連載

日経bizgateの連載、第3回がUPされました。
藤井聡太と「羽生世代」の違うポイント

今回はすこし個人的な思い入れもある内容で、他の多くの棋士と比較すると(トップ棋士に限らず)やっぱり僕は負けず嫌い要素が子どもの頃からずっと足りなかった。という思いがいまだにあります。
才能という表現がふさわしいかどうかは分かりませんが、性格的にこの点は棋士向きではありませんでした。

だからいまもこうやって勝っても負けてもブログを続けてられるのだと思うし、逆に「客観的に自分を見る」能力は高いと思っています。
そちらも当然に大事な要素で、プロの世界ではしばしば、ある意味相反する両方の性格をうまく出す必要に迫られます。

客観的に自分の能力を見つめることと、適切にゴールを設定することから、課題を解決するための戦略は生まれます。
受験という相手の出方がはっきりしている例を持ち出したのは、ひと言でいうならばそういう意味です。
一般論的に、「課題が見つかったときにはその課題はだいたい解決している」などという一文を見かけることはよくありますが、スタートとゴールがきちんと見えていればその時点でクリアできる可能性が極めて高くなるのは事実でしょう。

いっぽう将棋は完全情報ゲームであるにもかかわらず、戦略を立てることは非常に難しいです。
相手がどう来るか分からないこと(分からないからこそ一生懸命読むわけです)に加えて、自分の立ち位置や能力を評価することが難しいからだと思います。
自分に対する客観的な評価を測りにくいということは、成長を感じることが難しいということにもつながります。

こういった点については今後も連載で触れるかもしれません。
どういう流れになっていくかは自分でもわからないので、将棋界のニュースや、世の中の関心事にアンテナを張りつつ、続けていけたらと思っています。

名人戦、女流王位戦ほか

興福寺での名人戦第3局は、羽生竜王が勝って白星先行。
ここまで先手番の勝ちが続いているものの、どの将棋もあまりに難解で、先手番の利を生かして、という感じには自分の目には見えません。
ただ本局に関しては、特にこってりしたねじり合いの一局だった中で佐藤名人に大きなチャンスはなかったように見えたので、そういう意味ではやはりこのレベルだと先後は大きいのかもしれません。

振り返ってみると、序盤の出だしは角換わり腰掛け銀模様でありながら、封じ手の時点ではお互い盤上に角を打ち合っていて、銀も腰掛けていない状況。
これでは解説もひと苦労ですがこれが現代の角換わりの一側面です。
戦型の枠を超えた指し手が、今後もしばらくは主流になることを示す場面と思いました。

女流王位戦は里見さんがまさかの詰み逃し。
詰みを逃してそれでも勝ちというケースは多いですし、わざわざ詰まさなくても勝ちの局面できちんと詰ますこともプロならば多いですが、本局のようなことはかなり珍しいです。
やはり将棋は何が起こるか分からないと改めて思わされました。

内容的に両者を称える声も多かったですが、中盤は見ていて不可解な手もありましたし二人ともこの将棋の内容には納得していないだろうと思いました。
女流王位戦は持時間が唯一4時間で、初挑戦の渡部さんにはこの点も初めてで体力的にも大変だったのではと想像します。
挑戦者がひとつ先行したことで、タイトル戦としては面白くなったと言えそうです。

昨日は他に竜王戦と王座戦の大きな一番が中継されていました。
竜王戦は稲葉八段の強靭な粘りに感動を覚えました。
序盤の早い段階で松尾八段が大優勢になって、結局そのリードが大きかったという結果でしたが将棋とはあんなにも頑張れるものなのですね。

いっぽうで王座戦は谷川九段の潔い投了にこれもまた感動を覚えました。
人間はなぜこうも相反する二つの事象のどちらにも感動できるのか、不思議と言えば不思議です。

あの局面で投了できるプロがいったいどれぐらいいるものなのでしょうか。
少なくとも自分にはたぶん一生無理です。
むしろ自分が渡辺棋王の側を持っていたら、普通に逆転されてもおかしくない気がするので、そう思われない実力を身に付けることが大切と改めて思いました。

負け

双方秒読みになる熱戦の末、手痛い敗戦でした。
はっきり良くなったと感じた場面が二度あり、逆にはっきり悪くなったと感じた場面もありましたが、調べてみるとそこから勝ちまで持っていくのも簡単ではなく、やはり将棋は難しいと改めて痛感しました。

最終盤も難解で、勝つチャンスも十分にあったと思うので本当に残念です。
大阪遠征でこの結果はこたえました。
南先生は自分より20くらい上のベテランですが、形勢が揺れても、終盤になっても姿勢が崩れることがなく、やはりタイトルを取る棋士というのは鍛えが違うと思いました。

これで竜王戦は来期も5組。
勝ちたい気持ちが強すぎるのか、なかなか納得のいく将棋が指せていません。
来期はすこし肩の力を抜いてみようかと思います。

名人戦はとりあえず封じ手の局面だけ見ましたが、難しい将棋ですね。
良いポジションを巡って争っているということは分かりますが、この局面を見せられて「戦型は角換わり」と言われても困ってしまいそうです。

これから帰京します。
来週も対局があるので、気を取り直してまた頑張ります。

本日対局

竜王戦で南九段との対戦です。
若い頃に一度棋聖戦で当たり、すこし前に順位戦で対戦以来で3局目だったと思います。

大阪遠征は前日のうちから自然と対局モードに入っていける感じが好きです。
集中して臨みたいと思います。

今日明日で名人戦第3局、舞台は奈良・興福寺。
将棋駒の出土した地での名人戦開催は棋史にとっても重要な1ページでしょう。

自分のところは中継はありませんが、良い将棋を指したい気持ちはいつもと同じです。
では、行ってきます。

遠征

明日の対局のため、これから大阪に向かいます。
これだけ間隔の短い移動はさすがに珍しいです。
各地でタイトル戦を転戦している羽生竜王や豊島八段らトップ棋士は、これが日常なのかと思うと本当にすごいですね。
おかげさまで最近は自分も盤の前に座ってからの集中力が以前に比べると増していると思うので、遠征はともかく対局が続くように、頑張っていきたいと思います。

 

今期竜王戦の開催地が早くも決定したようです。
第31期竜王戦七番勝負 日程・開催地の発表について

まだ決勝トーナメント進出者もほとんど決まっていないのでかなり早い印象ですが、ファンの方からすれば遠征の予定を立てやすいのでむしろ歓迎かもしれませんね。
調べてみたら昨年よりもさらにひと月半ほど早い発表でした。

また初めてのところが多いなあと思ったらやっぱりその通りで、前期と同じ対局地は第1局(東京)と第6局(鹿児島・指宿)の2か所のみでした。
第7局に新しいところが入っているのはかなり珍しいと思います。
中盤は神社やお城が続いていて、これが最近のトレンドでしょうか(?)。
季節柄、どうか寒くなりませんように。。。

このGWはイベント対局の中継が多かったですね。
中村王座の三間飛車にはびっくりしました。
そして藤井六段は九州でも強かった。
各地に遠征された方もきっと多く、そして楽しんでいただけたのではないでしょうか。

では今日はこのあたりで。
行ってきます。