戦型とか

昨日は夕方、帰りがけに中継室に寄ったら叡王戦と竜王戦をやっていました。

そのとき叡王戦は、弟弟子の竹内君があまり見たことのない陣形を構築中。
どうしてうちの一門はみんなこういう形に、とか何とか言ってると「ソフトは後手が良いと言ってるみたいです」と言われてびっくり。
最近は自分の感覚のほうが悪いのだと思って、なるべく驚かないように気をつけてるんですが、そういうもんですか。へえ。
夕休前あたりの話です。
その後実際に後手ペースの局面もあったように思いましたが、広瀬八段は強かったですね。

そして「こっちのほうがすごいですよ」と竜王戦を示され、どれどれと見たら兄弟子の銀が9三にいて呆然。
どうやったらあそこから名人相手に勝てるんですかね。
終局間際はリアルタイムで観ていましたが、最後の30分ぐらいは本当に際どい終盤で面白かったです。
山崎八段の逆転ホームラン、そういえば久々に見たような気がします。

モバイル中継は最近もいろいろと進化を続けているようで、昨日は「雁木」の戦型が初登場していました。
自動判定が搭載されてからしばらく経つはずですが、最近の相居飛車には欠かせない項目なので、必要だろうと以前から思っていました。

編集長曰く、雁木は矢倉と似ているのがけっこう難しくて、頑張って搭載したらそこからしばらく指されないままだったのだとか。
これからはちょくちょく見かけるようになるでしょうね。
昨日はたくさんあって全部異なる戦型が表示されているようですが、中飛車とゴキゲン中飛車はどこで区別してるのかな。

里見さんは昨日も強かったですね。
もはや驚きはないですが、勝つときの将棋の内容が良いと思います。
今年度中はひとつ勝つたびにそれが新記録として更新されていくわけですが、どこまで伸びるでしょうか。

今日も竜王戦の昇級が決まる一番など。
近年ご無沙汰なので気がつきませんでしたが、そういえばそういう季節ですよね。
全クラスの昇級者が決まると来期の抽選が行われるのが例年の流れです。

予定とか

昨日のB2も熱戦ぞろいで面白い一日でした。

最後まで残った戸辺ー丸山戦だけ見切れず、今朝確認したら0時半近くまでかかる激闘だったようです。
現行のルールではかなり長く秒読みが続いたほうだと思いますが、後手が最後までリードを保っての勝利だったように見えました。
他では兄弟弟子対決の中川ー先崎戦がお互いに力強い指し回しで面白かったです。
このクラスは特に「将棋体力」を感じる内容が多く、いつも見習うところがたくさんあります。

 

昨夜、観戦の合間に今後の予定を整理していたら、対局はないのにやけに忙しいので(あくまで自分目線ですが)ちょっとびっくりしてしまいました。
とりあえず、今度の3連休明けぐらいまでは一日空いている日がなさそうで、特に体調管理に気をつけないといけません。

実は、ちょうどひと月ほど前からノドと鼻をずっとやられていて、どうやらアレルギーらしく花粉症みたいな状態が長く続いて最近ようやく回復してきたところです。
最初は風邪かと思って(実際そうだったのかもしれない)、やけにしつこいのでアレルギーなんだと気がつきました。
仕事等でご迷惑をおかけすることがなかったのが不幸中の幸いでしたが、気をつけないといけませんね。

 

今週末はおそらく十数年ぶりの宮城、来週末は恒例の栃木です。
どちらもけっこう寒そうなので、そこは注意しながら楽しく将棋を指してきたいと思っています。

ところで本日、11月15日は七五三なんですね。
スマホのカレンダーのイラストが変わっているので知りました。17日が将棋の日なのは知ってたんですが。

僕は今日が書道部、明日は免状授与式で珍しく連日の連盟です。

反則

反則の流行はその後無事落ち着いたようで、さすがにもう当分はないでしょう。
来週は自分も久々に対局なので気をつけようと思いますが、ひとまずホッとしました。

今朝(掲載は昨日)は朝日新聞デジタルでこんな記事を見かけました。
杉本七段の「棋道愛楽」という連載です。

この「連続王手の千日手(=反則)」になるかならないか、という対局はたしか僕が記録だったんですよね。
たしかに、あの状況は過去に経験がなかったので、いささか緊張した記憶があります。
終局前、対戦相手の森内先生に「時計止めてください。何もなかったら投了します」と言われたことをよく覚えています。
(棋譜を確認して、反則がなかったかを念のため確かめた)

ところで、「連続王手の千日手」と、もうひとつ「打ち歩詰め」は、ちょっと説明しにくい、かつ由来の分かりにくい反則ですね。
将棋のルール、ということで言うと当然記述しなければならない事項ですが、ある程度強くなるまでは知らなくても大丈夫なので、いつどのタイミングで教えるべきなのかは悩みどころです。

将棋はせっかく基本的なルールはそこまで難しくない(特に囲碁との比較)と思うので、とっつきにくい部分には目をつぶって良いのではないかと思うこともあります。
あと、競技としての将棋は反則に非常に厳しいので、初心者のうちは緩くても良いのではないかというのもよく思うことですね。

 

昨日は練習将棋の日でした。
対局間隔が空いてしまっているので、対局感覚を忘れないように気をつけつつ、今週も観戦と原稿に勤しむことにします。

女流名人リーグは伊藤さんがまたも挑戦権。
そして女流王位の渡部さんが陥落という結果になりました。
タイトルを獲れる可能性のある人、はたくさんいるけど誰もが獲れるわけではない。ということを最近よく実感します。

今日はB2順位戦など。

棒銀定跡

数日前のモバイル中継でこんなことがありました。

この新手はインパクトがあって、僕自身もブログで書いていました。そのときには

ただこの将棋がタイトル戦で現れるかというと、さすがにその可能性は低いと言わざるを得ず、ちょっと残念なところです。

と書いているのですが、それは新手の是非云々ではなくて、そもそも四間飛車vs棒銀の将棋が少なくなっているからです。
まさかこんなに早く公式戦でまた出るとは思わず、驚いています。

プロ間では少なくなっていますが、アマチュアにはいまでも人気のある戦型で、実際この手について知人から尋ねられたりもしました。
はっきりしたことは分かりませんが、有力な手だと思います。

最近読んだ「コンピュータは将棋をどう変えたか?」という本にはこんな一文がありました。

このように長年研究され、一見結論が出ていると思われた変化でも新しい鉱脈が発見されることは多々あります。そのため2013年当時においては、人間が培ってきた既存の定跡を将棋ソフトを使って再点検する必要がありました。

この文章はかなり深いところまで研究が進んでいた矢倉の定跡を指していて、比較的新しい結論がはっきりしたとされる手順でさえもこういうことがある、という趣旨でした。
いわんや、↑の急戦定跡をや、でたとえばかつて勉強した鷺宮定跡や山田定跡には、そういう知らない手や結論がたくさん眠っているのでしょう。

プロにとって、公式戦で頻繁に現れる局面以外ははっきりした結論を出す動機に乏しいので、もしかしたら間違った結論が有名なまま放置されている可能性はあるんですよね。

いまプロ公式戦を通じての研究は角換わり一色の感がありますが、女流棋戦やアマチュア大会での流行形は、それとはまた違ったところがあるので、そこでの研究を通じて変化が起きるということも、戦型によってはあるかもしれません。
今後どうなっていくのか、個人的には注目しているところです。

今日は女流名人リーグの最終一斉対局。
例年よりだいぶ時期が早いですね。どんな結末になるでしょうか。

人間将棋とか

この土日は姫路城で人間将棋が行われていました。
お天気にも恵まれ、さぞ盛り上がったのではないでしょうか。

これが日本将棋連盟モバイルでも中継されていたのですが、最後の1手で、最後の不動駒が動いて即詰みになるという見事な内容でした。
こういうイベント対局の中継は指し手の内容よりも臨場感が大切になってくるので、普段とは違った中継になります。そんな目線で楽しむのもまた一興でしょう。
会場で同時にご覧になった方からはどう見えたでしょうか。

人間将棋と合わせて将棋サミットも行われていましたが、こちらはどうでしたかね。
お世話になっている多くの自治体さんにお集まりいただくということで、将棋界にとっては貴重な機会です。

 

(大志 藤井聡太のいる時代)番外編2
比較的短いですが迫力ある記事でした。

「三段は将棋の基本的な考え方が身についたところ。藤井さんがその段階からAIを使い始めたのは、もしかしたらベストだったのかもしれません」
(※三段とは奨励会三段のことです)

現時点では、そんな気がします。
さらに活用法が洗練されてくれば、もっと早い段階から使うことが適切になってくるのかもしれません。

最近は僕も以前に比べるとよく意見を聞くようにしていますが、正直なところ勉強しているのか、遊んでいるのかよく分からない感覚になるときがあります。
将棋はもちろん自分たちにとっては仕事だし、文化なんですがゲーム、遊びであるという側面ももちろんあるので、それで楽しいのであれば、良いのかもしれません。

ただ将棋が強くなるためには「脳に汗をかく」(米長先生の言葉)ことが大切だと思うので、そのためにどうすれば良いかの方法論を失わないことが大切かなと思います。
あらゆる情報に対して自然に集中して考えられるのが才能とするならば、そういう環境を作り出すのがいま一番求められている努力かなと思います。

 

今週も対局はないので、引き続き集中執筆モードの予定。
本を書いているとどうしても将棋を客観視しすぎてしまう(それが正しくもある)と思うのですが、プレイヤー目線も忘れずにバランス良くいきたいですね。