新商品とか

昨日はマイナビの第2局があり、西山さんが快勝で1-1のタイスコアに。
飛車を見捨てる△4五同桂は鮮烈な一手でした。
ああいう将棋が指せると振り飛車は気持ち良いですね。

各棋戦の決着局になることが多い常磐ホテル、女流のタイトル戦は初めてなのですね。
今後は増えてくるかもしれません。

将棋連盟HPからお知らせを2つ。

羽生善治竜王推薦「完全木製版 デラックス将棋」発売
昨今の将棋ブームで将棋関連の出版物や企画等が増えていますが、そういえばシンプルな盤駒は意外になかったかも?と思ったのでご紹介したくなりました。
どんなものかは僕自身も知らないのですが木製でこの値段は安いですし入門ガイド付きはいまの状況にマッチしている気がします。

将棋の普及度合いをどう定量的に測るか、なかなか難しい問題でレジャー白書の数字があるぐらいだと思いますがそれほど強い根拠があるという感じもしません。(よく使われますけど)
個人的には家や学校・公民館などの施設にどの程度の割合で盤駒があるか、というのは一つの指標になりうるのではないかと以前から思っています。

日本将棋連盟と津田塾大学が連携協定を締結
以前からすこしだけ話を聞いていたのですが、具体的な中身はリリースで初めて知りました。

千駄ヶ谷に総本山を持つ将棋界が、2020年東京オリンピックとどう関わっていくかというのはなかなかに難しい問題で、こうした形で協力して取り組んでいただけることは本当にありがたいですし素晴らしい話だと思います。
学生さんたちにとってもフィールドワークにもなりますし貴重な機会になることでしょう。

最後のほうには「カロリーナ女流1級による授業も企画されております」とあり、とても期待しています。
よく彼女ならではの役割は、と質問されることがありますがカロリーナ自身が他に例のない存在なので、彼女がやる、ということ自体にも大きな価値があると思っています。
教えるのはけっこう好きだし得意な印象なので、国際的な面や文化的な面も交えながら良い授業をやってくれることでしょう。
今日の朝日夕刊も忘れずにチェックしていただけたらと思います。

それと以前中村王座・糸谷八段と対談した記事、週刊文春の将棋特集だったのですが昨日発売になりました。
まだ全体を読んでいないのですがひとまずお知らせです。
(※連盟HPにも出ていたのでリンクを追記しておきます)

では今日はこのあたりで。

昨日の藤井ー大石戦など

久々にすごい逆転術を見ました。
(いつも良くなってそのまま勝ってるだけとも言う)
やっぱり藤井将棋には華がありますね。
師匠の杉本七段がそう言われるのも分かります。

終盤に差し掛かった局面で▲8九飛と合わせた手には誰もが驚いたと思います。
「〇には〇」(よく聞くのは角)という格言の紹介で、この先何度も使われることになりそうな一手です。
ただ、あの時点では大石君が勝ちそうだなと思って見ていました。

流れが変わったのがここでしょう。
▲7八桂!という手を見て、景色が変わるとはこのことかと思いました。
このあたり、杉本師匠の形勢判断が適確でさすがと思いながら観戦していました。
最後も見事な即詰みでした。

本局はカロリーナが初めてAbemaTVで聞き手をさせていただいていたので、練習将棋から帰ってきたあと、終局後の振り返り解説をじっくり観ました。
きちんとこなせていて、とてもホッとしました。

解説の北島さんは個人的にもとてもお世話になった先輩で、ここでまたお世話になるとは縁を感じます。
見た目通りの優しい人柄で、聞いていて分かりやすかったですし初めてのカロリーナも助かったことと思います。
彼女もこの調子で、これからも頑張ってほしいと思います。

おりそもその視聴中に電話があり、朝日新聞の取材でした。
明日の夕刊に、彼女の記事が出るとのこと。
大学院卒業前、卒論を書いていた頃に受けた取材が元で、その後もスポンサード契約などいろいろあったのでそれらもふまえて、記事にしていただけるものと思います。
ぜひご覧ください。

最後に、HEROZ社すごいですね。
理事時代、林社長はじめ関係者の方々にはずいぶんとお世話になりましたし、将棋界との関係はもちろんいまも続いています。
個人的には将棋ウォーズや将棋倶楽部24で免状が取得できる仕組みを整えたことは大きな仕事で、おかげさまで免状というものの認知はかなり高まりましたし実際に申請される方も増えました。
(参考:当時のリリース

これからも発展を心から願っています。

では今日はこのあたりで。

先週の好局など

4月は対局が少ないはずなのですが、日本将棋連盟モバイルのラインナップを見ているとそれにしては毎日けっこう好カード・熱戦が多い印象です。
ここ数年で棋戦が増えたこと、名人戦と並行して叡王戦のタイトル戦が行われていることに加えて、中継局数も増やしていること、そして何より皆が頑張って指しているという当たり前のことも、大きいのではないかと。

最近自分の体感として、プロの将棋は終盤のレベルが上がっているような気がするんですが、ファンの方や他の棋士からはどう見えているのでしょうか?
あるいは将来的にはソフトの手で「採点」されて事実が明らかになるようなこともあるのかどうか。

先週の好局をいくつかご紹介してみます。
観戦するには「観戦」で今日の対局が並んでいるところから下にスクロールしていくと↓

過去1週間の対局が新しい順に並びます。(つまり4/17火まで)
なので今日はこの並び順で、最近のほうから紹介してみます。
なおそれ以前のものは「棋譜一覧・検索」のところから観ることができます。

4/20王将戦、木村ー三枚堂戦。
中央に駒が入り乱れる難解な将棋でしたが、こういう「攻めvs受け」の構図がはっきりしている将棋は観戦しやすいのではないかと思いました。
読みの中身は難しくても、狙いとか、何を目指しているかははっきりしているので、参考になると思います。
途中からは「これが受かるのか・・」と驚いていましたが、実戦は結局受け切れず。
ただ、やはり難しいところもいろいろあったみたいでした。

4/19棋聖戦、鈴木ー豊島戦は同じ日、大広間の逆サイドでの対局だったのでときどき進行を見ていました。
穴熊ペースに見えたところが多かったのですが、最後の最後に居飛車銀冠の懐の深さが活きました。
100手目のあたりは、自分同士ならまず振り飛車が勝ちそうな気がするんですが、やはりプロの将棋は難しいものですね。
人気の戦型でもあり、この将棋も観戦されると参考になると思います。

4/18棋王戦、高橋ー野月戦は最後の即詰みが鮮やかでした。
117手目▲5三角で合駒が悪く詰み、というのは実戦ならではでこの筋は詰将棋ではまずお目にかかれない気がします。
プロの実戦ならではの、長手数読み切りでした。

棋聖戦、佐藤康ー稲葉戦は穴熊相手に稲葉八段が延々と猛攻を受け止め続けてついに逆転勝利。
これが受かるのかと驚きました。そういえば木村ー三枚堂戦でも同じことを思ってますね。
この将棋はそもそも穴熊にした構想自体が斬新で、その作戦がズバリ、という展開だったので佐藤会長にとっては残念な一局でした。
この2日間は特に熱戦が多かったように思います。

4/17竜王戦、谷川ー高見戦。
光速流炸裂、すごい切れ味でした。
この将棋は棋士の間でも話題になったようで、結論としてはやっぱり谷川先生はすごい。ということです。

以上、1週間分駆け足でお届けしてみました。
今週も多くの熱戦をお楽しみください。

来場御礼

昨日はお昼頃静岡に着いて、海の幸をいただいてから会場へ。
静岡県は海あり山あり、気候が良く美味しいものも多くで、住みたい街の一つです。

解説会はほど良いサイズの会場で、嬉しいことに満員御礼でした。
情報を得る方法があまたある時代だからこそ、ナマの解説会も良いものだと思っていますし、そこに足をわざわざ運んで下さる方々は本当にありがたいことと思います。

1時間あまりの解説会は終わった1局を解説するにしてはわりと長い方でしょうか。
他に次の一手(知られていない自戦より)や指導対局などで楽しく過ごさせていただきました。

十数局の多面指しの中に、飛車落ちで見たことない作戦を披露された方がいらっしゃいました。
初手から△3四歩▲5六歩?△3二金▲3六歩?!で上手の手がすこし止まる。
そこから△5四歩▲4六歩???△4四歩▲5八金左、と進んで狙いが判明。
以下△4二銀▲4七金と進んでこの図↓

上手の位取りを牽制しながら振り飛車+高美濃で戦いたいという作戦で、なるほど有力だと思いました。
駒落ち上手の経験はそれなりにあるほうだと思っていますが、まだまだ知らない指し方もたくさんあるものですね。
25年前に大友昇先生に教わりました、とのことでした。

軽く打ち上げにも参加させていただき、それでも10時前には帰宅。
静岡は東京から近いですね。
県内いろんなところに仕事でも観光でも訪れていますがまだまだ行きたいところがあります。
またうかがえたらと思っています。

お世話になった皆様方に感謝申し上げます。

 

日経bizgateの連載2回目がUPされました。
将棋の天才生む60年変わらぬシステム

現行の三段リーグになって30年あまりなので、60年という数字は将棋界に詳しい方だと不思議に思われると思いますがこれはそれ以前の13-4で上がれた時代と、さらにその前の旧三段リーグ時代も含めてのことです。
また現在は三段編入試験やプロ試験なども確立していますが制度に横たわる思想や背景の中ではあくまで例外的措置と言えます。
本文①~③は考えてみればみるほどなかなか他の世界では存在せず、お隣の世界の囲碁ぐらいでしょうか。

将棋界はプロになるのが大変すぎる世界ですが、一方でそれゆえの価値や魅力というものもたしかに存在するので、一概にどういう制度が良いとは言えませんし、現実的にもこの仕組みがずっと続いていくことになるでしょう。
大切なのはその先のプロの世界が目指す若者たちにとって魅力的であり続けることで、そうあるための努力をする義務がいまいる棋士たちにはありますし、自分自身ももちろんそのつもりです。

名人戦解説会

名人戦第2局は佐藤名人が勝って1-1のタイスコアに。
1日目からなんとも言えない進行で、中盤も難しそうに見えましたが終盤はレールに乗ってしまった感じの内容でした。

佐藤名人の不調、羽生竜王の復調がささやかれていますが個人的には名人は不調には見えてないです。
あと、そう言えば2年前のこのカードも同じような展開でしたね。
あのときの第2局はトン死の幕切れではありましたが、ともあれ第3局の内容・結果はかなり大きい感じがしてきました。

本局は恒例の全国一斉解説会ということで(そういえばもう何年目だろう?)、この週末は棋士が全国に出かけています。
対局当日の金曜夜から開催するところもあれば、土日両方、もしくはいずれかなど、地域によってマチマチのようですね。
会場の都合がまず大変で、そのほか告知・集客・運営等々で各支部役員の方々に一番お世話になるイベントの一つでもあります。
いつもありがたいことと感謝しています。

僕も今日これから静岡市におうかがいすることになっています。
たしか3年半前の国際フォーラム以来ですね。
トップ棋士が大勢訪れているところでもあるので、名前負けしないように、そして自分なりの色を出しつつ、楽しく過ごせるようにしたいと思います。