棋王戦など

昨日の敗者復活戦は佐々木五段の快勝で、挑決二番勝負は勝者組本田四段vs敗者組佐々木五段の組み合わせに。
五段と四段の挑決というのは初めてではないものの数十年さかのぼるようで、そりゃそうでしょうね。すごいことになりました。
将来を嘱望される二人、というのはこういうときに使う言葉だと思いますが、その彼らにしても敗者は次のチャンスがいつになるか分からないわけで、相当に大きな勝負になりましたね。

棋士番号で見ると佐々木五段は藤井聡太七段の一つ前(つまり直前の三段リーグで昇段)、本田四段に至っては8つも後(4期2年後の三段リーグ)になります。
最年少の藤井四段が登場したとき、彼より後輩の棋士が先にタイトル戦に出るとはさすがに誰も想像しなかったでしょう。
それが現実味を帯びているというのだからとんでもないことです。

また、これも本田四段が勝てば、ですがタイトル戦を指している最中にプロ編入の試験官を務めることになる可能性も高いのですね。
これもちょっと想像できなかった事態でしょう。少なくとも制度設計当時には考えもしなかったことです。

挑決は16日に行われ、佐々木五段が勝った場合は年末の27日に第2局とのこと。

昨日敗れた広瀬八段、竜王失冠から帰京後すぐ翌日の対局で、対局場もわりと遠い場所でしたしあまりに大変な日程でした。
ちょうど1年前には羽生(現)九段の肩書が注目されましたが、今回は特に何の報道もリリースもなく昨日の中継で「八段」になっていました。

羽生九段のときに比べてむしろ席次には影響が大きい事案ですが、特に何もなくスンナリ、ということで「前」の肩書は今後はなくなりそうな感じに見えます。
個人的にはそれならそれで明確にしたほうが良い気もするのですが、こういうところであいまいなまま行くのも将棋界らしいのかもしれません。

そのほか、弟弟子は新人王戦で大熱戦の末に白星デビュー。ガッツのある将棋で、面白かったです。
また棋聖戦ではこちらも弟弟子の千田七段相手に羽生九段が競り勝ち。またすごい終盤を見た気がします。
羽生九段がタイトル戦に出ない一年がもうすぐ終わろうとしていますが、将棋の内容は相変わらず強い。つまり将棋界全体のレベルが上がっているということだと思います。

今日は弟弟子同士の対戦と、妹弟子同士の対戦があるという珍しい日。
さすがにこの同日は初めてかもしれません。
他に叡王戦本戦や、棋聖戦では藤井七段が登場など。

文化検定とか

すこし前の話題ですが、将棋文化検定は無事1級に合格してました。

さすがにキャラ的にこれはある程度はできないとまずいと思っていたので、ホッとしました。

ちなみに76点だったそうなので、合格ラインは知らないのですがけっこう危なかったですかね。
たぶん110点満点で、後半の書き問題がよくできていたのが幸いしました。
逆に3択で最後まで迷ったものはだいたい外してました。
最高点はどのぐらいなのだろう?90点とかだったら相当すごいですね。

クイズも含めて、楽しい一日でした。
また来年(以降)も機会があることを願っています。

女流名人戦リーグ自戦記
上田初美さんのnoteです。(リンク先は第1譜)

自戦記は新聞の他に専門誌など、棋士が書く機会もよくありますが掲載後にwebに転載されることは極めて珍しいのでご紹介します。
数日(6~7日ぐらいが多い)で一局を紹介する自戦記・観戦記には実は一日ごとにも起承転結のようなものがあることが多く、このnoteではさらにそこに前フリが加わったような感じで、面白い形態だなと思いました。

深く知っているのによく分からない、というのは言い得て妙で、たしかに棋士のことは棋士にしか分からないと思う一方で、それでも他の棋士のことはやっぱり全然分からなかったりします。
それでいい、のでしょう。

女流名人戦といえば紙面がカラーになったこと、それと先日のリーグ最終局終了後に「王手報知」のコーナーで参加女流棋士全員のコメントが掲載されたのは素晴らしかったです。
見出しで引き付けることが求められる時代なのかなと思いますが、個人的にはこういう丁寧な仕事がもっと知られてほしいなと思いました。

今日は棋王戦の敗者復活戦が大一番。
また弟弟子の石川君がプロデビュー戦ということで、注目しています。

新竜王など

昨日は3年ぶりに企業の将棋イベントに参加させてもらいました。
こちらは第1回からずっとおうかがいしていたのですが最近はしばらくご無沙汰だったので、今後またお招きいただけたらと思っています。
世話役の将棋部の方々、ご参加の皆さまどうもありがとうございました。

ちなみに指導対局は7~9面指しを4クールとかなりハードでした。
事前にそう言われていたので、久々に往年の切れ味を発揮して(?)超早指しモードを発動。私としては無になれる楽しさがあるのですが、制限時間が下手の方にとってはやや大変だったかなと思います。
ただある程度時間的な制約がある中で発揮できるパフォーマンスはより本物と言えるかもしれません。勝たれた方には自信を持ってぜひ職団戦や他のイベント・大会などにも今後チャレンジしていただきたいです。

余談ながら、4クールすべて終わってジャケットに入っているスマホを見てみると意外と、その間3000歩ぐらいでした。実際は3時間ぐらいずっとグルグルしてたので最低でも1万歩ぐらいはいってそうなものですけどね。
以前も全然違うシチュエーションで似たようなことがあったんですが、スマホの万歩計は移動距離が短いと歩数もあまり伸びないみたいです。

イベント終了後、酒席で竜王戦の終盤を観戦。
それがちょうど119手目▲6八玉のところで、その時点で棋譜コメントとか他の情報は見ていなかったので、手の流れで間もなく広瀬竜王が詰ますんだなと即断したものの、いざ読んでみるとどうも詰まない。
しばらく考えて一歩足りない、と分かり驚きました。後で見たら実際にその通りで、結果豊島新竜王誕生。
大逆転だったんだろうとそのときは思いましたが、帰宅後に世間の評判を見ているとそうとも言えないみたいですね。

豊島さんは今年の春から名人獲得、棋聖失冠、王位失冠、銀河戦優勝、そして今回の竜王獲得ですか。
大舞台にずっと立ち続け勝って奢らず、負けて挫けず1年通してみると大きな結果をいくつも残し、当然気持ちの浮き沈みもあると思うのですが本当にすごいことです。
前竜王にしてみれば先日の藤井七段戦のこともあったり、良い流れで来ているところ終盤でこんなことが起きてしまい、やっぱり将棋の終盤というのは難しいものだなと思うばかりです。

就位式、動画撮影、サイン入れ

昨日は木村王位の就位式にお邪魔してきました。
こちらは基本的には関係者のみのオフィシャルな式なのですが、後援会の方々など多くの方々がいらして、見たこともないような大盛況でした。
自分自身はこういう場に出るのは久々で、お世話になっている記者の方々などにもたくさんご挨拶できたので、良かったです。

木村王位はファンが本当に多いので、別途お祝いのパーティーも行われるそうで、そちらはまたすごい人数が集まる予定だとか。
ファンの方々がどれほど喜んでおられるか、と考えるとご本人が嬉しいのはもちろんでしょうし将棋ファンの方々に向けてもおめでとうございます、と言いたい気持ちです。

おめでとうございます。

終了後、地下鉄に2駅だけ乗ってマイナビに移動し、新刊に関する動画撮影。
簡単な紹介動画の他、本に関連して短時間で成果の出るミニ講座をやってきました。
本文に書いた内容に加えて、すこし突っ込んだ変化も盛り込んで興味深い内容になっていると思います。
近日中にアップされると思いますので、新刊と合わせてどうぞお楽しみに。

また、サイン入れもしてきました。

本は到着後、昨日のうちに全体を読み返してみましたが我ながらよく書けたと、出来栄えにはとても満足しています。
最近は良い本がたくさん出て非常に充実している中でですが、本書もぜひお買い上げと、感想をよろしくお願いします。

今日はこれからとある企業のイベントに行ってきます。