10/16 石川七段戦

ひと月半ほど前の将棋になります。
かねて巷で噂の「トマホーク」を受けて立った一局で、こういうのは公式戦で現れてこそという意味もあるので、定跡の進歩にもすこし貢献できたかもしれません。

中終盤も、いろいろと見どころがあるので、もしまだの方はモバイル中継で観ていただけたらと思います。
ただ今回は勝負どころではなく、後日調べていて驚いた序盤の場面をご紹介。

図は25手目に▲1七桂と跳ねた局面。

端桂の筋自体は、類型もそれなりにありますが素早い▲4五銀との組み合わせがこの戦型の新しいところです。
この序盤については僕もいろいろと考えましたが、もちろん詳しいことは書けません。

代わりに、この本がとても面白かったので、興味のある方はぜひ一読をオススメします。

さて、続いてこちらの図をどうぞ。

本局との違いは、
・居飛車が先手で▲1六歩を突いている
・三間飛車ではなく四間飛車
・▲5八金左と△2二銀の交換あり
の3点。あとはまったく同じです。

この局面が、なんと20年以上前の女流棋戦で現れていました。
(平成6年6月10日、女流名人位戦、▲多田佳子ー△山下カズ子戦)
(先後逆=図の下側が正しくは後手)
データベースで実戦例を調べていると、たまに驚かされることがあるんですが、いやはや。

この将棋はこのあと振り飛車側から見て、▲2五桂~▲6五歩~▲6四歩~▲3四銀と部分的な狙い筋が実現しています。
そのままの流れで▲1三桂成と飛び込んで一気に攻めるか、あるいはその前に▲6六飛からの転換(これも狙い筋のひとつ)を含みに指せば、トマホークの(?)会心譜が誕生していたことでしょう。

 

この将棋と話は変わりますが、最近の将棋世界の記事で、菅井王位の新戦法の類型をかつて森安秀光九段が指していた、というのもありました。
将棋の戦法はどこでどうリンクしているか、本当に分からないものだと改めて思いましたね。

書いていてさらに思い出しましたがかつて菅井王位の将棋で、石田流の新手が江戸時代の将棋にあったことが後でわかった、という話もありました。
新しいものを作ろうと人間が一生懸命考えると、どこかで古い将棋に出会うのかもしれません。

 

さて明日は対局で、今日ご紹介した王座戦の次局にあたります。
ここ3日間振り返っていて気づいたのですが、最近後手番ばかりだったんですね。
(調べてみると順位戦入れて5局連続)
明日はまず、振り駒で勝てるといいなあ。

10/31 泉八段戦

前節の順位戦の将棋。
この将棋はモバイル中継はありませんが、名人戦棋譜速報の「過去の対局」で観ることができます。
(ちなみにモバイル中継は半年前までさかのぼれます)

本局のさらに前節の、田中九段との将棋に続いて、相手の先手で▲2六歩△3四歩▲2五歩の出だしでした。
そのときは6手目に△3二銀としたので、本局は△2二飛と構えることにして、以下いわゆる「△2五桂ポン」の将棋に。

△2五桂と跳ねたのは先週の将棋と共通なので、どの将棋も展開は違えど、似たような形で3連敗してしまったことになります。
と、振り返ってみるとさすがにきついですね。。。反省。

この将棋は翌日にも書いた通り、苦しい将棋を粘るもチャンスは来ず、という内容でした。
面白い将棋を指せたと言えなくもないですが、当然ながら形勢を悪くした原因はあるわけで、それが図の局面。
(47手目)

当初はここで△4四飛の予定で、実際そう指しておけば難しい形勢でした。
▲3六桂で飛車が詰むのですが△3七と、と切り返して、以下は▲4四桂(▲同銀は△4七飛成で優勢)△4八と▲同金△4四銀(歩で取りたいが▲3四角のラインがきつい)と一本道で進みます。
この進行にあまり自信が持てなかったのですが、本譜よりはずっとマシでした。
また▲3六桂のときに、いったん△5五桂▲5六角を利かす手もあり、それも大変な形勢でした。

実戦の△5五桂を選ぶと、これらの順に比べると駒の損得ではまさるのですが、駒の働きが悪い。
数手先の55手目の▲3五飛を見落としていて(玉頭から攻められることを警戒していたので)、それが悪手を選ばせることになったと思うのですが、生粋の振り飛車党ならば、そもそも直感で切り捨てそうな順です。
自分自身も正解の順のほうが当然の第一感だったので、悔いが残ります。

将棋は読みと感覚の両方が大切で、それが自分の中で相反してしまったときにどうするか、が勝負の分かれ目になることが多いです。
本局は勝負どころでミスが出てしまいましたが、繰り返さないように心がけたいと思います。

11/17 真田八段戦

今週は金曜日に対局があり、それまではこれと言って予定もないので、書いてなかった最近の対局について振り返っておきます。

先々週の棋聖戦、真田八段との将棋は後手番でゴキゲン中飛車を採用。
先週の丸山戦と、2局続けて丸山ワクチンの将棋になったのには驚きました。
最近では比較的少ないので、対策が十分でなかったと反省しています。

38手目の棋譜コメントに「定跡を間違えた」というコメントが掲載されてしまい、これは事実なのですが改めて考えてみると、間違えたことが本当に悪かったのかどうかはよくわかりません。
どちらを選んでもけっこう難しいワカレのように思いました。

勝負どころは56手目の局面。

ここは▲3二成銀と逃げるぐらいなのかと思っていました。
対して△1四角と打ちたいところですが▲2五歩の手筋が好手になるので、どう指すか難しいところです。
△4七角と打っておくような手を考えていました。

ところが成銀を逃げない▲5三歩!が妙手。シビれました。
この図で単に▲5二金だと△5六飛が味の良い攻防手になるのですが、△4二角とわざと取らせてから▲5二金がうまい攻め方で、以下はきれいに負かされました。
65手目の▲4八飛は、典型的な「決め手」で、こういう手があっさり出てきてはいけません。

図では△2四角の利きが攻防なのですがいざ動くと片方にしか利かない、という仕組みでこれも「両取り逃げるべからず」の一種と言えるかもしれませんね。
自分の指し手でないのは残念ですが、アマチュアの方に参考になる手筋を、モバイル中継で観ていただけたのは良かったです。

・・いや、やっぱりそれは負け惜しみだな。

 

戻って直前の△4二同金では△6二金と逃げて、▲5二歩か▲5三歩か▲5四桂か▲4三とか▲4三成銀か、いろいろあるんですが相手の次の攻めを見て、そこで対応したほうが良かった気がします。

あとこの将棋は時間配分を誤ったのが大きな反省点で、これは先週の将棋にも言えることなので、改善しないといけないと思いました。
一局の将棋を指すといろいろと反省があるもので、しかもなかなか治らないわけですがそれも伸びしろと思って、次につなげていきたいです。

深谷名人戦

昨日は日帰りで、表題の大会にお招きいただいておりました。
朝7時に家を出て、夜は帰りが9時頃でしたのでなかなかハードな一日でしたが、おかげさまで楽しく過ごさせていただきました。
お世話になった皆様、どうもありがとうございました。

地域の将棋大会なので、地元の方が中心だろうと思っていたのですが、遠路はるばる参加されている強豪の方もけっこういてびっくり。
世話役の方々のご厚意で、賞品等とても豪華な大会のようでした。
いわゆる「観る将」が増えている昨今ですが、今回は指した感じ(棋力を問わず)地元の参加者もけっこう大会慣れしている方が多い印象で、これは地域性もあるのかなと思いました。

ちなみに優勝は有名強豪の田尻隆司さんでした。
田尻さんは大学時代に広島におられたので、僕は子どもの頃に二枚落ちで教わったことがあります。
もう30年も前のことなので、以来いまだにアマ棋界の一線で活躍されているのはすごいですね。
そんな縁もあって、優勝の賞状をお渡しするのは、ちょっと感慨深いものもありました。
世代を越える、世代をつなぐのは将棋の素晴らしい点のひとつです。

 

一昨日の土曜日に叡王戦の本戦が開幕。
この将棋は終盤で大きなドラマがあったようですね。
「15時開始の持ち時間3時間」という時間設定は、勝負どころをゴールデンタイムを持ってくるという点がまずひとつ。
あとは夕食休憩を挟むことで、近年のキラーコンテンツである「将棋メシ」にもフォーカスするという意味もあるのかもしれませんね。

以前から、対局時間はできるだけ観てくれるファンのために、柔軟に考えていくべきと思っていたので、歓迎すべき変化だと思います。
ひとつひとつは地味でも、将棋界もすこしづつ変えられるところ、変えるべきところは変えていく姿勢の表れだと思っています。
ただ指すほうにとっては慣れないことではあるので、コンディションの調整はそれだけ大事になりそうですね。

昨日、日曜日は倉敷藤花戦の第2局があり、里見さんの防衛。
相変わらず強いですね。

彼女が三段リーグと並行してタイトル戦を指すことも、残り少なくなってきました。
いま、どんな気持ちで将棋に向かっているのか、それは本人にしか分からない世界です。
だから何、ということは僕には言えないんですが、ただ事実として、ふと書き留めておきたくなりました。

今日はこれから練習将棋を指しに出かけてきます。

11/23 丸山九段戦

今日は朝が早いので、予約投稿です。
こないだの敗戦について。

42手目の感想戦コメントに書いてある図を作ってみました。

この変化は、この図の時点で読みを打ち切ってしまいました。
美濃囲いに王手がかかるのは良くないことが多く、相手の攻めが切れるわけでもないので、形勢が難しいということが分かりませんでした。
実際は△7一玉▲8二角△6二玉と逃げて難しいのですが、その発想がなかったです。

いっぽう本譜の50手目。

この図のほうが自玉が囲いから出ていっていないので、危険ではあっても攻めを受け止める楽しみがあるような気がしました。
あと、先の図に比べるとそもそも飛車取りをどうするか、という問題があります。

この局面で▲1五飛をうっかりした、というのは我ながら妙な感想なんですが、
(1)▲9三歩成△同香▲同香成△同玉▲9五飛△9四香
(2)▲4三飛成△同金▲3二角△5一飛
(3)▲9一角△同玉▲9三歩成△8一玉
と3つも怖い筋があるので、そのどれで来られるかと警戒していたらいちばん単純な手が抜け落ちてしまいました。

戻って昼休直前の▲6五飛で前例を離れたことは覚えていたので、その局面と、次の▲8五桂の局面でもっと時間を投入して読むべきでした。
ただ30分以上考えた末に良い考えが浮かぶことは少ないですし、時間配分は難しい問題です。

下の図のあとは急激に形勢が悪くなってしまい、結果的に持ち時間を大量に残してしまいました。
本局に関しては反省点がハッキリしているので、同じミスを繰り返さないように心がけたいと思います。

そういえばここ数局は、たまたま中継があったのと、内容が良くないこともあって図面を載せての振り返りができていませんでした。
残っている将棋も、いずれどこかの機会できちんと書いておきたいと思います。

残念ながら11月は2戦2敗でした。
新しい年に向けて、12月は巻き返せるように頑張ります。