王将リーグほか

王将リーグはこの季節に集中して行われ、11月末に最終戦というのが通例のスケジュール。
昨日豊島八段が勝てば早くも挑戦決定でしたが、対戦成績の悪い糸谷八段がここは意地を見せました。

内容的にも、相変わらずの力強い指し回しでさすがの一局でした。
普通はあんなと金の作られ方をしては悪いとしたものなんですがね。

奇数人数で抜け番を含むこともあって、進行にバラつきがあってややこしいんですが、整理してみると
(1)最終戦でここまで4-1の豊島八段が勝つと挑戦決定という状況は変わらず。
(2)豊島八段の相手の深浦九段は3-2ながら、順位差があるので勝つとプレーオフ他力。
(3)糸谷八段は最終戦に勝って豊島八段が負けるとプレーオフ進出。
(4)他に今日の渡辺ー斎藤戦の勝者が、最終戦に勝てばプレーオフ他力。

という状況ですかね。
「上位2人がプレーオフ」でリーグ入り3名は同順位なので、ちょっと複雑です。
それにしても佐藤名人が真っ先に陥落決定とか、珍しいことではないにせよ恐ろしいリーグですね。

ところで、ついこないだも書きましたが、最近トップ棋士そろい踏みの日が多くあります。
その理由の一つには、たぶん王将リーグの日程が詰まっていることが大きく影響しています。
集中して観るには良いのですが、もうすこしリーグ戦の開始時期が早められるなら、それに越したことはない気もしています。

 

また昨日の竜王戦、宮田六段の▲3三金~▲2二角はカッコイイ手でした。
昇級のかかった大きな一番で、ああいう手が指せたらさぞ嬉しいだろうなあ。

竜王戦は七番勝負真っ最中ですが、もうすこししたら昇級者がすべて決まり、その後来期の抽選も行われることと思います。

今日は久々に(たぶん4年ぶりぐらい)銀河戦の解説のお仕事です。
ネタバレになるといけないのでカードは書けませんが、放映日が近づいたら改めて告知したいと思います。

祝賀会と、AIのはなし

昨日は木村一基さんの九段昇段祝賀会にお邪魔してきました。
お祝いの席というと、公式な就位式・表彰式等の他に、森一門でも毎年恒例になっていますが、それ以外で出席させていただくのは、久々のことでした。

木村さんはお世話になっている先輩でもありますし、三段リーグで5期10年苦しんで、22歳でようやく四段になれた自分みたいな棋士にとっては、希望の星のような存在でもあります。
いつも多くのファンを大事にする姿勢や、抱腹絶倒のトークは、見習いたいものと思います。

昨日も本当に大勢のファンの方々がお見えでした。
おめでとうございました。

 

電王トーナメントは、いろいろと波乱があったようで。
予選5位と10位で決勝とは驚きましたね。
それぞれのソフトの個性や創意工夫までは僕には分かりませんが、ともかく実力伯仲ということなんでしょう。

そしてponanza引退ですか。
一成君があれよあれよという間にコンピュータ将棋界の申し子みたいな存在になって、ponanzaとともに成長していく姿は、振り返ってみるとなんだか感慨深いものがあります。

10年間お疲れ様でした。
またいつでも戻ってきたらいいと思うよ(笑)

 

1週間ぐらい前に、NHKの「人間ってナンだ?」という番組を観たんですが、最近のAIは不完全情報ゲームでも、かなり強くなっているみたいですね。
例として取り上げられていた人狼は、自然言語の能力にかなり左右されそうなので、いまはそれほどでなくても、言語能力の進化とともにある日突然強くなるのではと予想しています。
また麻雀のようにルールが明確で、他の知識を必要としないゲームならば、既に相当な腕前なんでしょうね。

AIに関して経験的に明らかなのは、彼ら(?)は常に自分(多くの人、と言い換えても良いと思う)の予想できないスピードで、かつ予想もしない方法で強くなる。
そして、そのスピードは常に予想よりは速い。ということです。

それを恐れる必要はまったくなくて、予想もしなかった未来が訪れたいまを、大いに楽しめば良いと思います。
5年後、10年後も、そういう気持ちを持ち続けている自分でありたいものです。

 

ソフトに負けてしまうと将棋界はどうなるのか、と不安に思っていた人は業界の内外問わずたくさんいたと思うのですが、僕の場合、かえって将棋が面白くなりました。
最近は観ていて本当に楽しいですし、毎日欠かさず将棋に接しています。
棋士として当然のことでもあるし、とても幸せなことだと思っています。

今日の中継は竜王戦が1局と、王将リーグが2局。

女流王座戦、魂の七番勝負、電王トーナメント

昨日のリコー杯は加藤女王の完勝。
強い内容だったと思いました。
超速穴熊は薄いようで遠いケースが多い印象で、本局も囲いに手がかかることさえなく、振り飛車の銀冠との差が出た感じです。
2-0となってはさすがに挑戦者有利と思いますが、女流王座の巻き返しがあるかどうか。

AbemaTV、魂の七番勝負が昨日で終了。
若手から見て、最終局だけ負けての6-1とのことで、さすがにこの結果には驚きました。
もちろん藤井四段の6-1も驚きましたし、勝負の結果に偏りが生じるのは自然なことでもあるのですが、とは言え。

今回の結果で注目度が高まり、活躍に勢いがつくという好循環が起きそうな気がします。
いまはまだ、彼らと公式戦で多く対戦することになるのは今回出場のトップ棋士たちではなく、我々Cクラスの中堅棋士なので、できる限り波に呑まれないようにしなくてはと思います。

 

この土日は電王トーナメント。
電王戦の舞台におけるソフトと棋士の対戦は終了しましたが、ドワンゴさんは宣言通りその後も続けていただいていて、ありがたいことと思います。

ただ正直言って彼ら(?)の将棋の内容は、あんまり理解できません。
強いということはなんとなく分かるけれども、観ていて自分の脳が喜ばないんですよね。

自分は、コンピュータ将棋に触れてはいるものの、あまりそこから影響を受けていない側の棋士だと自分では思っています。
そもそも触れてない棋士もいるでしょうし、逆にどっぷり漬かって(使って)いる棋士もいるでしょう。

そんな中で、これから影響を大きく受ける棋士が徐々に増えていって、人から人へと波及して、その影響によってすこしずつ世界が変化していくのだろうと想像しています。
実際にいまの将棋界はまだその途中の段階でしょう。

自分もどこかのタイミングで急に、コンピュータの指す将棋を「面白い」と感じるようになるのであろうと予想しています。
いまはまだそう思えないので、影響が限定的なのではないかと分析しています。

AI一般にもつながる話ですが、漠然と信用するでもなく、拒否するでもなく、自然に対峙し自分の感性を大事にして、影響を受け入れようと考えています。
自分が面白いと感じたそのときに、仲良くできればそれで良いと思っていますので。

それにしても、こんなにも多くの強いソフトがいるなんて、開発者の方々は本当に熱心ですね。
おそらく多大な時間と資金を必要としているはずです。
人間のモチベーションというのはすごいものだとつくづく思います。
その情熱が王者ponanzaを破るかどうか?が今日の見どころでしょう。

リコー杯ほか

昨日の中継は、豪華カードにしては早い終局が多かったですね。
まあ、ときにはこういう日もあります。

今日は土曜日ですが、大阪で女流王座戦の第2局。
もちろん中継もあります。
例年通り、前夜祭は大盛況で、棋士も多く詰めかけたようですね。
大盤解説等のイベントもありますので、お近くの方はぜひ。

 

最近の話題とか。

流行語大賞候補(全部で30あるらしい)に「藤井フィーバー」「ひふみん」がノミネートされたとか。
将棋界から2つも選ばれるとは、まさに僥倖ですね。
今年は本当に将棋ブームだったんだなあと、改めて実感しています。
来年以降も続いていくかどうかは、我々の努力次第だと思います。

個人的にはいつも全然知らない言葉が多いんですが、最近わりとよくテレビを観るので、多くの言葉は聞いたことがありました。
平成も終わりが近くなってきた現代の日本で「アウフヘーベン」が注目されるとは、ヘーゲル先生もさぞお喜びかもしれませんね。(?)

昨日は将棋が取り上げられるというので録画してあった「ドクターX」を観ました。
キャストがあまりの豪華さでウケました。
盤駒や対局風景など、将棋に関するシーンもかなりきめ細かく作られていましたね。
ストーリーも面白く、棋士が主人公のドラマの中でも、出色の出来だったのではと思いました。

連盟HPの将棋コラムで、伊藤果先生の連載が始まったようです。
森師匠など、引退棋士へのインタビューはこれまでにもありましたが、ご自身で書かれるのはたしか初めてでしょうか。
果先生の詰将棋のお話はこれまでにも何度か直接お聞きしたことがあり、とても面白いので楽しみな連載です。

初回に紹介されている詰将棋、これはたしか有名な難問なんですよね。
難しいとはいえ7手詰ですので、腕自慢の方はぜひ挑戦を。
そうでない方は矢印をクリックすると盤面が動きますので、鑑賞して感動しましょう。

ではでは、今日はこのあたりで。

王位就位式、順位戦

昨日は午後、菅井新王位の就位式にお邪魔してきました。
第58期王位就位式の模様

佐藤会長が「大山先生と升田先生の良いところをあわせもつ棋士」と称えれば、幼少の頃から手塩にかけた北村実先生が「時間を使って考えるように言ってきたけど聞かなかった」と冗談交じりにエピソードを語り、
菅井王位がこみ上げてくれるものを見せると、井上師匠が「最初は羽生さんの弟子になりたいと言っていた」と爆笑を誘い、、

といった感じで楽しく心温まる挨拶の多い就位式でした。
地元岡山から後援会の方々も大勢お見えで、他の方の就位式とは雰囲気が違うのを感じました。

そういえば、地方在住のタイトルホルダーは初めてではないかと思います。
以前であれば東京・大阪に出ずしてここまで強くなることは難しかったと思うので、これもまた新時代の象徴でしょう。
対局・公務のたびの移動はラクではないと思うのですが、何より将棋普及には理想的な形だと思うので、できればこれからも地元を離れず、活躍してほしいと願っています。

それにしても、新王位が初めて見たタイトル戦が「あの△1二飛の将棋」というのは驚きました。
あの将棋ってそんなに前ですか。やはり若いですね。
(※調べてみたら2005年の王位戦第2局、いまから12年前でした)

 

その後、久々にすこし買い物してから帰宅、夜は順位戦を観戦、という一日でした。

C2は昨日も面白い将棋が多数。
及川ー三枚堂戦の千日手は、ちょっとした新手筋ではないでしょうか。
千日手になったと知っているのに手順が浮かばない終局図はたまにありますが、その中でも特に驚かされるような妙手順でした。
全勝の3人はそれぞれ1敗者との対戦を残し、リーグとしても面白い展開になっていますね。

A級は最後まで観ることができず寝てしまい、その時点では久保王将がはっきり勝ちに見えたのですがもう一山あったようですね。
147手目の感想戦コメントに出ている手順が面白かったので、ちょっと図面を作ってみました。

この▲6一角が逆王手の筋で自玉の詰めろを防ぐ妙手。
(△8八銀成▲同玉に、どう王手しても7二の飛車が動いて後手玉が先に詰み)
普通はこんな手があれば勝ちとしたものですがそこで△7三銀打!がさらなる妙手で後手勝ちとのこと。
▲8二飛成△同玉▲7二角成△9一玉に、▲8二銀が打てず後手玉が詰みません。
実戦の終盤にはすごい手が潜んでいるものですね。

 

今日もタイトルホルダー2人をはじめ、トップ棋士の中継が多数あります。
最近豪華な日が多く、嬉しい限りです。