マイナビ

将棋界では、桜の季節に開幕するのが名人戦。
そして女流棋界では、その後に続くように、マイナビの5番勝負が開幕するのが恒例です。
第1局は陣屋で行われ、加藤女王の先勝。
最後はちょっと意外なぐらい差がついてしまいました。

戦型は(たぶん)本命だったであろうゴキゲン中飛車vs超速で、前例のある進行でした。

この将棋は、上の図の形勢判断が重要です。
自分の感覚では、後手の角金の形が悪く、ちょっと振り飛車が無理している印象です。
ただデータ上は、振り飛車がよく勝っているので、ちょっと意外でした。

「前例」に関して、将棋世界の最新号に、面白い発言が載っていたので紹介します。

前例の勝敗は関係ありません。あまり強くない人が指していると参考になりませんから。
はっきり言って、誰が指しているのかも覚えていません。
先手が指しやすいということだけわかっていれば大丈夫です。(千田六段)

大事なのは、直近の何局かの形勢を正しくとらえることです。(渡辺棋王)

(棋王戦第3局の記事より。そういえばその将棋もゴキゲン中飛車vs超速でした)

この図の初出はもう7年も前なのですね。
もうそんなに経つのかと、調べてみて驚きました。
この形は今後もまた登場すると思うので、覚えておかれると良いかもしれません。
そういうときに、あまり古い前例にとらわれずに、指し手を考えることが大事ということだと思います。
たしかに、7年前といまとでは感覚や、共有されている基礎知識が違うので、新たな視点で考えないと認識を誤ってしまいそうです。

 

実戦はここからしばらく進んでこの局面に。

ここで▲2四成銀と前進したのが好手だったようです。
以下は「棒銀」ならぬ「棒成銀」の攻めがうまく決まりました。

この局面では▲2二歩△同金▲2四歩とか、あるいはいきなり▲3四成銀とか、何か技を使う手から考えたくなる感じなので、素朴な▲2四成銀は意外な一手で、印象に残りました。
終局後のコメントにも「成銀を2回出られる手を軽視してしまって」とあるので、たぶんこの場面のことだろうと思います。

 

今日の中継はほかに3局、うち竜王戦の2局が角換わりで、王位戦が矢倉。
どの将棋も難しそうで、ここからが佳境という感じです。

中でも羽生ー糸谷戦は、指し手に占める歩の割合が目に見えて高く、複雑な将棋になっています。
一手一手濃厚なので、またあとでじっくり考えてみたいです。

選挙

昨日・今日は日本将棋連盟の理事選立候補日。
大きな実績のある、森内九段と清水女流六段の出馬が、話題を呼んでいるようです。

自分も過去2回出たわけですが(さすがに今回は出ません)、立候補に関してこのように報じられたということは、なかったように記憶しています。
いっぽう先日の臨時総会で、佐藤九段(現会長)が出馬されたときには大きく報道されました。
やはりスター棋士の動向は特に注目されるということと、この数年間で将棋界に注目が集まっているということも、大きいのだと思います。

個人的には、落選した人が分かってしまうというマイナス面も気になるので、複雑な気持ちもあります。
ただ今後はこのような流れになるのだろうと思いますし、将棋界のことを報道していただけるのはありがたいことでもあります。
いままでは単なるムラの選挙だったのが、これからはファンから見てもふさわしい結果が求められるのかもしれません。
そんな中ではなおさら大変とは思いますが、自分より若い棋士も、思い切って出馬してくれたらと願っています。

あと今回、ファンから見たときに、森内先生が理事選に出るためにフリークラスに転出されたかのようにどうしても見えてしまうのは気になっていたので、報道で否定されたのは、良かったと思いました。
毎日新聞

さて、元々は触れるつもりはなかったのですが、せっかくなのでもうすこしだけ。
いまの理事選任の流れは、上記の記事にもある通りこの「予備選挙」で当選した人を、後日の総会で正式に承認するという形になっています。
この方式のおかげで、その年で退任する現職が、次の人にスムーズに引き継ぎを行えるというメリットもあります。
かつては総会の当日にいきなりメンバーが変わっていたそうなので、大変だっただろうなと思います。

基本的には仕事というものは、その人だけの仕事にしてしまうことなく、他の人もできるようにするのが一番大切なことだと思うので、(ある意味将棋と真逆です)今後はまたいまの制度を生かして、良い流れができてくれたらと思っています。
今回はあまりに特殊な状況で、メンバーも一新されることになるので、細かい引き継ぎよりも大きな視点で、やっていただけたらと願っています。

最後に、連盟の経営で一番大事なのは、選ばれた人たちを棋士が信頼して任せることです。
そのための選挙ですので。

 

閑話休題。
カスタマイズというのか、実は細かくページをいじっていて、昨日から右側に、ツイートが表示されるようになりました。
自力では何もできないので、本を読んだり、知人に教わりながらやっています。
できる人には簡単で、たいしたことではないんだろうなあと想像しつつも、できなかったことができるようになる、知らなかったことが分かるというのはなかなか楽しいです。
これやってみてはどうでしょうか?ということがあれば、コメントで教えてください。

今朝は将棋のことを書けなかったので、たぶん夜にもう一度更新します。
将棋連盟ライブ中継はマイナビの第1局@陣屋があり、渡辺竜王や羽生三冠の対局もあるなど、豪華な一日です。

交流

昨夜も藤井四段は強かった。
戦前の多くの方の予想もそうだった通り、自分も、まさか勝ち越すとは思いませんでした。
むしろ1つ、2つ勝てればというぐらいのメンバーですので。
いったいどこまで勝ち続けるでしょうか。

ただ昨日の序盤は、見ていてかなり不慣れな印象も受けました。
矢倉・森下システムは彼が生まれる前から定跡が整備されてきた戦型なので、このあたりには、先輩棋士に一日の長があるのかもしれません。
あとはもしかしたら、四間飛車・藤井システムなんかもその可能性も?
対照的に、角換わりなんかは近年すごい勢いで新型が登場しているので、彼の土俵なのかもしれないと思います。

終盤に入ってから、△3八飛~△2六角という手順が、あまりに茫洋としていて印象に残りました。
普通はちょっとそこには手が行かないだろうな、という手順だと思いましたが、どうでしょうか。
河口先生ならきっと、こういうところを絶賛しただろうと想像します。
来週は佐藤会長、再来週は羽生三冠が登場。注目ですね。

 

さて、今日もブログを再開した理由についてすこし。
自分なりの楽しさや、勉強もありますが、他にもファンサービス、あるいはファンとの交流、コミュニケーション、といった意味合いもあるつもりです。
家でもできる、ごく簡単なことで、楽しんでもらえることができたらなあという思いです。
なので、日々の将棋観戦の足しになっていれば幸いです。

あと自分の場合、新人のときからずっと、何かしら原稿を書かせていただいていました。
理事選に出る前に辞めて以来、すっかりご無沙汰なので、そういう意味でもカンを取り戻そうとしているところです。
棋士としてのいろいろな仕事も、次の総会が終わったら、徐々に再開できたらと思っています。

今日はすこし短めですがこれぐらいで。

棋聖戦

前のエントリにも書いた通り、昨日は準々決勝最後の1局が行われていました。
4強出そろう
前の3局もどれも熱戦でしたが、それと同じかそれ以上の大熱戦で、面白い将棋でした。

終盤はすこし後手良しかなと思っていて見ていたところ、最後は詰むや詰まざるやの形に。
ここも、ギリギリ詰まないかと見えましたが、結果は長手数の見事な即詰みに。
後で改めて考えてみたら、やっぱり詰まなかったようで、自分の直感は正しかったみたいです。
ただ、1分将棋の実戦ではどちらに転んでもおかしくない、指運の勝負だったと思います。

この将棋は序盤の後手の切り込みと、その後すこし流れが落ち着いていく展開、そして終盤になだれ込んでからのねじり合いと、見どころたっぷりでした。
個人的には、111手目に▲6七角と受けた手が、特に印象に残りました。
この角がこの後ずっとよく働いて、逆転勝利のきっかけになったような気がします。

今日は図面はナシにします。
将棋連盟ライブ中継と、産経新聞の観戦記でご覧ください。

 

ブログを再開してから、これまで毎日休まず、10本ほどの記事を上げてきました。
特に朝は必ず10時ぐらいまでに、30分ぐらいで書いて、そこから将棋の勉強という生活のサイクルを作ろうと考えています。
まだ思った通りにはうまくいってませんが、徐々にリズムはつかめてきている気がするので、良い習慣として続けていきたいと思います。

理事時代は、月にだいたい150時間ぐらいを、仕事に充てていました。
もちろん時間で測れる仕事ではないので、あくまで目安ですが、週5日×7時間と同じぐらいにはと考えた結果でした。
これを1日に直すと5時間なので、このうち1~2時間をブログを書いたり、ウェブやその他自分の興味のあることの勉強に充てて、残りの3~4時間を将棋の勉強にと考えています。
日々行われている対局の紹介や解説をすることは、一生懸命将棋を考えることにもつながるので、将棋の勉強再開には最適だと思いました。

将棋の勉強といっても、その世界はあまりに奥深くて、壁が高すぎて、どうしていいか分からなくなることがよくあります。
自分ももう30年続けてきて、この先急に強くなったり、革命的な変化が起きることは考えにくいです。
ただ、将棋に触れている時間は(一人であれ、練習将棋であれ、公式戦であれ)楽しいもので、かつ、新たな発見が日々あるものなので、これからも楽しむ心を忘れず、勉強を続けていきたいです。

 

今日のNHK杯は中村(修)-佐々木(勇)戦。
解説は佐藤(康)会長ということで、偶然にも同姓に棋士のいる方がそろいました。
いまTVをつけたら、ちょっと意外な戦型になっていますね。

夜はAbemaで炎の七番勝負第5局、ここからはA級棋士が3人続けて登場します。

スマートニュース

名人戦は、稲葉八段がキレ味するどい攻めで先勝。
佐藤名人が、封じ手のあたりで指しにくさを感じていたというのは、ちょっとレベルの高すぎる話で、僕には理解できませんでした。
観戦記や将棋世界での解説待ちですね。

早い終局はいささか残念でしたが、第2局以降の熱戦に期待しましょう。
昨年のこの時期、佐藤八段は大きな連敗中だったところから、第2局を境に羽生名人を4タテしたのは記憶に新しいところです。

 

昨日の中継局では、棋聖戦の2局がいずれも両者1分将棋の大熱戦で、見ごたえある好局でした。
こちらは決勝トーナメントなので、後日産経新聞に観戦記が掲載されるはずです。
ちなみに、今日も土曜日ながら同じく棋聖戦の中継があり、この1局で、ベスト4が出そろうようです。

ところで、どういう内容の将棋が観ていて一番面白いか?ということはよく考えます。
やはり、序盤の早い段階で戦いになり、そこから形勢がずっと揺れ動きながらも均衡が取れている、どちらが勝つか分からない、そんな展開が一番観る側にとっては面白いでしょう。
また、指している方からしても、こういう展開は一番気が抜けず、苦しみながらもどこか楽しんで指せていると思います。
昨日の郷田ー永瀬戦は矢倉、斎藤ー木村戦は横歩取りで、いずれも早い段階で前例のない戦いになり、そこから長手数のねじり合いが展開され、観戦者にとっては一番面白い展開だったように感じました。

 

リンクを3つ。
先日の電王戦の観戦記が公開されました。
佐藤慎一五段は、4年前の電王戦で、初めてponanzaに敗れた棋士です。
彼らしさのよく出た、思いの詰まった文章だと思いました。

合わせて、ponanzaの山本一成君の連載もご紹介。
AIが人智を「どうやって」「どのように」超えていくのか、は言うまでもなく、今後の人間社会の大きなテーマです。

続いてこちらのニュース。
人気ニュースアプリ「SmartNews」に将棋チャンネルが登場
これはたぶん、けっこう画期的なニュースだと思います。

と言っても、正直なところ自分もよくわかっていないので、とりあえずダウンロードしてみました。
僕もまあ、そういうレベルの人です。だから、勉強しています。
最近の将棋連盟のウェブ戦略を見ていると、まず第一にスマホ対応と、それに加えて各媒体で多く取り上げてもらう点を、重視しているように見えます。
(あくまで僕の理解なので、100%正しいかは分かりません)

たとえばヤフーニュースやヤフトピに、以前より将棋のニュースが多いなあと感じている人は多いと思います。
ひとつ一つは、小さな努力ですし、もちろん単純に話題が多いということもあるわけですが、トータルとして将棋の記事が増えることは、とても喜ばしいことです。
「将棋」というものを広報する(広く報じる)ことが、将棋の普及につながるはずだからです。

今回の連携で、またひとつ、将棋に興味のなかった層の新規参入のキッカケが増えたと、今後に期待しています。