憶しています。
(↑良書なのでオススメします。彼は見出しの付け方が楽しく、とても面白く読めました。)

その将棋は50手目から▲3五歩△7六歩▲同金△7五歩▲6六金△7四銀▲3四歩△8六歩▲同銀△6五銀▲5七角・・という進行。

最後の▲5七角が名手で、名人の懐の深さが印象的な一局です。
この将棋を踏まえて、△7五歩▲6六金を省略したのが高見五段の工夫でした。

一昨日の棋聖戦の将棋は、51手目に▲2四歩と前例から変化。

高見五段との将棋は熱戦の末勝つことができたものの、上の図では先手が苦しいと感じていたので、斎藤七段の工夫はなるほどでした。
一例を示すのが簡単ではないのですが、プロの感覚としてこのタイミングだとたしかに△2四同角とは取りにくいです。
前例はたぶん知っていたのだと思いますが、まだはっきり定跡化されたと言えるほどの将棋とは言えないので、さすがというしかないですね。

その後の進行における共通点として、△6五銀の金取りに▲7七歩の辛抱、という手順が実戦に現れたことが挙げられます。
部分的な定跡ということになるかと思います。
▲6五同金△同桂と、▲7七歩△7六銀▲同歩△6五桂、という手順を比べると、7六に先手の歩が残るかどうかの差で、この差がとても大きいのです。

本局はこの後詰む、詰まないの超難解な終盤戦になり、ものすごく見ごたえがありましたが、定跡の探求という意味ではこの▲7七歩の局面がどうか、というのが非常に重要なポイントになると思います。
はっきりしたことは分かりませんが、2局を比較した印象だけで言えば、本局のワカレならば先手を持ってみたいかなという気がします。

以上はあくまで僕の見解に過ぎないので、両対局者の見解等は、産経新聞や将棋世界の観戦記を待ちたいと思います。

棋聖戦とか

今週は水曜日に女流王位戦(福岡県・飯塚市)、木曜日に棋聖戦(淡路島・洲本市)と、2日続けて西日本でタイトル戦が指されました。
女流王位戦は里見さんが勝ち、防衛に王手。
棋聖戦は羽生棋聖の先勝という結果でした。

伊藤挑戦者はちょっとつんのめったような形、斎藤挑戦者は競り合いの末惜敗、という形で展開は全く違ったものの、どちらも王者の懐の深さ、壁の高さを感じました。
次局も熱戦を期待したいですね。

棋聖戦第1局については、明日改めて書いてみたいと思っています。

金曜日は首都大学の授業。
ということで午後からは南大沢に出かけてきます。
今日で僕の担当回は終わりで、後半は中村太地六段にバトンタッチの予定。

 

 

書道

今日は将棋連盟の書道部なんですが、先日の叡王戦の抽選会に、先生が登場されたとか。
まだTSが観れていないので、どんな様子だったかは後日のお楽しみです。
ちなみに相手が誰になったかも知りません(汗

それはさておき、書道はもうすこし練習してうまくなりたいものです。

引っ越しは無事終わりました。
ただ、まだ悠然とブログやってるような部屋の状況ではないので、とりあえず元気にやってますよーという意味で簡単に更新して今日は終わりにします。

引っ越し

これから、人生でちょうど10回目となる引っ越しです。
2000年に東京に出てきてから、今回で7か所め、7区め。

生涯を通じて23区すべてに住むという、およそ現実的でも生産的でもないプロジェクトも、地味に進行中です。
いまのペースならある程度長生きすれば十分可能なのですが、実際にはまあ、半分行くかどうかでしょうかね。

この2か月間は一日も休まずにブログを更新できたので、明日もできれば書きたいと思っていますが、さすがに難しいかもしれません。
将棋に関する投稿も、なるべく早めに再開したいと思っています。

この数か月は、のんびり過ごしつつも、棋士としての生活リズムを取り戻すためにゆる~く努力してきました。
総会が終わり、引っ越しの片づけが終われば、もう自分に対する言い訳はできなくなるので、その先はいよいよエンジン全開でいきたいと思っています。