王座戦、アマ名人戦

今日は王座戦第1局、舞台は仙台。
羽生王座が後手番で流行の雁木模様を採用しています。
昨日の▲斎藤ー△稲葉戦ともかなりよく似た進行ですね。

「雁木」については、僕も何度もブログにも書いたぐらいなので、注目はもちろんしていたもののここまでの大流行になるとは予想できませんでしたね。
棋士の好奇心の賜物と思います。
やはり新しい研究対象が出てきたら試してみたいと思うのはプロの性でしょう。

将棋世界最新号、表紙は数か月ぶりに藤井四段ではなく羽生王座。
巻頭特集は挑戦者・中村太地六段のインタビュー、北野さんのいつもながらの、心に残る名文でした。

将棋の勉強はやればすぐに結果が出るというほど簡単なものではないですが、結果が出ない時期が続く中で急に花開く時があります、今はそういう時かもしれません。努力の量と比例して勝てるなら誰でも努力を続けられますけど、実を結ぶまでに一定期を要するのが大変なんです」

タイトル戦は華やかな舞台ですけど、負ければ時は過ぎ去っていく。振り出しに戻り、出直さなくてはいけない。形には何も残りません。タイトル戦だけでなく、1局負けるごとに葛藤はあります。棋士は葛藤を抱えた生活を何年も何十年も続けていく。だから最近は年配の先生方を前以上に尊敬するようになりました」

他にもいろいろと印象的でしたが、これぐらいで。
何かと楽しみな五番勝負です。

またこの土日はアマ名人戦の全国大会でした。
北海道の横山さんが、朝日・赤旗・支部に続く4つ目のタイトルとのこと。
プロとは違って、アマチュアにはシードがなく基本的には予選からの出場になり、全国大会では強豪相手に一日に複数局、ノックアウトトーナメントを戦うわけで、年度四冠はちょっと考えにくい記録です。

北海道はプロ棋士を多く輩出している「将棋王国」として有名ですが、アマチュアにも僕と同世代の清水上さんなど、多くの強豪を全国に送り出しています。
先人の普及活動の賜物だと思います。

現在も北海道将棋会館の拠点を中心に、札幌だけでなく多くの支部の方々が普及に務めておられます。
広い道内で、大会や支部活動をあれだけの規模で続けているというのは本当に大変なことです。
もちろん将棋界にとっても大変ありがたいことですし、ますますの隆盛を期待しています。

NHKほか

注目のNHK杯は、藤井四段の完勝。
僕も生放送を観ていました。強い勝ち方だったと思います。
中盤で△3七歩成と拠点を成り捨てたのが、気の利いた好手でそこで有利がはっきりしたように思いました。

次も生放送になるかどうかは未定とのこと。
藤井四段以外でも、決勝戦は恒例になるとか、機会が増えてくれればと思います。
(準備や尺が大変だとは思いますが)

局後にかなり長いインタビューがあったようです。
藤井四段 インタビュー全文
相変わらずしっかりした受け答えで感心します。

進学は依然悩んでいるのですね。
全然関係ないですが自分の場合、東大受験のことは師匠ぐらいで、他の将棋関係の人にはあまり話してなかった気がします。
注目されるというのは何かと大変なことだなあと思いました。

 

一昨日の乾杯挨拶、昨日のテレビ収録と緊張する仕事が2つ終わって、ちょっとした解放感です。
日常に戻って、今日からまた将棋に取り組もうと思います。

今日の公式戦対局は、東京は女流棋戦の2局のみですか。
月曜日に対局がつかない傾向は相変わらずですね。

中継は大阪から王位戦予選と、叡王戦の五段戦。
まさか稲葉ー斎藤戦が1回戦とは。
その年にタイトル戦に出た棋士同士が予選の1回戦を指すのは、さすがに空前絶後ではないでしょうか。

 

ところで、国際情勢が不安定で、とても心配です。
個人レベルで気にしても仕方ないことではあるけれど、やっぱり憂鬱な気持ちになってしまいます。
どうか平和な世の中でありますように。

生放送とか

既報の通り、今日はNHK杯が生放送されるという画期的な一日。
なんとモバイル中継もあるのですね。
NHK杯森内-藤井戦生放送 携帯中継配信決定!

ニコ生ではこの生放送を観ながらさらに番組を立てるとか。
相当な注目度とは思いますが、全部でどれぐらいの視聴率になるんですかね。

 

昨日の青流戦は井出四段が昨年に続いて決勝進出という結果に。
2局とも熱戦で、力のこもった内容だったように思います。
藤井四段は勝てばもちろんのこと、負けても注目されるというのはなかなか大変なことでもありますね。

その頃、時を同じくして僕は宇都宮に向かい、支部関係者の結婚式に出席。
久々に乾杯の挨拶を務めました。
とても楽しい式でした。
おめでとう。

午後はちょうど長谷部三段(栃木県出身・在住)が準決勝の対局中だったので、周囲の人たちも応援していたのですが結果は残念。
ただ、局後のコメントがとても立派なものだったとあとで知りました。
地元の応援というのは本当に励みになるもので、彼の場合は近年プロ棋士が誕生していない地域でもあるのでいっそう思いは強いでしょう。
頑張ってもらいたいと思います。

 

今日はこれからとある収録があり、某テレビ局へ。
放映が近づいたら改めてお知らせしたいと思います。

詰将棋の話など

最近の日課として、毎日見開き2ページだけ「短篇名作選」を解いています。
当然ながら名作ばかりで、面白いです。
いま、自分が生まれた頃を過ぎ、もうすぐ将棋を覚えようかという頃なんですが、この手筋が当時初出だった、とか分かるのもいいですね。

(指し)将棋も、いまでは当たり前の手筋や囲い、戦術などが、当時は斬新だった、見たことのない手だったということはよくあります。
それは当然、名局あるいは新手・新構想としての価値を持つものです。
そういう棋譜と解説をひとつにまとめたら、意義のあることではないかと思いました。

また、「この詰将棋がすごい」という超マニアックな詰将棋雑誌があるんですが、あれの将棋バージョンもあると面白いのではないかと思っています。
「名局セレクション」があるじゃないかという声もありそうですが、あれはあれで良いと思うものの、ちょっと大衆的というか、特有のディープな熱量がちょっと及ばない感じがしています。
まあ、あまりマニアックすぎると採算ベースに乗らないかもしれませんが・・・

ところで詰将棋の本も、昨今の藤井ブームで売り上げが伸びてるんでしょうね。
もともとの数がそれほど多くないと思うので、そのぶんインパクトも大きいのではないかと思います。
我々プロ棋士はあくまでトレーニングのために取り組むものですが、普通の人にとってはその必要はなく、端的に感動できるものだと思うので、その世界が多くの人に知られたら良いなと思います。

 

昨日はA級の三浦ー行方戦、棋王戦の橋本ー黒沢戦、王将戦の菅井ー斎藤戦と、どれも終盤の詰む詰まないが超難解で、非常に面白い将棋でした。
中でも菅井ー斎藤戦は序盤の数手目から前例のない戦いで、しかも両者ほとんど玉を囲わないまま戦いに。
見たこともない不定形、かつ吹けば飛びそうな陣形で、150手も大熱戦が続くというのはすごいことです。

いま、プロ棋士に必要なのは研究よりも対応力かもしれません。
菅井王位はタイトルを取っても変わらず、これからもアイデアを見せてくれそうで楽しみです。

今日の中継は、青流戦に藤井四段が登場。
初の番勝負登場なるかは、かなり注目されているところと思います。

他に叡王戦もあり、札幌ではJT杯。
早指しをたくさん楽しめる一日ですね。

9月

昨日、今日と東京は涼しいを通り越して肌寒く感じますね。
もう夏も終わりでしょうか。
季節がめぐるのが早くなりました。

昨日は書道部、からの暑気払い(?)
最近は棋士仲間と会うことも前より少なくなっているので、久々で楽しかったです。

今日は防災の日。
日頃の備えを大切に、と口では言うし頭では思っていますが、なかなか簡単なことでもなく。
ただ、いつ何かあるか分からないということは、意識しておかないといけませんよね。

最近北朝鮮ミサイル発射のニュースが多くて心配です。
平和でこその将棋、なのでどうかこれからも世の中が平和であってくれることを切に願います。

短いですが今日はこれだけで。