続・最近のニュースなど

通常営業に戻ったはずですが、公式戦の中継がないこともあって、ブログもなんとなく夏休みモードです。
軽めに、毎日更新だけは続けようと思います。

今日の東京は久々に晴れていて暑い一日。
今年は雨が多い代わりに涼しい日が多く、過ごしやすいですね。
こんな夏は東京に出てきてから初めてな気がします。
夏になる前は猛暑の心配をしてた気がするんですが、どうしたんでしょう。

今日のモバイル中継は藤井四段のデビュー戦、あの有名な加藤九段との一戦を「初心者向け解説」で。
いろいろな試みは見ていて嬉しい限りです。
画面の小さな若葉マークがかわいい。

第30回全国高等学校将棋竜王戦 速報
女子選手が3位に入っていて目を引きました。
おそらく初の快挙ではないでしょうか。
女子のレベルアップが目に見える形で表れたということではないかと思います。

ところで、ちょっと視点はずれますが最近新女流棋士はかなりのペースで増えていて、その大半は10代です。
つまりそれだけ実力のある中学生・高校生女子が増え続けているということです。
あまりにも増えすぎないようにすべきではないかとの声も内部では時折耳にするのですが、強い子がプロを志し、そしてプロとして活躍するのは自然なことなので、基本的にはこの流れを止めるべきではないでしょう。
制度がどうあるべきか、全体としてどの程度の数が妥当かというのはまた別の問題です。

日本将棋連盟会長「いい環境設定が若い才能を伸ばす」強くなる棋士の条件を語る
佐藤会長と、早野龍吾さんの対談記事です。

この中に「体験として覚えていることが多い」という一文があるのですがこれはすごくよくわかります。
単に記憶力が良いというのとは違って、思考と記憶が非常に強く結びついている、そんなイメージです。

自分が手を指す時に、自分なりの論理に裏付けをして着手をしますので、その記憶はけっこう残っていますね。自分でこう考えたからこう指したのだという記憶は残っているので、それを辿っていくとかなり覚えていて、再現もできるということですね。

僕自身も、単純な(脈絡のない)記憶はものすごく苦手で、そういうのが得意な人というのはまたちょっと違った脳を持っているのだろうと思っています。

ただ実はこの数年の大きな変化として、将棋界は以前に比べて記憶力が重要になってきた印象があります。
あくまで相対的な意味で、かつてはその場の思考力がより重要だったのが、記憶力に重点が移りつつあるという意味です。
これは自分にとっては大変困ったことなので、どう対応するか、ということを日々考えています。

この記事は3本目で、まだ続きもあるようなのでそちらも楽しみです。

ここ数日

過去何回かブログでも取り上げている通り、首都大学で「将棋で学ぶ法的思考・文書作成」という授業を開講しています。
筋道を立てた、論理的な思考法を養ってもらうことと、その考えたことを文章にする力を身につけてもらうのが狙いで、授業の最後は実際に指導対局をして、そこで考えたことをレポートにしてもらいます。

昨日は木村草太先生と、中村太地君と講師3人で集まって、レポートの採点合わせ。
学期の合間のこの時期に、今後の打ち合わせなども兼ねて集まるのが恒例になっています。
来年もおそらく開講できる見込みです。

大学の授業といえば、東大をはじめいくつかの大学でも将棋の授業が行われているのですが、お隣の囲碁界に比べるとだいぶ数も少なく、また広報面でも遅れを取っているのが実情です。
そもそも将棋のほうが制度上プロ棋士の数もかなり少ないので、教えに行ける絶対数が少ないのはやむを得ない面もあります。
ただその中でできる限り力を入れて取り組んでいるのも事実なので、まずはそういう取り組みがあるということをもっと知ってもらうこと、そして東大で数年間続けてきたノウハウを、他の大学へ広げていく努力が大切だと思います。

と、実はこれも何度か書いている話。
なかなか実現しませんが、将棋界にとって大切なことだと思うので、自分自身が教えに行くだけでなく、こうやって発信を続けていきたいと思います。

 

昨日のA級順位戦は、羽生三冠の手厚い指し回しが印象的な一局。
7六の銀がちょっと目を離したスキに4五に瞬間移動していたのはびっくりしました。

今日は公式戦の対局がないのですね。
昨日も書きましたが奨励会の関係だと思われます。
モバイル中継には「棋士人生、この一局」という新コーナーが誕生していました。
森王位誕生は、僕も将棋を覚えて強くなりだした頃だったのでよく覚えていて、「体で覚えた将棋を教えてやる」の名言はいまだに印象に残っています。

 

日付戻って一昨日の水曜日は夜、先輩棋士にごちそうになりながら、いろいろなことを教わっていました。
今日は別の先輩棋士とVSで、気がつけば今週は平日毎日予定があり。
普通の人から見たら当たり前すぎることでも、自分にとっては久々で、珍しいことでした。
家にいても暇で困るようなことはないつもりですが、やはり用事があるほうが、ハリが出てくるのも事実です。
あまりのんびりしすぎないようにして、あとは穏やかに過ごしていても頭の中では将棋のことを考えているように、していたいものと思います。

最近の棋界ニュース

瀬川五段の「泣き虫しょったんの奇跡」が映画化されるそうです。

実はしばらく前にご本人から聞いて知っていて、発表を待ち遠しく思っていました。
最近は研究会はやっていないのですが、連盟とかではよくお会いしているので、そういう方が映画の主役になられるというのはなんだか不思議な感じですね(笑)

どんな仕上がりになるのかとても楽しみです。
たぶん、将棋界の厳しい部分も、かなり取り上げられるのでしょう。

そういえば今年も奨励会試験の季節です。
プロを目指す子は、ここ数年それほど増減の印象はないですが、数年後はおそらく目に見えて増えると予想しています。
羽生七冠の数年後がそうでした。
いつの時代も競争が厳しいのは同じですが、入ってくる子には、とにかく全力で頑張ってほしいと願うばかりです。

「棋士のまち」加古川市 将棋の健康効果研究へ
感覚的には、ある程度の効用は間違いないところと思いますが、具体的な実証研究は大切ですね。
それなりに予算も必要なのでしょうし、本当にありがたいことと思っています。
また子どもへの教育効果はさかんに言われていて、そちらの分野でもこうした研究が出てきたらと期待しています。

すこし先ですが、NHK杯の森内九段ー藤井四段戦は生放送とのこと。もちろん異例です。
1回戦が収録即日の結果報道だったので、それならということなんでしょうね。
フィーバーの余波で、いろいろと例のないことが起きています。
すべてひっくるめて、とても良いことだと思います。

↑にも書きましたがこの季節は奨励会試験の関係もあって対局が少なめで、昨日は中継3局、今日は1局。
ただ昨日はカードも内容も重量級で、面白い一日でした。
今日はA級順位戦があります。

昨日の対局

先手番で三間飛車を採用。
相手の居飛穴の堅さにやられました。
と書くといいとこナシみたいですが、それなりに手ごたえもあったので、また試してみようと思います。

最近は振り飛車の採用を多くしていて、感触は悪くないもののなかなか結果は出ていません。
戦型や取り組み方の問題ではなく、中終盤の精度が上がれば解決するような気がするので、引き続き頑張ります。
図面は載せるにしてももうすこし反省してからにします。

代わりに(?)昨日の藤井四段の急戦を見て、思い出した将棋を。

今年1月、▲高野六段との竜王戦。
図の△8五歩はすこし早いのですが、ここからもし▲7八金△7三桂▲6九玉と進めば、いきなり△6五桂が成立する可能性もあるかもしれないと考えました。
わずか14手目での△6五桂ポンは、昨日の藤井四段とまったく同じです。

実際にそう指したかは不明ながら、実戦は▲6六歩~▲6七金と用心したのでこの筋は実現せず。
ただ、▲6六歩と突くと流行の左美濃急戦を受けることになるので、先手としてはやや作戦を限定させられた意味がありそうです。

昨日の将棋はこの将棋より先手にとって条件が悪い(▲4八銀が壁になっている)ので、有力な仕掛けだと思います。
矢倉は将棋の純文学、じっくり駒組みするのが当然という考え方は、いまは変わってきていることを改めて感じる一局でした。

このあとは今月中に竜王戦と王位戦が決まっていて、そのあと9月に入っておそらく王座戦、そして順位戦と1週間に1局のペースで、持ち時間の長い対局が続きます。
昨日の対局は、秒読みに入ったところでミスが出てしまい残念でしたが、今度はじっくり考えられるので、そういうことのないようにしたいと思います。

本日対局

朝日杯の午前1局バージョンです。
昨日紹介したような、良い内容の将棋が指せるよう頑張りたいと思います。

今期はこないだの将棋が初めて先輩との対戦で、それまで銀河戦予選含め7局連続の上座でした。
本局とその次も後輩との対戦が決まっていて、実に10局中9局が上座ということになります。
これだけ続いたのはたぶん初めてで、いつの間にか中堅と呼ばれる年齢になってきたということなのでしょう。

そんな中でどう存在感が薄れないように戦っていくか、なかなか難しいですが一局一局考えながらやっていきたいと思います。

昨日の竜王戦挑決第1局は大激戦の末、羽生三冠の先勝。
終盤はまさかの詰み逃しがあり、見ていて驚きましたが難しく危ないほうの橋を正確に渡り切ったといったところでしょうか。
終盤だけでなく序中盤も定跡の進化に貢献しそうな一局で、本当に見ごたえのある好局でした。

では、行ってきます。